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ヤンデレ彼女×サイコパス彼氏≒純愛  作者: 釧路太郎
第二部 二人だけの世界編
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金髪少女と二人で温泉に行くことになった

「さ、ランチも終わったことだしそろそろ旅館に戻って温泉に行きましょうよ。今から行けば夜までゆっくり温泉に入っていられると思うから早く行きましょう」

「今から行くの?」

「そうよ。善は急げって言うでしょ。どんな時だって最短距離でやりたいことをやるのが一番いいって聞いたこともあるし、みさきだって一杯汗をかいたから温泉に入りたくなってるんじゃない?」

「まあ、汗はかいてるけどさ、お昼食べたばっかりなのにすぐに温泉に向かうなんて疲れそうじゃないかな」

「そんな事ないって。ここから旅館まで結構距離はあるし、ちょうどいいくらいの時間になると思うわよ。それに、旅館の人達にもサンドイッチの事を早く謝りたいしね」


 レベッカは犬たちが食い散らかしたサンドイッチを申し訳なさそうに見ていたのだが、犬の食べかけとはいえそのまま放置しておくわけにもいかず袋にいったんしまってから持っていたバスケットへと放り込んでいた。バスケットの中に水筒を入れると、そのまま私達が座っているシートを畳もうとし始めた。


「ほら、もう帰る準備を始めるから二人ともそこをどいてよね。でも、二人にはとても感謝しているのよ。私はこっちに来てから家族以外の人とご飯を一緒に食べるのは初めてだったから楽しかったわ。正樹とみさきが持ってきてくれたお弁当も美味しかったし、旅館の人達には改めてお礼を言わないといけないわね。でも、サンドイッチの事を謝らないといけないと思うと気が重いわ」

「サンドイッチを食べられなかったのは残念だと思うけど、あればっかりは仕方ないんじゃないかな。レベッカがちゃんとサンドイッチを持っていれば避けられた事態かも知れないけど、サンドイッチを持って移動してたらレベッカが襲われてたかもしれないしね。僕はレベッカに怪我とか無くて良かったと思うよ」

「ありがとう。そういう風に心配してくれる正樹の事が好きよ。あと、私の事はベッキーって呼んでくれていいからね」

「まー君の言う通りかもね。レベッカがサンドイッチをもってこっちに来ていたら犬たちに襲われてた可能性だってあるんだもんね。そう考えると、怪我が無くてよかったと思うし、旅館の人達も同じように思ってくれると思うよ」

「みさきもありがとう。私は二人とも大好きよ。それと、私の事はベッキーって呼んでいいんだからね」


 私はお昼を食べたばかりで温泉に行くのは早いのではないかと思っていたのだけれど、なんだかんだあってお昼を食べ始めたのもそんなに早くはなかったし、量も多かったので食べ終わるまで結構な時間がかかってしまったのだった。そんな事もあり、太陽も少しだけ沈みかけているように感じるのだから、夕食前に温泉に入ると思えばそれほど早すぎるという事も無いのではないだろうか。

 私達もレベッカを見習って帰り支度をはじめ、ごみなんかもまとめて持って帰ることにした。レベッカと話しながらご飯を食べていたので気が付かなかったのだが、時々水面から跳ね上がる魚の姿が見えたのでこの湖には何らかの魚が生息しているという事は分かったのだ。ただ、何の魚が住んでいるのかまではわからないし、私もまー君も魚に詳しくないのでどうでもいいとさえ思ってしまっていた。


「さあ、私は準備が整ったし、正樹とみさきももう準備が整っているようね。さあ、これから一旦旅館に戻って温泉に行く準備を始めましょう。パパとママはまだ戻ってきていないと思うけど、そんな事はいつもと変りないし気にしなくていいわよね。それにしても、温泉って初めて入るから楽しみだわ。漫画とかアニメでは時々見るけど、露天風呂から見える景色って素晴らしいって聞くし、興奮が抑えられるか自信が無いわ」

「あの、盛り上がっているところ言いにくいんだけど、今日の露天風呂は男性に開放の日だから私達は露天風呂に入ることは出来ないわよ」

「なんで?」

「なんでって言われても、ここの温泉は露天風呂が一つしかなくて、それは日替わりで男女が入れ替わるって話しだし、昨日は女性に開放する日だったから今日は逆なんじゃないかなって思ってさ」

「それじゃあ、温泉に行く意味が無いじゃない。せっかく楽しみにしてたって言うのに。ママは一緒に行ってくれないし、せっかくみさきって友達が出来て一緒に行けると思ったのにどうしたらいいのよ」

