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ヤンデレ彼女×サイコパス彼氏≒純愛  作者: 釧路太郎
第一部 日常生活編
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秘密 前田唯の話

 今日はお兄ちゃんの帰りが遅くなるかもしれないらしい。なんでも、みさき先輩達と喫茶店に行っているとの事だ。遅くなるといっても家でご飯を食べるようなので、それまでに色々と終わらせておくことにしよう。


 相変わらずお兄ちゃんの部屋は鍵がかかっていて入ることが出来なくなっている。それも、頑丈そうな鍵を追加しているので二つもあるのだ。家族くらいは信用してくれてもいいと思うんだけどね。

 このままお兄ちゃんの部屋に入ることが出来ないと何も出来ないので、私は一度自分の部屋に戻る事にした。とりあえず本を整理するために本棚を空にしておいて、空になった本棚を入り口のドアの前に持っていく。本はどうせ後で戻すのでそのままにしてあるんだけど、ちょっと邪魔だから少しだけ端に寄せておこう。

 本棚があった場所はちょうどお兄ちゃんの部屋の方向なんだけど、本棚が一個無くなっただけで二人の距離が縮まったような気がするよね。ここの壁はそんなに厚くないんで壊そうと思えば簡単に壊せそうなんだけど、それをやっちゃうと後々面倒なことになりそうだな。だから、私は壁を壊したりなんかしないんだよね。


 お兄ちゃんの部屋はあんまり物が多くないんだけど、時々トラップが設置されてたりするんだよね。お兄ちゃんは私のコレに気付いていないと思うんだけど、何かを疑っているような感じなんだ。この前はついつい寝顔に見とれて姿を見られちゃったけど、今度は気付かれる前に撤収しとかないとな。


 お兄ちゃんの部屋に入る方法は二つあるんだけど、一つは鍵を開けてもらって普通に入る事。もう一つは、私の作った隠し扉を通る方法です。

 隠し扉は本棚をずらすと少しだけ違和感のある壁になるので、カーペットで隠してあるへこんでいる部分を奥斜め上に押し込むとそのまま壁が開くので、そのまま限界まで上げてからお兄ちゃんの部屋側の壁裏にある持ち手を使って隠し扉を開ければお兄ちゃんの部屋に行けるのだ。この事はお兄ちゃん以外はみんな知っているんだけど、お兄ちゃんは知らないんだよね。

 お兄ちゃんはどうしても部屋に鍵を付けたかったみたいなんだけど、何かあった時にすぐに出入り出来ないのは不安になるからとお父さんは許可しなかったんだよね。そこで、私がお父さんを説得してみたら、お兄ちゃんの部屋に鍵を付ける許可が下りたんだよ。お兄ちゃんは知らないけれど、鍵を付ける代わりに私の部屋からこっそりお兄ちゃんの部屋に入ることが出来る隠し扉を作る事にしたんだ。


 久しぶりに入ったお兄ちゃんの部屋は少しだけ甘い良い匂いがしていたんだけど、基本的に変化は何もなかった。昨日は床に置いてあった漫画が本棚に収納されていたので、あの漫画は読み終わったのかもしれない。他にも変わったところはないかと見てみたけれど、パッと見た感じでは変化はなかった。とりあえず、部屋の写真を撮って後で見比べることにしよう。これからは一日一回だけじゃなくて朝晩にしてみようかな。


 お兄ちゃんの部屋に入ったのはいいんだけど、これといってやりたいことも無いし、あと早くても一時間くらいで戻ってくると思うと、ソワソワしてしまってどうしたらいいかわからなくなってしまう。とりあえず、ベッドから出ることにしよう。


 誰も見ていないとはいえ、年頃の女の子が半裸でウロウロしているのも良くないので、お兄ちゃんが良く着ているTシャツを借りることにした。ちゃんと洗っているのでお兄ちゃんの匂いはしないんだけど、何となくお兄ちゃんのぬくもりは感じているように思えていた。他には何かお兄ちゃんを感じられそうなものが無いかと探してみたけれど、これといった物は見当たらなかったので、もう一度ベッドの中で考えることにしよう。


 布団の中でジャージを履いているのはマナー違反になるかもしれないので、私は上下のジャージを脱いで下着姿になってベッドの中を堪能した。枕や布団からは少しだけお兄ちゃんの匂いがしているのだけれど、あんまり匂いが強くないので長く楽しむことは難しい。


 時計を見るともう少しで晩御飯の時間になりそうだったので、名残惜しいけれど戻ることにしよう。

 私の部屋に戻るには行動を逆に行えばいいだけなので間違えようもないだろう。合鍵を持っていればこんな面倒な事はせずに済んだのだけれど、お兄ちゃんは絶対に私に合鍵をくれないのは仕方ない。私にはこの隠し扉があるので大丈夫。

 私はそのままお兄ちゃんの部屋を元通りに直してから自分の部屋に戻ることにしよう。さっきまでお兄ちゃんの部屋にいたからなのか、私の部屋が少し明るく感じてきた。出かける時はカーテンを閉めているお兄ちゃんではあるけれど、今日みたいな日は開けておいてくれた方が私も観察しがいがあるんだけどね。


 結局お兄ちゃんの部屋には変なモノも無かったし、怪しい何かも無かったんでお母さんに報告してこようかな。私用のオモチャとか用意してくれてもいいんだけどね。


 お兄ちゃんが帰ってくるまではお母さんと晩御飯の準備でもしておこうかな。私の得意料理はないんだけど、お母さんに聞きながらお兄ちゃんの好きな料理を作れるようになるといいな。

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