ゴブリン討伐1
違っていた。師匠が持ってきた依頼は良いではなく凶悪なものだった。
討伐依頼
ランクD以上(複数パーティー推奨)
南の洞窟に住みついたゴブリンの殲滅
ゴブリンキングが発生している可能性有
報奨金 ?
俺は依頼内容を見て絶句した。明らかに俺のような学生が参加していい依頼ではない。ゴブリン一匹なら問題ないかも知れないが、何匹も集まると危険度が跳ね上がる。ゴブリンの上位種であるゴブリンウォーリアやゴブリンメイジなどは初心者が戦っていい相手ではない。まして、ゴブリンキングともなると上級冒険者の出番である。
「師匠。さすがにこの依頼に俺が参加するのは無理では・・・」
「たかがゴブリンごときで怖がるな。じゃあ受付が選んでいた依頼にするか?」
師匠は俺に依頼書を見せる
討伐依頼
ランクA
東の国境のブラックドラゴンの討伐
報奨金10000000ゴールド
ランクA、ブラックドラゴン?
「無理です。ゴブリンの方がいいです。」
「だろう」
だが、複数パーティー推奨の依頼に単独パーティーで挑むのは無謀な気がする。
「師匠、俺たち4人で挑むんですか?すみませんが、俺は戦力としては当てにならないですよ。」
「心配するな。お前がお荷物なのは分かってる。もう2パーティーは集める。」
お荷物か。分かっていることだか、面と向かって言われるとへこむな。
しばらく、待ったが他のパーティーの参加者は集まらなかった。当然か。ゴブリンキングと聞けば、上級冒険者でも二の足をふむはずだ。師匠のように喜んで受ける冒険者は他にいないだろう。・・・いや、ペコラさんなら喜んで受けるかな。クヴォレ先生も受けそうな気がする。俺の周りには戦闘狂が多いな。
「仕方ない。身内から探すか。」
師匠はそう言うと、執事に指示を出す。執事は一礼するとギルドを出て行く。30分後、執事は3名の騎士と帰ってきた。
「一組だけご承諾いただけました。まもなくこちらに到着すると思います。人数に不足があると思い、本邸から3名連れて来ました。」
しばらくすると、やって来たのはトローさんとリオンだった。トローさんはババリア冒険者ギルドで出会った冒険者だ。クヴォレ先生の知り合いらしく一緒に学校までやってきて、そのままこの町に滞在している。そういえば、校内でもよく会うな。なぜだろう。
「ブラディボ、久しぶりだな。」
「龍殺し殿、お久しぶりです。」
伯爵のはずの師匠が敬語を使っている。トローさんって貴族だったのか?ん?今、師匠はトローさんを何と呼んだ?・・・龍殺し?
「師匠、龍殺しって」
「知らないのか。トロー殿は古龍を退治した伝説のパーティーのリーダーだった人だぞ。」
その話は知っている。近年の三大偉業の一つとされている話だ。演劇にもなっているほどだ。トローさんって有名な方だったんだ。
ギルドの一室を借りて、作戦会議を開くことになった。
「ブラディボ、このメンバーでやるのか。」
「ええ、その予定です。それより、トロー殿、今回は洞窟でゴブリン狩りですよ。いいんですか。」
「構わんよ。こいつに狭い場所での戦い方を教えてたんでな。その練習だ。」
トローさんが豪快に笑いながらリオンを指さして答える。
「実は、こっちもそいつに罠発見のスキルを教えてたんで、ちょうどいいかと。」
二人がニタニタ笑ってこちらを見ている。・・・嫌な予感しかしない。リオンも同じようだ。下を向いてうつむいている。師匠とトローさんは二人で楽し気に何か話し合っている。
「作戦が決まったぞ。」
しばらくして、トローさんがそう言うと、作戦を説明し始めた。
・・・
・・・・・・
それは作戦とは呼べないものだった。俺とリオンに死ね、と言っているだけだった。




