愛する人3
店から出たあと遊佐と夢香は、最近の出来事について話していた。
「遊佐はさー、なんでこの学校に来たの?
結構頭いいから、もっと上の高校行けたじゃん」
その唐突な質問に遊佐は
「う〜ん。特に理由はないかなぁ。
高校はどこでもよかったし、なんか運命に導かれたみたいな?」
と、冗談まじりに答える遊佐。
「なにそれ〜」
と笑いながら夢香は
「でも、私もそんな感じかなぁ。
実際に遊佐とも、偶然会えたし」
と、他愛の無い事を言いながら帰っていた。
だから気づけなかった。後ろからトラックが二人に向かって突っ込んでくるのを。
「あぶない!!」
その言葉に気づき、二人は後ろを振り返った
刹那ーーーーー迫りくるトラックは二人に身動きをとらせる余地など与えなかった。
ドンッッ!!
凄まじい衝撃と轟音が周囲に走る
目を開くと俺は立っていた位置から数メートル離れていることに気づいた。
遊佐は立ち上がり今目の前に広がる光景を目の当たりにしていた。
トラックは、家の壁にぶつかっており悲惨な状態になっていた。
その光景を見ながら、夢香がいないことに気がついた。
「夢香、どこだ〜」
そう叫びながら必死に辺りを探すが 夢香はいなかった。
「キャー」
遊佐が探している最中、駆けつけてきた人達の一人が急に叫び声をあげた。その叫び声に気がつき、その人がさしている方向を見ると、壁とトラックの間に血が流れていた。
最初、俺はトラックの運転手の血だと思っていた。しかし、すぐに近くに行くと見慣れた鞄が近くにあった。
「ゆめか?」