愛する人4
すぐに駆けつけた消防隊などの人達によってトラックは動かさた。
俺は、最初意味がわからなかった。
何故、夢香の鞄が近くに捨てたように転がってるのか?
どうか夢香じゃありませように!
俺は願うしかなかった。だが、期待はすぐに裏切られた。
顔は、潰され、体の内臓は所々出ていた。
警察のひとは、これでは身元確認ができないと言っていたが、俺はすぐに誰かわかった。
「ゆ、め、か?」
その時の記憶は、ほとんど無くそして曖昧だった。警察に事情を聞かれてもなんで答えたかわからない。そう、俺はその時今の現状から逃げ出した。考えることを一瞬にしてやめた。
それから数日後、ニ戸田夢香の葬儀が始まった。夢香の親御さん達に俺は泣きながら謝った。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。…………」
俺は何回も何十回も謝った。そんな俺に夢香の親御さんは
「大丈夫。遊佐君のせいじゃ無いよ。そんなに自分を責めないでおくれ。
遊佐君に会えてあの子はとても変わっていった。口を開けばいつもいつも遊佐君のことを聞かされてきたんだ、夢香は遊佐君を守ろうとして自分自身を犠牲にした。そんなに自分を責めていたら夢香が浮かばれないじゃ無いか。
ほら、その涙を拭いて最後に夢香と話してきな!」
親御さんは優しかったが、今の俺はその言葉を聞いた瞬間改めて無くしたものの大きさを感じ、一層自分自身を責めた。しかし、親御さんの言葉を無視するわけには行かず、泣くのを我慢しながら夢香の元へ歩んだ。
夢香を見たとき更に涙が出てきた。
葬儀が終わり会場の外に出ていたら、夢香の親御さんと警察の人が話しているのを見かけた。
俺はその会話に聞き耳をたてていた。
「この度は、ご愁傷様です。
親御さん方に耳に入れておきたいことがあるんですが、お時間よろしいですか?」
「はい、それで..?」
「夢香さんを引いたトラックなんですが、どうも運転手が見つからず調べていたんですが、どうやら防犯カメラを調べたところ無人でした。」
「!?」
その言葉を聞いて俺は固まった。見てみると親御さんも固まっていた。それはそうだ、トラックが無人で動いているなんて有り得ない。
すぐに親御さんは、
「そんなのありえるんですか?
ふざけているならやめてください!」
と、こえを荒げて言った。しかし、警察は
「ふざけていません。確かに確認したことです。我々も一生懸命に捜査してますが、これは意味がわからないのです。私もにわかに信じ難い話しでありますが、受け入れるしかありません。
あそこは、緩やかですが坂道になっています。運転手が鍵を掛け忘れそのせいで動いたのでしょう。我々も今その運転手を探しておりますが、手掛かりがないため苦戦しております。
失礼します。」
そう言い、警察は帰って行った。
俺はしばらく固まっていたが、ふとケーキ屋の時の疑問が頭に浮かび上がってきた。あの日のことを今一度思い出してみたら、行き・ケーキ屋・帰り全てにおいて人がいないことを思い出した。
その時は、なんとも思わなかったが、今思えばおかしな事だ。
しかし、今の俺はそんなことまで頭が回らなくその場を後にした。
それから遊佐は、夢香の死を受け入れられず部屋にこもっていた。
夢香の葬儀から一週間と数日。
遊佐は、部屋の扉からコンコンと音がしたことで、目が覚めた。
俺は最初、母親だと思った。父親は仕事で海外にいるため家にいなく、母親はいつも俺を心配してくれていた。しかし、両親共働き。
俺は時間を見たが午後3時。母親はまだ仕事のはずだが?
そんなことを思っていたら扉の向こうから声が聞こえた。
「俺だけど、入っても大丈夫か?」
驚いた。
この声は、幼馴染の声だったから。
これから展開が変わっていきます。