「それなんだけどさ、僕は昨日内風呂に入ったけど、露天風呂とまではいかなくても天窓があるから割と開放的に感じたよ。それにさ、温泉自体は凄くいいからそこまで露天風呂にこだわらなくてもいいんじゃないかな。あと、露天風呂は明日楽しめばいいんだと思うよ」

「それもそうね。シャワーにも飽きてきたことだし、あんまりぜいたくを言わずに楽しみは明日にとっておくことにしようかな。正樹とみさきはいつまでこっちにいる予定なの?」

「私達は明日までの予約なんだけど、何日か滞在期間を延ばそうかとも思っているのよね。まー君が良ければだけどさ」

「僕は構わないよ。みさきが戻っても大丈夫だって思えた時に戻ればいいんだしね。妹の唯からは早く戻ってこいって催促が凄いけど、そんなのは気にしなければどうって事はないしね。そう言えば、レベッカと唯って年齢が近いんじゃないかな?」

「へえ、私と近い年の妹がいるのね。その子も私と友達になってくれるかしら」

「どうだろうね。唯は誰とでも仲良くなれる方だと思うし、レベッカが変な事をしなければ大丈夫だと思うよ」

「私は変な事なんてしないわよ。それに、ベッキーって呼んでよね」


 唯ちゃんもまー君の事が大好きだってのはわかっているんだけど、今は私がまー君を独占している。それに関しては申し訳ないと思う事ではないし、どちらかといえば毎日一緒にまー君と過ごしている唯ちゃんが私に対して申し訳ないと思うべきなのではないだろうか。

 私にもちょくちょく連絡は来ていたのだけれど、私はLINEを返すくらいで電話に出ることは無かった。せっかくまー君と一緒に居るのに他の人と電話で話をするなんてもったいないしね。何か急用でもあればソレを先に伝えるだろうし、それが無いという事はどうでもいい連絡なんだろうなって思うことにしたのだ。


「さ、準備も出来たし旅館へ戻るわよ。って、なんで正樹が私の荷物まで持ってるのよ。自分の分くらいは自分で持てるわよ」

「そんな事は気にしないでさっさと戻ろうよ。別に誰が持ったって何かが変わるわけでもないんだしさ。それに、隠れていた犬たちがレベッカの荷物を狙ってるかもしれないよ」

「ちょっと待って、それって私が襲われるかもしれないじゃない。正直に言ってしまえば、私ってあんまり動物から好かれるタイプじゃないのよね。なんでかわからないけど、動物から下に見られることが多いのよ。それと、そろそろベッキーって呼んでくれたら嬉しいな」


 レベッカはまー君に対して距離が近いんじゃないかなと初めは警戒していたのだけれど、私に対しても同じような距離の詰め方をしているので、それはレベッカにとって普通の行動なのだろうと思った。私とまー君の関係性を理解した後のレベッカは気を遣っているのかハッキリとはしないが、まー君よりも私との距離を詰めようとしているように感じていた。

 犬を追い払った時は明らかにまー君に対して好意を寄せているようにも思えたのだけれど、今ではまー君と私の間に無理に入ろうとはせずに私のすぐ横で楽しそうに歩いているのだ。


「ねえ、みさきが正樹を好きっていうのはわかってたんだけど、それと同じくらい正樹もみさきの事が好きなのね。日本人にしては珍しいくらい言葉でも感情でもちゃんと表現してるって凄いよね。私も二人みたいに素敵な関係を築くことが出来る相手が見つかるといいな」

「レベッカはいい子だから見つかると思うよ。それに、まだまだ子供なんだから焦らなくてもいいんじゃないかな」

「もう、私はそんなに子供じゃないんだけどな。みさきだってそこまで私と年が離れているわけでもないじゃない。それに、そろそろベッキーって呼んでもらえると嬉しいんだけど」

「そう言えば、温泉は初めてって言ってたけど銭湯とかも行った事ないの?」

「銭湯も行った事ないよ。ママは恥ずかしがり屋だからそう言うところには行けないんだって。だからね、やってみたいことがあるんだけどお願いしてもいいかな?」

「変な事じゃないなら聞くけど」

「あのね。私は背中の流しっこってやつをしてみたいの。小さい時はママがしてくれたけど、友達にしてもらった経験って無いからお願いしてもいいかな?」

「うん、それくらいならいいよ」

「良かった。これはさすがに正樹には頼めないからみさきにお願いしてよかった」

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