南門の防衛戦2
「ブレット君、大丈夫?」
戦闘後、カーネさんが血相を変えて走ってきた。
「今、連射と魔力付与を同時に使っていたでしょ。あれはかなり魔力を消費するはずよ。」
「ええ、ちょっと休めば大丈夫です。ただ、しばらくは魔力付与はちょっときついですね。」
「当たり前よ。魔力付与と連射は殲滅力はあるけど、魔力消費が激しいから相性が悪い組み合わせって言われているのよ。全くブラディボはなんて技を教えてるの。」
確かに、師匠にも「あまり使用するな」と釘を刺されていた技だ。ただ、師匠は非常に相性の良い組み合わせって言ってたような・・・。
「他の人もいるんだから、無理はしないでね。」
カーネさんはそういうと持ち場に戻っていった。無理をしていたつもりはなかったのだが、周りからは無理をしているように見えたようだ。・・・師匠の影響だろうか。
「すごかったわね。同じ連射なのにあの威力。流石ね。」
アクィラは普通に感心していた。
「アクィラの連射もすごかったよ。あと、アードラもお疲れ。」
「ありがとう。」
「ああ。」
二人とも少し疲れているが問題なさそうだ。そういえば、次の怪物が来ないな。相手のテイマーは魔力切れだろうか。良かった。これで休める。
「みんな、もう少しで東の掃討作戦が終了するそうよ。がんばってね。」
カーネさんの声が聞こえる。どうやら、冒険者たちは優勢のようだ。討伐が終わればこちらに援軍が来てくれることになっている。あと少しだ。
このまま作戦が終了してほしいと思っていたが、そう上手くはいかなかった。次の怪物の集団が攻めてきた。中央に死の蟷螂が10匹以上確認できる。大型の怪物だ。たしかランクはEではなかっただろうか。あとはクモとサソリとカエルの怪物もいる。初めて見たが結構手ごわそうだ。こちらは小型だが数が多い。全部で・・・うん、300匹くらいかな。
「ブレット、大きいのは俺たちに任せろ。小さいを頼む。」
門の方からイブーの声がする。イブーはすぐに呪文を唱え始める。初めて聞く呪文だ。呪文が完成すると地面が盛り上がり始める。土が巨大な人の形になっていく。これはゴーレムだな。イブーは3体のゴーレムを召喚している。これは頼もしいな。
「よし、俺たちはどんどん敵の数を減らすぞ。」
そういって、弓を撃つ。まだ、連射はできそうにない。アクィラも同じようだ。連射は結構腕に負担が来るので長時間はきつい。アードラは流石だ。剛射でサソリの怪物を倒していっている。
敵が門に近づいた時、本日2回目の氷の魔法が発動した。先ほどと同じ魔法だ。敵全体を氷の嵐が包み込む。かなり魔力を消費する魔法のはずだ。アリエットは大丈夫だろうか。アリエットは・・・いた。ルナールに抱えられて、門の内側に運ばれている。やっぱり無茶をして唱えたようだが、無事でよかった。
アリエットの魔法で三分の一の怪物が倒れた。だが、まだ100匹以上の怪物がいる。俺は味方に当たらないように気を付けながら、矢を射る。まあ、ほとんどが敵なのだが・・・。
一人だけ厄介な動きをする生徒がいた。特待生のメナートである。上から見ていると動きの異常さがよく分かる。ふっと消えると、怪物の後ろから剣を突きさしている。おそらく隠密のスキルだと思われる。悪いが彼の近くには矢を撃っていない。間違えて撃ってしまいそうだからである。残りの二人も同じ考えのようだ。だが、メナートは援護がなくても関係なく怪物を倒していっている。
イブーの召喚したゴーレムの働きもすごい。10匹以上いた死の蟷螂がもう5体にまで減っている。ルナールも獅子奮迅の活躍をしている。剣と魔法の両方を上手く使い分け、見方を助けながら敵をどんどん倒していっている。リオンが大剣を一振りすると、怪物が1~2匹吹き飛んでいる。どんだけ馬鹿力なんだ、あいつは。特待生の働きがすごいな。
しばらくして、大勢は決しようとしていた。こちらの勝利である。さすがにこちらも無傷とはいかなかったようだ。ルナールやリオンを含めて何名かが傷を負ったようだ。もっとも、死者や重傷者はいないようだ。こちらの完勝である。「これで休める」と思った時、下からルナールの悲鳴が聞こえた。




