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アリエットを助けるために

 ギルドに行くとペコラさん、カーネさん、師匠、そして知らない教師が話し合っていた。

「目が覚めたみたいね。」

 俺に気づいたペコラさんが声を掛けてくる。

「いろいろと申し訳ありませんでした。」

「次は気を付けるのよ。冒険者は冷静に対処しないとね。」

「全くだ。せっかく指導してやったのに俺の顔に泥を塗るなよ。」

 俺はペコラさんと師匠に怒られる。


「二人とも。もしかして、この子がさっき話題に上った学生かい?」

「ええ、そうです。彼がブレットです。チーニョ先生。」

 チーニョ先生と呼ばれた先生は俺をじろじろ見ている。

「確かにあの娘(アリエット)がよく話していた生徒の特長と似ているね。こんな子のどこがいいんだか。」

 チーニョ先生はぶつくさ言っている。

「ブレット君。チーニョ先生は初めてよね。紹介するわ。彼女はこの学校最高齢の先生で魔術のスペシャリストよ。」

 ペコラさんが紹介してくれる。チーニョ先生は魔術師らしく黒のローブを身にまとい、杖を持っている。正統派魔術師、といった服装だ。

「小僧、いいかい。よく聞きな。あの娘(アリエット)を助ける方法は一つだけしかない。あの封印魔法は術者が術を解くか、魔力が尽きるまで解除できない。自身を封印している以上、魔力が尽きるということはあの娘(アリエット)の死を意味する。だから、助けるにはあの娘(アリエット)に術を解除させるしかない。」

 どうやって封印されている本人に解除させるんだ?俺には無茶を言っているようにしか聞こえない。

「お前が思っているほど無茶なことじゃない。あの娘(アリエット)の精神世界に行って解除方法を教えればいいだけだ。」

「それじゃ、アリエットはすぐに助けられるんですね。」

「いや、一つ問題がある。」

 先生たちの顔が曇る。

「精神世界に他人が侵入すると、排除のために攻撃されることがある。だから、なるべく親しい人が入らなければならない。しかも今回はタイムリミットがある。あの娘(アリエット)の命が尽きかけている。本来なら血のつながった家族に頼むんじだけどね。今回は呼び寄せる時間はない。」

 それではアリエットは助けれないのか。いや、先生は助ける方法はある、と言ったはずだ。それになぜ俺にこの話をしている?もしかして・・・。

「察しがいいね、小僧。お前、あの娘(アリエット)のために命を賭けることができるか?」

 命を賭ける?俺がアリエットの精神世界に行くということか?何で俺が?

あの娘(アリエット)の指導をしていた時、お前の話がよく出てきてね。たぶんあの娘(アリエット)はお前に惚れているよ。同室のルナールって娘に聞いても同じ意見だったしね。」

「で、あなた達は付き合ってたの?寮でそういう噂も流れてたけど。」

 ペコラさん。何処でそんな噂を・・・。その噂の出所はカストールとルナールの二人か。

「いえ、仲は良かったと思いますが、付き合ってはいなかったです。」

「でも、寮の外でキスをしようとはしてたわよね。いい雰囲気だったわよね。」

 そうだった。あの時、ペコラさんに声を掛けられなければ、キスぐらいしていたかも。

「で、小僧、どうする。あの娘(アリエット)を助けに行くかい?失敗すれば死ぬことになるけどね。」

 俺の答えは一つしかない。行くに決まっている。俺はアリエットのことが好きだ。行かない、という選択肢は有り得ない。

「もちろん行きます。」

「小僧、覚悟は良いみたいだね。作戦は6時間後だ。それまでは、私と一緒に封印魔法の練習だよ。」

「封印魔法ですか?」

「そうだよ。あの娘(アリエット)が封印した物を再封印しないといけないからね。」

 こうして、チーニョ先生による封印魔法の補講が始まるのだった。



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