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ヤンデレ彼女×サイコパス彼氏≒純愛  作者: 釧路太郎
第一部 日常生活編
50/108

デートをしよう 佐藤みさきの場合

 今日は雨が降っているので少し気分が落ちている。雨の日だと傘を差してしまうからまー君と手を繋ぐことが出来ないんだよね。学校の中でも手を繋ごうと思えば繋げるけれど、愛ちゃん先輩が絡んできそうでちょっと嫌なんだよね。あの大きい胸でまー君を誘惑しているんじゃないかって思っちゃうし、そんな事で悩むのもばからしいもんね。

 そろそろまー君の家に向かおうかなって思ってるんだけど、窓から外を見たら愛ちゃん先輩が待っているのが見えちゃった。お姉ちゃんに何回言ってもらってもやめてくれないし、何が目的なのかわからないけれど、これもちょっとストレスだったりするよね。


 仕方なく一緒に登校してあげてるんだけど、最近は二人っきりの時はあんまり話しかけてこなくなったな。お姉ちゃんが愛ちゃんにあんまり絡むなって言ってくれたみたいなんだけど、そういう意味じゃないって分からないもんなのかな。もしかしたら、わざとそうしてるのかもしれないけど、そうだったとしたらドン引きよね。

 そのまま無言で歩いていても、ちゃんとまー君の家には着いてしまうわけで、これからまー君が出てくるまで少しの時間を無言で立ってなきゃいけないんだね。一人なら無言でもおかしくないけど、二人で一切会話が無いってのはあんまりないんじゃないかって思うよね。


 少し待つとまー君が出てきてくれたんだけど、今日は皆傘を差しているので適度な距離感を保っているんだ。そんな中でもまー君は私に色々と話しかけてくれてるし、愛ちゃん先輩も私とまー君に話しかけてるんだよね。さっきまでのは何だったんだろうって思うけれど、気にしてたら負けなのかも。


「みさきタンは雨の日でもこいつに会えるのが楽しみみたいだよね。私もこいつがいなかったら楽しいと思うんだけど、みさきタンはこいつがいないとダメなんだよな」

「もう、私も愛ちゃん先輩が好きだけど、まー君の方が大好きなんでごめんね」

「それはわかったから言わなくてもいいけど、どこがそんなに良いのさ?」

「ふふ、それは内緒だよ」


 愛ちゃん先輩は今年度で卒業すると思うからこの三人の登校も来年には終わっているのかって思った。でも、来年まで我慢して三人で登校するって結構先の話だよね。どうして私が我慢しなきゃいけないんだろうって考えたりもするけれどね。

 登校中は仕方ないとしても、休みの日は二人で遊びたいなって思っちゃうの。次の休みは一緒に過ごしたいな。ちょっとまー君に聞いてみようかな。


「ねえ、まー君は次の休みが晴れだったら何するの?」

「俺は特に決めてないけど、みさきはどうなの?」

「私はまー君と同じとこに行こうかと思ってるよ」

「それなら二人で楽しめる場所がいいよね」

「それでもいいけど、まー君が本当に行きたい場所でもいいんだよ」


 ここには愛ちゃん先輩も入れると三人いるんだけど、二人でってのがまー君の優しさだよね。全く気を使ってないせいか、愛ちゃん先輩はどうにも割り込めないし、まー君もそうさせないようにしているね。


「そうだな。動物園か博物館がいいかな」

「どっちもいいね。動物園ならお弁当作って持っていけるかも」

「みさきタンのお弁当食べたい」

「愛ちゃん先輩は私達の邪魔したいのかな?」

「そんなことは無いけど、私も動物は好きだよ」

「それは知ってるけど、それなら博物館にしようかな」

「私も一緒に行きたいのに」


 あんまり無視するのも良くないとは思うんだけど、私達の邪魔をするのも良くないと思うんだよね。普通に接してくれたらいい先輩だし尊敬すると思うんだけど、今の状況は優しい先輩て言えないと思うんだ。

 それに、まー君もちょっと不機嫌になってるみたいだ。


「愛華先輩って俺の事が好きなんですか?」

「はあ? お前は何を言っているのかな?」

「ちょっと、愛ちゃんはそういう目でまー君を見てないって言ってたよね?」

「こいつの事好きなわけ無いじゃん」

「その割には俺にちょっかいかけてきますよね?」

「それは意味が違うだろ。みさきタン以外に気持ちが揺れるか試してるだけだし」

「愛ちゃんがそんな事して何の意味があるのかな?」

「みさきタンのためにやってるだけで、私は何の感情も持ってないって」

「感情が無い割には俺に過剰なスキンシップをとってきません?」

「ただの挨拶だろ、こんなん普通だろ」

「愛ちゃんはそういう人じゃないと思ってたけど、お胸が大きいと頭の中が少なくなっちゃうのかな?」

「胸の大きさは関係ないって」

「私の前で大きな胸をまー君に押し付けたりしてたよね?」

「それもスキンシップで挨拶しただけだって」

「お胸の大きい人って私の恋の邪魔をしなきゃいけない決まりでもあるのかな?」

「そんな決まりはないけど、邪魔なんかしてないって」


 やっぱり、胸の大きい人は私の敵になる運命なのかな。出来れば関わりたくないし、私もそっち側に行ってみたいんだけど、どうしたらなれるのかわからないので普通に頑張っていこう。

