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ゴブリン討伐3

「師匠、初めからその光の魔法を使ってくれればよかったのに」

 俺が文句を言うと頭を叩かれた。痛い、体罰反対。

「馬鹿か。おかげで洞窟の暗闇での戦いを少し経験できただろうが。文句をいうくらいなら、自分でこの呪文を覚えろ。」

 むこうではリオンもトローさんに怒られている。むこうも厳しいようだ。

「師匠、これからどうするんですか?」

「このままだ。もうしばらく、お前たちだけで攻略だ。特別に光は付けたままにしてやる。」


 光の魔法は術者から10メートルぐらいの距離を照らす魔法だ。どういう理屈かわからないが、曲がり角の先までも照らしている。そう、術者が10メートルで歩いて行ける範囲すべてを照らすようだ。逆に壁を隔てて向こうの部屋などはもちろん照らされない。この魔法の欠点は、相手に自分たちの位置がばれるということだ。光の境界から歩いて10メートル先に術者が必ずいるからだ。


 俺たちは進行を再開した。相変わらず一本道だが、ゴブリンに遭遇する頻度が増えた。相手に侵入したのがばれたようだ。ゴブリンは正面から突っ込んでくるので対処が楽だった。弓矢で倒すという簡単なお仕事だった。彼らは学習をしないのだろうか。

 4度目のゴブリンの団体はこれまでと違っていた。むやみに突っ込んでこない。どうやら学習したようだ。ゴブリンが7匹か。多いな。・・・いや、ゴブリンウォーリアーとゴブリンメイジが1匹ずつとゴブリンが5匹か。ゴブリンメイジがいる以上、ゆっくりとはしていれない。魔法を唱えられると、こちらは分が悪い。俺はゴブリンメイジを狙って矢を射る。矢はゴブリンウォーリアーにより防がれる。同時に、5匹のゴブリンが突撃してきた。しかたない。俺とリオンはゴブリンに向かって矢を射る。矢はそれぞれ1匹ずつ射殺す。これで2対3だ。俺たちは短剣を手に応戦する。

 俺には1体が切りかかってきた。良かった、1体で。1対1なら脅威はない。俺は相手の剣をかわすとゴブリンの喉元に短剣を突きさす。リオンは大丈夫だろうか。リオンの方を見ると2匹目を切り伏せていた。流石特待生。剣の腕前は俺より数段上のようだ。後は2匹、と思った瞬間、俺たちを爆炎が襲う。ゴブリンウィッチの魔法だ。俺は吹き飛ばされて壁に激突する。背中にひどい痛みが襲う。向こうからゴブリンウォーリアーが突進してきている。まずい。


「ここまでか。まあ、こんなもんか。」

 師匠がいつのまにか俺の前に出てくる。突進してきたゴブリンウォーリアーを難なく倒す。むこうで悲鳴が聞こえる。見るとトローさんがゴブリンメイジを倒していた。

 リオンの方を見ると、切り倒した2匹のゴブリンといっしょに倒れている。顔色が悪く、体中から汗をかいている。

「毒だな。ゴブリンは剣に毒を塗ることがある。おそらくあの二匹のゴブリンの剣に掠ったんだろう。おい、治療をいそげ。」

 執事がポーションを取り出し飲ませる。俺も自分用に受け取っていたキュアポーションを使う。痛みが引いていく。まだ少しふらつくが、なんとか歩けるようになる。リオンの方を見ると体を起こして、ポーションを自分で飲んでいる。

「リオン、大丈夫か?」

「ああ、すまんな。毒が塗ってあったみたいだ。もう大丈夫だ。お前は大丈夫なのか、ブレット」

「ちょっと、めまいがするがなんとかな。魔法で吹き飛ばされちまった。」

 このまま反省会をしたいが、洞窟の中ではまずいだろう、と思っていると後ろから、予想外の言葉が掛けられた。

「お前たち、敗因はなんだ?」

 トローさんが聞いてくる。

「ここで反省会ですか?」

「心配するな。ブラディボが辺りを警戒している。お前たちが動けるようになるまでの反省会だ。」

 確かに、俺たちは動けない状態だ。休憩が必要か。それが反省会に使われてるのか・・・。

「油断でしょうか。刃に毒が塗ってあるとは思ってもいませんでした。」

 リオンが答える。

「違う。問題はそこではない。」

「2対3で戦ったことでしょうか。」

 俺が答える。

「違う。もっと根本的なことだ。」

 根本的なこと?なんだろう。

 トローさんは呆れている。

「お前たち、ゴブリンウォーリアーとゴブリンメイジは上級怪物(モンスター)だ。二人で勝てるはずがないだろう。」

 なるほど。確かに根本的なことだった。相手に勝てない相手がいる時点で師匠やトローさんを頼るべきだったのだ。



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