表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とがびとびより、ロニーの物語。  作者: ヒトヤスミ
10/39

10

「……と思いきや、まだ続くんだなーこれが」



「???何言ってんだよ」


 突如意味の分からない台詞を口にしたロニーに対して、アンドレアの首が傾く。


「いや、なんとなく……言わなければ駄目な(?)気がしたんだよね」


「???はぁ、なんだそれ。今日一日、大変すぎて頭おかしくなったんじゃないのか?」


 二人が居るのは酒家豪腕。

 逢う日(定期報告日)ではなかったのだが、本日の一件を聞きつけたアンドレアが、一刻も早く話を聞きたくて、ロニーを呼び出した。


「明日も早いんだよ、勘弁してくれ、マジで…」


 溜息交じりのロニーが、アンドレアを非難する。


「まぁ、そう言うなって。色々と、こっちにも伝わってるんだよ今日の事は」


 ワクワクという擬音が聞こえてきそうなほど、興味を前面に押し出すアンドレアを見、ロニーはさらに深いため息、しかし、ロニーも敢えて誘いを断らなかった理由がある。


「なら、話は早い。そっち(一桁騎士団)経由で、なんか情報は?」


 これが、面倒くさい状況で呼び出しに応じた理由の一つであり、現状、一番手っ取り早く済む、と思われる手段だったが……


「え?無いよ」


 即・答。


「あちゃー、無いかー……つーか軽く言うなよ!」


 ロニーは片手でおでこをポンッと叩き、おどけた仕草でその答えを受け入れてから、反論の言葉を返す。ようはノリ突っ込みだ。


「おまえねぇ……だったら呼び出すなよ、マジで」


 がっくりと肩を落とし、恨めしそうな顔つきで、アンドレアを睨んだ。


「まぁいいじゃないの。それより詳しく聞かせろよ」


 ロニーの事情を、考慮する気はさらさらないようだ。


「どうせ、学院経由で話がいってんだろ?」


「まぁね……全く来てないわけじゃないんだけど、貴族絡みだから、上も慎重になってるのか……」


 事の顛末に対して、期待感を隠そうともしないアンドレアは、自身の知る限りは話した――今度はそっちの番だぜというサムズアップ!

 雰囲気に根負けしたロニーは、知る限り顛末を話し始める。


 長い話の途中、空になった麦酒をピートに注文したりしながら、全ての説明を終えた。


「なるほどねぇ、思ったよりキナ臭い状況だな……」


 ロニーは頷く。


「一応聞くけど、心当たりは?」


「無いと、言えると思うか?」


 言った側も言われた側も、その言葉に俯き、暗くなった表情で「ですよねー」と一言。


「しかしな……もし、一桁騎士団時代の事なら、一番最近でも三年も前の事になるだろ。粘着質だなぁ」


「やめろよ。そんなこと考えるだけでも気が滅入る」


 情報の少ない中、現段階で心当たりがあるとすれば、朝の日課時に感じる視線であろう――が、今の時点では誰にも伝える気はない。

 ここら辺が、マクシミリアンに格好つけていると言われる所以なのだが……自覚はやはり薄い。


「お前の方で何か分かったら情報くれよ――じゃ、俺は今日はもう帰る」


 席を立ち、帰り支度を始めるロニー。勘定はお前持ちだからなとアンドレアに一言。

 アンドレアは分かったよと仕草で応える。その際、彼は何か思い出したのか、帰りかけのロニーを呼び止めた。


「おい!そういえば手紙は来たのか?」


 席から数歩進んでいたロニーは振り向き、首を傾げる。


「手紙?」


「来てないのか?」


「誰からだよ、俺に手紙を出す知り合いなんて居ないし……昔からの知り合いで、今の住処を知ってんのお前くらいだろ」


 確かにそれは正論である。しかしそれは、アンドレアが誰にも住所を教えていない前提、その時点で話しが食い違っている。アンドレアは途中で、その食い違いには気付いたのだが、教えない方が面白いと考え、黙る道を選ぶ。


「……来ていないなら、いいんだ。俺の勘違いだよ」


「変なこと言うなよ気持ち悪い、じゃあな」


 出口に向き直り歩き出す、その背中にアンドレアの声が刺さる。


「がんばれよ、奉仕活動」


 今度は振り返ることもなく片手を挙げて出口に向かい、途中でピートに「御馳走様」と声をかけ店から出ていった。


「がんばれよ、相棒」


 にやにやと笑い顔を抑えられないアンドレアは、少しだけ残っていた麦酒を空にした。


「(……しかし、住所教えてやったのに、アイツ手紙出してねーのかよ。まぁ、いいか。いずれわかる事なんだし)」


 その後ピートに勘定を頼むとアンドレアも店を後にする。


 【ロニーの】長いような短いような一日が、これにて本当に終わりを迎えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