 でも、次の休みの予定が気になるから出来るだけ早く答えを貰わないとね。


「さあ、愛ちゃん先輩は三年生の教室に行くし、あとは二人っきりで休みの日の予定を立てようね」

「ごめんって。私が悪かったから機嫌直してよ」

「機嫌は悪くないけど、ちょっとだけ二人で予定たてさせてね」


 確かに、少し機嫌は悪かったかもしれないけど、きっとそれも最初だけでお昼にはおさまっていると思うんだよね。そんな感じだよって振り向いた時のまー君は黙って立ち止まっていたんだよね。

 誰かに話しかけるでもなく、ただただ立ち尽くしているって感じだったりするんだよね。これは本当にまずい事態なのかとも思ったけれど、手をひいたら普通に戻ったので、そのまま手を繋いで教室の前まで歩いてしまった。こんな事でも手を繋ぐことが出来たのは大きな戦果だと思う。


「ちょっと意地悪し過ぎたかな?」

「別にあれくらいならいいんじゃない?」

「あとで謝った方がいいかな?」

「謝らなくていいと思うよ。今日だって一緒に迎えに行くつもりじゃなかったし、いつも邪魔されてるからね。今日は私の教室でお昼一緒に食べる?」

「みさきの教室でもいいけど、文芸部の部室に行ってみない?」

「なんで文芸部なの?」

「この前話してた時に松本先輩が言ってたんだけど、お昼ご飯を二人で食べたいときは部室にきてくれたら席を外してくれるって」

「そうなの? 前から思っていたけど、松本先輩って凄く良い人よね。私は前から良い人だって思ってたよ」

「じゃあ、お昼休みに文芸部の部室に行こう」


 他の女の人なら心配になったりもするけど、愛ちゃん先輩をいじめたとしてもそれは本人が望んでいた事だしね。

 それにしても、まー君の口からここにいない女の人の名前が出てきたのは意外だった。どこか気になるところがあるのかもしれないけれど、どうして松本先輩の話が出てくるんだろうね。二人で何かコソコソやってたりするのかな?

 二年生の先輩だからあんまり詳しくないんだけど、千尋よりもお姉ちゃんい聞いた方が良さそうなんだよね。お姉ちゃんとも知り合いみたいだしさ。


「今日は二人っきりでご飯が食べられるね」

「なになに、今日は私とご飯食べてくれないの?」

「さやかなら一緒でもいいんだけど、今日はちょっとデートの話もしたいからごめんね」

「そっか、それならまた今度一緒に食べようね。前田君はちゃんとエスコートしてくれそうだし、デートの話も今度聞かせてね」

「そう言えばだけど、たまに校門でやってる身だしなみチェックって引っかかる人いるの?」

「私は今まで見たこと無いけど、お兄ちゃんも見たこと無いって言ってたと思うよ」

「やっぱりそうなんだ。もしかしたらだけど、アレって先生が生徒と挨拶するためにやってるんじゃない?」

「ああ、言われてみたらそうかもしれないね。あの先生って挨拶するの好きみたいだけど、その後に会話するのはあんまり好きじゃないみたいなんだよね」

「ねえ、さやかも一緒にまー君とデートする?」


 まー君と二人っきりの方が良いに決まっているんだけど、さやかと遊ぶのは楽しいのよね。何があったとか説明するのも面倒だし、さやかと一緒なら楽しそうなのよね。

 千尋は何かい誘ってもデートに付き合ってくれないし、まー君と会うのも避けてるっぽいのよね。もう少し私の彼氏の事を見てもらい気もするけれど、丸裸にされてしまいそうでちょっと怖いんだよね。


「いやいや、デートの邪魔したくないから遠慮するよ」

「私はさやかなら一緒でも楽しいんじゃないかなって思ったんだけどさ」

「私も楽しいとは思うけど、デートの邪魔は良くないでしょ。それに、二人っきりになりたいって思ってるでしょ?」

「うん、二人っきりになりたいとは思うけど、さやかの顔を見てたら三人でも楽しそうだなって思ったんだよね」

「ああ、それならだけどさ、途中まで一緒にいて、ご飯食べたら二人っきりで過ごすってのはどうかな?」

「私はそれでもいいんだけど、まー君はどうかな?」

「俺はみさきがそれで良いなら大丈夫だよ」

「びっくりしちゃったけど、みさきが楽しめるなら私は途中までご一緒させてもらうよ」

「じゃあ、俺も一緒に行っていいかな?」


 さやかみたいな反応が普通だと思うんだけど、これが愛ちゃん先輩だったら二つ返事でOK出してそうなのよね。そっちが良くてもこっちが良くないし、社交辞令ってのが通用しない相手には何も言わない方がいいのかもしれないな。

 田中君も愛ちゃん先輩に通じるものがあるんだけど、皆無視しすぎなんじゃないかなって思うくらい徹底してるよね。

 田中君を誘ってもマイナスな事は無いと思うんだけど、プラスの事もそんなに無いと思うんだ。冬場なら野生動物と遭遇することもあるかもしれないけれど、今の時期はそんなに多く出てきてないみたいだし、実際に出会ったとしたら逃げる以外に選択肢が無いような気がしていた。


 今からデートが楽しみで仕方ないんだけど、どこに行くとしても私は大歓迎できると思うのよね。さやかが途中で帰ったらキスしてくれたりしないかな。まー君の事だからしてくれないと思うんだけど、何かの間違いでしてくれることがあったら私は嬉しさのあまり舞い上がってしまうかもしれないわね。


 文芸部の部室を借りるんだし、松本先輩も誘ってみようかな。

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