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ヤンデレ彼女×サイコパス彼氏≒純愛  作者: 釧路太郎
第二部 二人だけの世界編
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三日目の朝も変わらぬ始まり

 三日目の朝。昨日と同じようにみさきと一緒に食堂へと向かう。昨日の朝と同じでレベッカの姿は見えなかったのだが、また今日もどこかへ一人で遊びに行く予定なのかもしれないな。昨日は温泉から戻ってきてすぐに部屋へ帰っていったので今日の予定とかは聞けなかったのだけれど、レベッカが気まずい思いをしていなければまた一緒に何かして遊ぶこともあるだろうとは思う。

 昨日の夜がカレーだったという事もあって、朝ごはんもカレーだったりするのかなと思っていたのだけれど、朝ごはんは昨日と同じようなものが並んでいた。さすがに家とは違って二色続けて同じものが出たりはしないのだろう。ただ、僕は一週間毎回同じものが出てきても全く苦にはならないのだけどね。


「今日も朝はレベッカがいないんだね。朝ごはんも部屋で食べてるのかな?」

「そうかもしれないね。今日は土曜日だからご両親の仕事も休みなのかもしれないし、まだ寝てるって可能性もあるかもね」

「そうだよね。私はここに来てからよく眠れるようになったんだけど、まー君も割と寝るの早くなってるよね?」

「うん、いつもはなかなか寝付けないんだけどさ、不思議とここではぐっすりと眠れているんだよね。もしかしたらだけど、みさきが隣にいるからかな?」

「ああ、それは私も感じてたかも。まー君が近くにいると安心して眠れてるんだよね。最初の日はちょっと不安に思うこともあったけど、それを気にしなくなったら隣にいるのが当たり前みたいに感じて落ち着いてたのかも」

「だよね。じゃあ、今日は何かしたいことあるかな?」

「せっかく天気も良いし、旅館に引きこもってるのももったいない感じだよね。そうだ、ここに来る途中で見つけた看板が他にもあるか探しに行ってみたいかも」

「良いかもね。でもさ、どうせ行くなら他の場所で探してみたくない?」

「そうね。じゃあ、誰か集落の人にそれっぽい場所があるか聞いてみようよ」

「そうは言っても、食堂には他に誰もいないし、旅館の人達も裏で仕事をしているみたいだよね。お腹もいっぱいになったことだし、いったん部屋に戻ってから考えることにしたらどうかな?」

「あ、ちょうど自動販売機の所に誰かいるから聞いてみようよ。でも、男の人だったからまー君にお願いしてもいいかな。ちょっとまだ他の男の人は怖いかも」

「大丈夫だよ。みさきはそこで待っててね。ちょっと聞いてくるからさ」


 僕は食堂の入り口わきにあるベンチにみさきを座らせると、自動販売機コーナーに入っていたという人に話しかけるために移動した。一目見てこの人に聞いても何もわからないというのは分かったのだけれど、一応聞いておかない事には始まらないだろう。


「あの、すいません。ちょっと聞きたいことがあるのですがいいですか?」

「はい、何でしょうか?」

「僕たちはこの旅館に来る時にバス停から歩いてきたのですが、その途中に古い看板を見付けまして。もしかしたら別の場所に似たような看板があるのではないかなって思ってるんですけど、心当たりとかってあったりしますかね?」

「申し訳ないが、私もこの旅館の宿泊客でして、あいにくとそう言ったものに関して心当たりも無いんですよ。と言いますか、あなたはもしかして正樹さんですか?」

「はい、僕は正樹ですけど」

「おお、良かった。あなたには一目会ってお礼とお詫びを言いたいと思ってたんですよ」

「お礼とお詫びってなんでですか?」

「申し遅れましたが、私は正樹さんにお世話になっているレベッカの父です。ブラッドフォードと申します。ぜひ、私の事はブラッドとお呼びください」

「やっぱりそうでしたか。きっとそうなんだろうなとは思ってました。ブラッドさんはどことなくレベッカに似てるなって思ってたんですよ」

「似てると言ってもらえるなんて嬉しいです。ですが、私よりも妻の方がレベッカに似てるのですよ。いや、レベッカが妻に似てるって言うんですかね?」

「そっちの方がしっくりくると思いますよ。でも、お礼とお詫びってのは大げさだと思いますよ。僕たちもレベッカには楽しい時間を過ごさせてもらいましたからね」

「おう、そう言ってもらえるのはとても嬉しいです。ですが、レベッカは昨日正樹さんの背中でとんでもないことをしてしまったと朝まで泣いておりました、はっきりとは聞いていませんでしたがとんでもないことをしてしまったと泣いておりました」

「ちょっとびっくりしましたけど、僕もみさきも気にしてないので大丈夫ですよ。レベッカにも気にしないでまた遊ぼうって伝えてくださいね」

「なんと、正樹さんはとてもいい人ですね。レベッカも妻も今はまだ寝ているのですが、起きた時にはそのように伝えておきますね。そうだ、レベッカから軽く話を聞いているのですが、あなたの彼女のみさきさんはちょっと前に男性恐怖症になったと聞いております。私がいると二人の邪魔になると思いますので、ここで失礼いたしますね。それでは、レベッカの事をよろしくお願いしますね」

「こちらこそ、お気遣いありがとうございます。ブラッドさんも優しいですね。それに、日本語がとても上手ですね」

「ありがとうございます。仕事の上で日本語は重要ですからね。でも、まだまだ勉強中です。では、二人で楽しい時間を過ごしてくださいね。そうだ、もしよろしければ、レベッカのお礼もありますし、今夜一緒にディナーでもどうでしょうか、と言いたいところですが、私がいるとみさきさんも落ち着いて食事をとれないと思いますね。もしよろしければなんですが、お二人が温泉に行くときで結構なので私達を温泉に案内してもらってもいいですか?」

「案内と言っても特に特別な事なんて無いと思いますよ。それで良ければみさきにも伝えておきますが」

「ぜひぜひお願いいします。レベッカからここの温泉はとてもいいところだと聞いてますし、せっかく来たのだから入ってみたいと思ってるんですよ。でも、日本の温泉はマナーが色々あると窺ってますので、それを一通り教えていただけると助かります」

「マナーと言ってもやっといた方がイイよって事ばかりなんですけどね。それと、お風呂上がりの牛乳は美味しいけど飲み過ぎは危険ですからね」

「なんと、それは気を付けることにします」


 看板については何の成果も得ることは無かったのだけれど、どういうわけなのかブラッドさんたちと一緒に温泉に行くことになった。もしも、昨日みたいなことがあったとしても今日の被害者は僕になることは無いだろう。みさきにそれを伝えると、レベッカと一緒に温泉に行けるというのが嬉しかったようで、寝起きに頭を撫でてあげた時のように嬉しそうにしているのが印象的だった。


 とりあえず、昨日とも違う場所を目指して今日も散策してみよう。昨日の反省を生かして、今日は食べきれる量のお弁当にしてもらうことにした。お弁当自体はとても美味しいので無理をすればいくらでも食べられるのだけれど、無理をして一気に食べる必要なんてないのだ。美味しいものは美味しく食べられる量で満足しなければいけないと、僕はそう思っている。

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