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ヤンデレ彼女×サイコパス彼氏≒純愛  作者: 釧路太郎
第一部 日常生活編
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四者三葉 佐藤みさきの場合

 まー君と一緒に勉強したいんだけど、唯ちゃんが話しかけてくるからまー君と楽しく勉強する時間が無いよ。中途半端に褒めちゃったから懐かれたのかもしれないけれど、嫌われるよりはマシかなって思って我慢しておこう。将来私の義妹になると思うし、今から関係壊してもいいこと無いよね。


「唯もテスト勉強した方がいいんじゃないか?」

「私はお兄ちゃんと一緒で家で勉強しなくても大丈夫だもん」

「俺だって毎回勉強してないわけじゃないよ」

「今日はみさき先輩を誘いたかったから勉強してるだけのくせに」


 別のクラスのまー君がどれくらい勉強できるのかわからないけれど、まー君も唯ちゃんも勉強は出来るみたいだね。私もあんまり勉強するほうじゃないから唯ちゃんと遊んでようかな。

 そう思っていたのに唯ちゃんはスマホの画面を見ていると持ったら、急に立ってまー君に話しかけていた。


「お母さんが買い物から帰ってくるみたいだからお出迎えしてくる」


 唯ちゃんはいつも落ち着きがないみたいで騒々しいけれど、見た目が可愛いからそんなのは気にならないかな。少し気になるとしたら、兄妹の割にはまー君にやたらと甘えていたり、時々うっとりした目で見ていることくらいかな。

 それにしても、まー君のお母さんが帰ってくるなら私もいったん帰った方がいいのかな?


「お母さんが帰ってくるなら私も帰った方がいいかな?」

「なんで?」

「だって、付き合ったその日に家に来るのって変に思われないかな?」

「それはわからないけれど、うちの母さんは変わっているから大丈夫じゃないかな」


 でも、付き合ったその日に彼氏の家に行くと勝手がっつきすぎって思られないかな?

 お土産とか何も持ってきていないし、手ぶらで遊びに来たってのは大丈夫かな?


「迎えに行くってどこまで行ったのかな?」

「普通に駐車場だと思うよ。玄関の隣に駐車スペースあったと思うけれど、そこだね」

「そんなに近いのに迎えに行くなんて、家族で仲が良いんだね」

「唯は誰とでも仲が良いからね」


 まー君と唯ちゃんを見ていると兄妹の枠を超えた深いつながりがありそうな気もするけれど、まー君はあんまり相手にしていないみたいだし、その心配はないかも。どっちかって言うと、唯ちゃんの方がお兄ちゃん大好きな妹って感じが出てるから、心配するならそっち方面かな。


「ちょっとトイレに行ってくるけど、荷物が多そうだったらついでに手伝ってくるよ」

「うん、まー君はやっぱり優しいんだね」


 正直、このタイミングで席を外されるのは困ってしまうけれど、トイレを我慢させるわけにもいかないよね。まー君がいない時にお母さんが帰ってきたら気まずいし、唯ちゃんが一緒に居なかったらどう思われるんだろう?

 そんなことを考えながら庭の方を見てみると、唯ちゃんと女の人が窓の外からこちらを覗き込んでいた。ちょっと引いたけれど、唯ちゃんが私を手招きして呼び寄せると、窓の鍵を開けさせてそのまま靴を脱いで中に入ってきた。


「みさき先輩ありがとうございます。こちらがお母さんで、こちらがみさき先輩だよ」

「初めまして、正樹の母です」

「どうも初めまして。佐藤みさきです」

「唯から聞いたわよ、正樹と付き合ってくれているんだってね。あの子はちょっと他人と距離を置いているところがあるから心配だったんだけれど、みさきさんみたいに素敵な人が彼女なら私も嬉しいわ」


 何だかわからないまま握手を求めれらると、お母さんは私の手を両手で握って嬉しそうに微笑んでいた。まー君は確かに他人と距離を置いているかもしれないけれど、私が見たところ何人かはその距離の中に入り込んでいる人がいた。仲の良い男子とよくわからない女がまー君の懐に入り込んでいるのを私は知っていた。

 まー君のお母さんと唯ちゃんと三人で話していると、リビングのドアが開いてまー君が戻ってきた。もう少し早く戻ってきてほしかったけれど、今更文句も言えないし、お母さんも唯ちゃんも悪い人じゃないからそんなに気にしなくてもいいかな。


