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ヤンデレ彼女×サイコパス彼氏≒純愛  作者: 釧路太郎
第一部 日常生活編
59/108

突然 前田正樹の場合

 今日はみさきに会えないかもしれないと思っていたのだけれど、見たことも無い中学生に話しかけれれてしまった。僕の母校の女子生徒なのは間違いないようだけれど、この子と面識は無いので誰かわからないのだった。

 僕の事を先輩と呼んできている。確かに、僕は君と同じ中学を卒業しているんだけれど、一体誰なんだろうか?


「先輩、私のお姉ちゃんとデートしたいって思いますか?」

「え、思わないけど。僕には彼女いるからさ」

「じゃあ、お姉ちゃんじゃなくて私とデートしましょ」

「だから、僕には彼女がいるって言ってるじゃないか」

「そんなの気にしなくていいですよ。私は気にしませんから」

「君が気にしなくても僕は気にしちゃうから」

「もう、君じゃなくて撫子って呼んでくださいよ」

「いや、呼ばないけど」

「そんなこと言っちゃ駄目ですよ。私もお姉ちゃんも悲しんじゃいますよ」


 誰でもいいからこの状況を説明してもらいたいと思っていたんだけれど、あいにく僕にはそれほど友人は多くないので、僕の願いは聞き届けられることは無いだろう。

 唯一この状況を説明できそうなのは妹の唯だけだと思うのだけれど、その妹は今日は体調がすぐれないようだったので大事を取って休んでいるのだ。あとは、この状況を改善してくれそうな人は何人か思いついてみたものの、僕が状況を把握する前に事態を悪化させるような人しか思いつかなかったのが僕の人望というものだろう。

 そして、おそらく思いついた人たちの中で一番と言っていいほど見られたくない相手が電柱に隠れて僕を見ていた。

 そう、それこそが僕の彼女である佐藤みさきなのだが、今の状況で説明を求められたとしても僕は何も答えることが出来ずに黙っているだけになると思われる。すなわち、今の僕には彼女が考えていることを否定することすらできないのだ。

 そんな僕の視線を追った少女が僕の彼女を見つけると何かに気付いたようで、とてもいたずらっぽい表情を浮かべて僕に問いかけてきた。


「先輩の彼女ってあの人ですか?」

「あの人って、電柱に隠れている人の事?」

「そうですよ。さっきからずっとこっちを見てますけど、あの人ってストーカーですか?」

「いや、ストーカーじゃなくて僕の彼女だと思うよ」

「でも、彼女なら隠れてないで堂々と出てくればいいのにね。前みたいに私とお姉ちゃんと三人で遊びましょ」

「ちょっと待って、三人で遊んだってどういうことなの?」

「わ、ストーカーが出てきた」

「ストーカーじゃなくてまー君の彼女だよ。あんたはいったい何なのよ」

「私ですか。私は先輩の過去の女ですよ。私のお姉ちゃんも過去の女ですけど。あ、都合のいい女だったかも」

「ちょっと、そんな言い方は良くないと思うけど」

「実際そうだったじゃないですか。お姉ちゃんの事は忘れても私の事は忘れないで欲しいな」

「いや、君たちの事は忘れないよ。ずっと僕の事付け回してたじゃないか。ちょっと怖かったよ」

「それって先輩が付き合ってるストーカー女と一緒みたいじゃないですか。それって私傷付いちゃいますよ」

「なんで私がストーカー確定しているのよ。突然現れたあんたの方がストーカーじゃないの」

「そんなことないですよ。先輩の事を隠れてみているあなたの事を私は何回も見てるんですからね」

「私はまー君の彼女なんだからまー君の事を見てても変じゃないと思うんだけど、あんたがまー君の事を見てる方がストーカーじゃないの」

「二人とも、僕の事をこそこそ見ていたんだね」

「私はまー君の事が好きだから見てただけだよ」

「私だって先輩の事が忘れられないんです。お姉ちゃんの百合だって先輩の事を忘れられないって思ってるはずですよ」


 百合。

 そうか、この子は花咲百合の妹なのか。

 花咲百合は僕の中学時代のクラスメイトなのだけれど、僕は彼女と話した記憶は無いし、もちろん遊んだ記憶だってないのだ。

 つまり、僕がその事を理解したところでこの少女が何をしたいのか全く思い浮かばなかったのだった。

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