南門の防衛戦1
ついに教団壊滅作戦が始まった。まずは西門から騎士団が東側から冒険者が出発した。これは陽動だ。俺たちは、騎士団の補填として南門に配置されたことになっている。今のところ怪物は攻めてきていない。「このまま来なければいいのに」と思っていたが、1時間ほどして怪物がやってきた。
「ドラゴンフライよ。ブレット君お願いね。」
カーネさんから指示が来る。ドラゴンフライ、蜻蛉か。俺は、弓を引くと狙いを澄まして矢を射る。
「えっ。遠くない?」
アクィラが叫ぶが、俺の放った矢は、悠々と敵を射抜く。
「すご、さすが遠距離狙撃ね。」
アクィラは感心している。俺はもう一匹を仕留める。となりでアードラも矢を射り始める。それを見たアクィラも慌てて矢を射り始める。ドラゴンフライはどんどん減っていく。結局、街壁に達したドラゴンフライは一匹もいなかった。師匠との修業で思った以上に弓術の技術が上がっていたようだ。
「二人ともお疲れ。」
「ああ。」
「ブレット君、すごいね。あんな遠くの敵に矢を当てれるなんて。」
相変わらずアードラはしゃべらず、アクィラは良くしゃべる。「さて、次の敵が来るまで休憩」と思ったら、次の団体さんがやってきた。アイアンアントの群れだ。20匹はいる。あれは外皮が堅いので、矢はあまり効果がない。今回、矢は街が用意してくれているが、無駄打ちは避けたい。
「アードラ、アクィラ。いけるか?」
「私は無理。」
アクィラは白旗をあげる。
「俺は大丈夫だ。」
アードラはそう言うと弓を射る。先ほどよりタメが長い。これが剛射か。矢は見事にアイアンアントに刺さる。俺も負けていられない。矢をつがえると魔力を付与して射る。俺の矢も問題なく蟻にささる。
アイアンアントは門に到達するが、残りは10匹程度だった。下に待機していたルナールたちにより、あっという間に切り倒された。それにしても、怪物の動きが変だ。統率がとれている。テイマーがいる、というのはどうやら本当のようだ。
「みんな、気を付けてね。たぶんどんどん来るわよ。」
カーネさんが注意を喚起する。おそらくカーネさんも同じことを考えているのだろう。
予想通り、次の団体がやってきた。さっきより大規模な集団だ。アイアンアント、ドラゴンフライ、それに巨大甲虫。さきほどより、数が多い。アイアンアントとドラゴンフライはそれぞれ100匹近くいる。そして、巨大甲虫。数は5匹だが、全長5メートル近くの巨大甲虫。堅い外皮と強力なパワーを誇る。たしかFランクの怪物だ。
「アードラ、巨大甲虫を頼む。倒せなくてもいい。できるだけダメージを与えてくれ。」
「わかった。」
「アクィラ。ドラゴンフライを頼む。連射を使ってなるべく多く倒してくれ。俺はアイアンアントをやる。」
「わかったわ。」
連射は多い敵の殲滅にとても有効なスキルである。師匠お勧めのスキルだ。一方、腕にかなりの負担がかかるという欠点もある。長時間連射するとしばらく腕を動かすのがつらくなる。だが、ここで使わないと、まずい。何しろ数が多い。
俺はアイアンアントを狙うが、連射だけだとおそらくほとんどダメージを与えられない。そう、ここで使うのは連射と魔力付与の二つを同時に行う。師匠との修業の最後の方でなんとか形になった俺の奥の手だ。まさかこんなにすぐに使うことになるとは思っていなかった。俺は矢をつがえると魔力を付与し、射る。これを連続で行う。しかも、休みなく、通常よりも早いスピードで。
見る見るうちに俺の魔力と腕力が減っていく。同時にアイアンアントの数も激減していく。門に近づくまでに半分くらいは倒したはずだ。アクィラもドラゴンフライを40匹は倒している。それでもまだ100匹以上のモンスターが残っている。「きびしいか」と思った瞬間、巨大な吹雪が敵全体を包み込む。これは氷の嵐?いや、それよりもっと上位の呪文だ。おそらくアリエットだろう。残った敵をルナールやリオンたちが討伐していく。リオンは巨大甲虫を真っ二つにしている。あいつ、どんだけ強くなってんだ?
問題なく残りの敵も始末できたようだ。ルナールたちが帰ってくる。大きな怪我をしている様子も見えない。俺たちは無事に第3波も退けることができた。