「あ、お兄ちゃん。どこに行っていたのかな?」

「正樹にも彼女が出来るなんて嬉しいわ。それもこんなに可愛らしい子だなんて」

「みさき先輩は私がむっちゃんの演奏を聴きに行った時に一目見ただけで憧れちゃった先輩なんだよ。お母さんにもその話したから覚えてるよね?」

「ああ、唯ちゃんが帰ってくるなり興奮しながら話していた人の話でしょ?」

「そうそう、あの姿はBlu-rayにして永久保存しておかないともったいないよ。人類にとって物凄い損失になるよ」

 正直そこまで感動させられるような腕前があるかと言われたら、自信をもってありますって言うことは出来ないけれど、そう言てもらえるのは嬉しかった。

 定期演奏会の様子は先生が毎回録画して編集もしてくれているのでDVDならあると思うのだけれど、私はちょっと理由があって持っていない。唯ちゃんの友達の山本さんだったら大事に保管してそうだな。

「あの、そこまでの演奏だったかはわかりませんけど、そう言ってもらえると嬉しいです。あと、定期演奏の時の映像なら山本さんに頼めばコピーしてもらえると思うよ」

「ええ、むっちゃんそんな事言ってなかったのに。今度頼んでみる……今頼んでくる。お母さんにも見てもらいたいし」

「あらあら、唯ちゃんは夢中になると前だけしか見てられないのね」


 私の言葉を聞いて唯ちゃんは山本さんに連絡を取りに行ったのかな?

 そこまで私の演奏に興味を持ってもらえると嬉しいし、ちょっと自慢したくなっちゃうかも。高校生になってから一度も吹いてないので下手になってるかもしれないので、今度練習しておかなくちゃ。今の感じだといつか演奏してって言われかねないしね。


「みさきさんは正樹と付き合っているんでしょ?」

「あ、はい。今日からお付き合いさせていただきました」

「今日から?」

「はい。付き合ったその日にお邪魔してしまってすいません」

「いいのよ。この子も思い立ったことをすぐに実行してしまうからね。まったく、誰に似たのかしらね」


 さっきも感じたけれど、まー君のお母さんは唯ちゃんが大きくなって落ち着いた感じだよね。そうなるとまー君はお父さんに似ているのかな?


「あのさ、買い物してきたみたいだけど荷物は大丈夫なの?」

「あら、すっかり忘れていたわ。ちょっととってくるけど、二人はちゃんと勉強してなさいよ。テストの勉強ね」


 テストの勉強以外にどんな勉強があるのかなって思って見たんだけど、想像したら顔が熱くなってしまった。付き合ったばかりでそう言う事は早いと思うけど、まー君も男の子だからそう言う事は考えているのかも。

 今はテスト勉強に集中しないといけないけど、夏休みにはどこかに一緒に遊びに行けたらいいな。


「なんで外に行くのに庭を通っていくんだ?」

「あ、まー君がトイレに行ったと同時にあの窓から入って来たから、そのまま靴を履いて出て行ったんじゃないかな?」

「唯も一緒だった?」

「うん、唯ちゃんも一緒だったよ」


 まー君はお母さんが出て行った窓の方まで行くと、しゃがんで何かを手に取っていた。まー君の手には可愛いスニーカーが握られていたのだけれど、それは右足のだけで左足はそのまま置いているようだった。そのまままー君はリビングを出て行ったのだけれど、まー君がいたところを見に行くと、そこには可愛いスニーカーの左だけが置いてあった。

 ちょっとして戻ってきたまー君は買い物袋を持っていて、そのまま奥のキッチンがあると思う方へ歩いて行った。さりげなくお母さんの手伝いをしているのは優しいなと思った。


「もう片方の靴はそのままでいいの?」

「ああ、あれは唯のお気に入りの靴だからそのままでいいと思うよ」

「お気に入りの靴なのに?」

「お気に入りの靴が見つからなかったら悲しいと思うしね」


 どうせなら片方だけじゃなく両方を片付けてあげればいいのになって思ったけれど、もしかしたら全部片づけを手伝ったらダメだって決まりがあるのかもしれないよね。

 それにしても、まー君は時計を見てソワソワしているようだった。もしかしたら、お母さんが帰って来たから部屋に誘われちゃうのかな?


「今日は誘ってなんだけど、勉強はここまでにしようか」

「え、うん。そうだね」

「母さんと唯がきっとすぐにここに来るから勉強も出来なくなると思うし、勉強しようって誘ったけど、今からは他の事でもいいかな?」

「大丈夫だよ。まー君の部屋で何かするの?」

「大丈夫、何もしないよ」


 付き合っているとはいっても、付き合ったその日にそんなことしちゃうのは問題なのかもしれないけれど、私は一目見た時からまー君が好きになっちゃったから何でも受け入れることが出来ると思うな。

 まー君の部屋は鍵が付いているって言ってたけど、それなら唯ちゃんに邪魔されることもなさそうだよね。

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