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ヤンデレ彼女×サイコパス彼氏≒純愛  作者: 釧路太郎
第二部 二人だけの世界編
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僕とみさきと三人のお姉さん

 僕がどれだけみさきの事を愛していて、今まで思ってきたかという事をお姉さんたちに伝えると、お姉さんたちはなぜか泣き出してしまった。どうして泣いているのかはわからなかったけれど、僕にそれだけ思われているみさきの事が羨ましいとは言っていた。いつか僕みたいに自分の事だけを思ってくれる人が出来るだろうかと聞かれたので、僕は無理だと思う。そう言ってしまった。


「無理って、わからないじゃない。もしかしたら、そう言う人に出会える可能性だってあると思うんだけど」

「いや、そう言う人に出会う可能性はあるかもしれませんが、そう言う人って恋人がいるのを知ってて手を出そうとする人の事を思ったりはしないと思いますよ。第一、自分が誠実じゃないのに相手にそれを求めるのってずるいと思うんですよ。お姉さんたちは僕にみさきという恋人がいるのを知ってましたよね?」

「そうだけどさ、それって今だけの話だし。それに、お酒も入ってたからね」

「それって、自分を甘やかしているだけですよね。そんなんじゃ、いい人がいたとしても本当に相手にされないと思いますよ。だから、こんなことはこれっきりにしてちゃんとまっとうに生きてくださいね」

「それはそうなんだと思うけど、私はまっとうに生きているはずだよ。ねえ、愛ちゃんもそう思うでしょ?」

「いや、良美は自分の気持ちを最優先にして行動することが多いと思うよ。私はそうじゃないけどさ」

「そんな事ないって、愛ちゃんだってそんなこと言って自己中なとこあるじゃん」

「ちょっと、それは言い過ぎじゃない。そんなこと言ったら誰だって自己中なとこあるでしょ。良美はお酒飲んだら特にひどいよ」

「お酒は別でしょ。それを言ったら愛ちゃんはお酒を飲んだらすぐに寝ちゃうじゃない。そんなんだから捨てられるんだよ」

「それは関係無いでしょ。良美だってお酒でたくさん失敗してるくせに」

「それはそうだけど、そんなことはどうでもいいのよ。問題は、どうしたら私達にも君みたいな一途な男が振り向いてくれるかって事よ」

「無理だと思いますよ。相手にも選ぶ権利ってもんがあるでしょ」

「久子、いつの間に戻ってきたのよ」

「いつの間にって、今戻ってきたところよ。お酒が入ってるのに珍しく愛ちゃんの声も聞こえるなって思ってたら、あんた達っていったい何の話をしているのよ。正樹君も困ってるじゃない」

「いや、それは、その」

「そうよ。久子にはしづらい相談って言うか、そんな感じよ」

「まあ、二人を慰める旅行だったから私には言いづらいこともあるのかなって思ってたんだけどね、それをこんな若い男の子にぶつけるってのはどうかと思うわ。若い子には若い子の感性ってものがあるから意見を聞くのって大事かもしれないけど、こんな純粋な子たちにあんた達みたいなドロドロした恋愛の相談は良くないと思うわよ」

「それはその通りだと思うけどさ、私達には私たちなりの悩みってのがあって、それは幸せな久子にはきっと理解出来ないもんだと思うよ」

「そうよ。私達も久子みたいに素敵な家庭を持ちたいって思ってるのよ」

「それなら正樹君じゃなくて私に相談すればいいじゃない」

「それはそうなんだけどさ、久子っていっつも正論で攻めてくるじゃない。それって正しいとわかってるんだけど、正論だけじゃ私達の気持ちは測れないんだよ」

「それで、正樹君に相談してみてどうだったの?」

「久子以上の正論だった」

「でしょうね。温泉でも話してたけど、この子達って私以上に信頼しあっているわよ。若いってのもあるんでしょうけど、お互い以外を全く気にしていないって感じなのかもね。正樹君に言い寄る人はたくさんいたみたいなんだけど、正樹君ってその人達を全く相手にしていなかったって事だし。もしかして、あんた達は正樹君にちょっかいかけようとしたりしてないよね?」

「そ、そんなことしてないよ。ねえ、愛ちゃん」

「うん、何もしてないよ。私はすぐ寝ちゃってたし」

「ちょっと、その言い方だったら私が何かしようとしてたって思われちゃうじゃない」

「だって、私は良美が何をしてたかなんってわからないし、起きた時には正樹君に拒否されてたって可能性もあるんじゃないかなって思ってね」

「そんな事ないって。それを言ったら、愛ちゃんだって寝ぼけてて何かしようとしてたって事もあるんじゃないの。どうせ、拒否されてしまうと思うんだけどね」

「もしかして、良美ってお酒に酔って記憶がおかしくなってるんじゃないかな。そうだと思うし、一回ちゃんと見てもらった方がいいんじゃないかな」

「まあまあ、二人が言い合っても何の解決にもならなそうだし、正樹君に聞いてみようよ。正樹君はさ、この二人から何か変な事されなかった?」

「変な事ですか。しいて言えば、僕がこの部屋に誘われたって事が変かなって思いますね。それに、みさきが僕を部屋に残して出ていったって言うのもおかしいなって思ってますよ。普段のみさきだったら僕から一時も離れたくないって言うと思うんですけど、出てきたばっかりの温泉にもう一回行こうとするのって不思議だと思うんですよね。それって、何かあるんじゃないかなって思うくらいですかね」

「いや、そう言う事じゃなくて、この二人から何かされなかったかなって事なんだけど」

「何かされたかどうかといえば、されましたね。でも、僕はそれで何かしようとかは思いませんでした。状況を考えても不自然な事はたくさんありましたし、何を考えているんだろうって思いはたくさんありましたね。そもそも」

「ごめんなさい」


 僕が話している途中だったのだけれど、なぜか急にみさきが謝りだしていた。その目からは涙が溢れていたのだけれど、僕はその理由は何となくでしか理解していなかったのだった。

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