魔人討伐
「神の悪戯に翻弄される冒険者」という連載作品を始めました。よければこちらもよろしくお願いします。
「魔神はかなり弱っているわ。おそらくブレット君でも切ることができるはずよ。だだし、近づくことができたらだけど。」
「どういうことです?」
「さっきも言ったように外は魔神が召喚した怪物であふれているの。」
そういうことか。俺では近づくことすら難しい、ということか。
「それなら、私たち全員で護衛するというのはどうでしょうか。」
ルナールが提案する。
「無茶よ。外にいるのはC~Eランクの怪物よ。」
ペコラさんは反対する。
「無茶はわかってます。でも、ここは無茶をすべき時なのでは?」
リオンが続く。
「僕たちでは討伐は無理でも、退けることぐらいならできそうだね。」
メナートが賛成する。
「ここには剣士、盾使い、魔術士、弓使いと職業もそろってますしね。」
イブーも声を上げる。これで、特待生は全員だ。
「死ぬかも知れないのに知らないわよ。」
ついにペコラさんが折れた。
「作戦は簡単よ。真っすぐ魔人に突っ込んでいく。これだけよ。指揮はルナール、あなたが執りなさい。」
「わかりました。」
「私は遊撃で戦うわ。あなたたちが倒せない怪物を率先して倒していくわ。」
俺たちが外に向かおうとした時、後ろから声がする。
「待って、ボクもいっしょに行くよ。」
そこには目を覚ましたアリエットが立っていた。
「アリエット、大丈夫なんですか。」
「うん。大丈夫だよ。その剣は、ボクの魔力で威力が増すはずだから、絶対ついて行くよ。」
アリエットはそう言うと俺の横までやってくる。
「ブレット。一緒に魔人をやっつけよう。」
「ああ。」
俺は力強く答えた。
外に出ると、そこは地獄のような世界だった。騎士や冒険者の死体がいくつも転がっている。建物は破壊され、魔法により燃えている。嫌なにおいが立ち込めている。戦闘をしているものはほとんどいない。辺りにはたくさんの怪物の死体が転がっている。おそらくペコラさんが来るときに倒したのだろう。
「見てください。魔人を発見しました。あそこです。」
ルナールが指差した先に魔人がいた。かなりの傷を負っていて、うずくまっている。体力を回復しているのだろうか。その間には無数の怪物がいる。
「それでは行きますよ。」
ルナールの号令とともに俺たちは魔人に向かって走り出す。
アードラとアクィラの矢とイブーの魔法が前方の敵を倒していく。生き残った怪物をリオンとエーゼルが受け止め、その後ろからルナールとカストールが仕留めていく。全員が一体となって倒していく。
「嘘、この子たちこんなに強くなってたの。」
ペコラさんが驚嘆の声を上げる。それもそのはずだ。ルナールたちはD・Eランクの怪物をどんどん倒している。
目の前に巨大な虎の怪物が現れ、俺たちの進路を塞ぐ。
「さすがにこのレベルは無理ね。こいつは私が相手をするわ。」
ペコラさんはそういと虎の魔物を弾き飛ばし、進路を開ける。魔人はまではあと少しだ。
「お前たち、何をやっている。さっさと逃げろ。」
俺たちを見つけたトローさんが近づいてきて、怒鳴る。
「トロー。その子たちを援護してあげて。」
後ろからペコラさんの声がする。虎の魔物と戦いながら叫んでいる。
トローさんは俺の持っている氷の剣を目にすると「なるほど。」と頷く。
「お前ら追いてこい。」
トローさんはそういうと、大剣を大きく振りかぶって振りぬく。剣から衝撃波が出て怪物を蹴散らしていく。
ついに魔人の前にたどり着いた。魔人は俺達に襲い掛かってくる。トローさんが前に出ると迎え撃つ。トローさんは吹き飛ばされるが、魔人はバランスを崩す。その隙をついて俺は氷の剣を突き刺す。魔人は悲鳴を上げ俺を突き飛ばす。どうやら浅かったようだ。
魔人は俺の剣の危険性に気づいたようだ。翼を広げ上空に逃げる。慌ててアードラとアクィラが矢を射るが弾かれる。
「このままでは逃げられる。」
そう思った時、光の矢が魔人の翼を貫く。光の矢は右側から放たれていた。そこには血まみれの師匠が片膝をついていた。師匠の魔法だったようだ。
「ブレット。何してる。さっさとやれ。」
魔人は地面に落とされ倒れている。俺はもう一度氷の剣を魔人に突き刺すと全体重をかける。剣は魔人の胸に深々と突き刺さる。魔人は目を見開くと俺を吹き飛ばす。最後の力を振り絞ったのだろう。凄まじい力だった。俺は吹き飛ばされる。アリエットが呪文を唱えると剣から凄まじい冷気があふれ出て、魔人を凍らせ、粉々に砕け散った。俺たちは魔人に勝利した。
それを見届けると、俺は意識を失った。




