侵入作戦
「いいか、二人とも。儂が正門で軽い騒ぎを起そう。お前たちはその隙に裏口から侵入しなさい。後、この館の見取り図を渡しておこう。作戦は5分後に開始だよ。」
ギルド長はそう言うと、俺たちに見取り図を渡し、正門の方に歩いていく。俺たちは見取り図を見る。この館は地上2階、地下1階のようだ。
「どう思う。」
「一番怪しいのは、2階の主人の部屋、次が地下室だね。」
「俺は地下室が一番かな。」
意見が割れてしまった。
「よし。僕は2階の主人の部屋を目指すよ。ブレット、君は地下を目指してくれ。二手に分かれよう。」
「いいのか。」
「ああ、どのみちこの規模の屋敷ならすぐに侵入したことはばれるから、二手に分かれた方が効率がいい。アリエットかこの館が組織の隠れ蓑である証拠を掴んだら、いったん外に出て、ギルド長と合流する。そうしたら、ギルド長はこの館を一斉摘発できるはずだ。」
「わかった。」
作戦は決まった。
正門の方で大きな物音が聞こえる。馬車が門に突っ込んで、興奮した馬が暴れている。ギルド長、すごいことをやったな。正門から3人出てきたのを確認する。
「よし。行こうか。僕が先に潜入するよ。」
メナートはそういうと裏口から入っていく。続いて、俺も入る。あれ?今入ったばかりのメナートの姿が見えない。代わりに使用人と思われる女性が2人倒れている。眠っているな。辺りを見渡すと台所のようだ。おそらく雇われのの女中だろう。俺もすぐに台所を出て、地下室へ降りる階段に向かう。見取り図によると、この部屋の近くにあったはずだ。
階段はすぐに見つかった。降りていくとすぐに部屋がある。見取り図の通りだ。中から人の気配はしない。俺は、ゆっくり扉を開けると中を覗く。どうやら倉庫のようだ。床を見ても埃一つ落ちていない。よく掃除が行き届いている。小さな部屋だ。小麦、豆などが記載された。箱がいくつも置かれている。食物貯蔵室として使われているようだ。奥にもう一つ扉がある。調べてみたが、鍵がかかっている。罠はない。この程度の鍵なら簡単に開けられる。罠解除のほうが難しい。俺は、小さな針金を取り出すと鍵を開け、奥の部屋に行く。中は空だった。空き部屋だ。埃も積もっている。どうやら使われていない部屋だ。ここは外れだった。
引き返そうとした時、上から降りてくる足音が聞こえた。俺は慌てて奥の部屋に入り扉を閉め、内側から鍵を閉める。この部屋に入ってこられたらお終いだ。どうやら、降りてきたのは男二人のようだ。話声も聞こえる。俺は息を殺して聞き耳を立てる。
「面倒くさいな。全館見回りなんて。」
「そういうな。朝、本部に冒険者の強襲があって、現在交戦中だ。時期を合わせて、正門で馬車の事故だ。疑うなって方が無理だ。」
今朝から、交戦中。どうやら教団の隠れ蓑で間違いないようだ。
「よし。ここには誰もいないな。」
「まてよ。奥の扉の中を見てないぞ。」
やばい。この部屋に隠れる場所はない。扉を開けられたら、一発で見つかる。心臓がバクバクする。掌から汗が滲み出る。ドアノブが回され、ガチャガチャと音ががなる。万事休すか。
・・・
・・・・・・・
あれ?入ってこない。
「よし。鍵がかかってるな。問題ない。」
「中を見なくていいのか。」
「ああ。この部屋の鍵は1年以上前になくなってないんだよ。」
足音が遠ざかっていく。どうやらばれなかったようだ。さて、これからどうしようか。敵は警戒している。あっ。女中を寝かせたから、ばれるのは時間の問題か。これはギルド長に知らせて、援軍を頼んだ方がいいな。あまり時間をかけない方がいいか。ここから外に出るには裏口か表玄関を出ないといけない。
とりあえず、動くか。俺は、鍵を開けると、そっと食料貯蔵庫に戻る。そして、階段を登ろうとした時、自分は騙されたことを知った。
「やっぱり鼠がいやがったか。」
先ほどやり過ごしたと思っていたうちの一人がそこに立っていた。まずい。見つかってしまった。




