師匠はきびしかった
「とりあえず、最低限の戦闘スキルの修得は必須だ。弓術はLv5、剣術と格闘術はLv3はほしい。あとは身体強化だな。他のスキルに関しては適性を見ながら教えていこう。」
師匠は補講の予定を立てているが、2週間では無理な気がする。そういえば、魔力付与と身体強化の両方覚えるとランクF相当とカーネさんが言ってなかったか?
「あの・・・」
「悪いが時間がない。質問はなしだ。まずは身体強化からだ。」
質問すら認められなかった。
「いいか。身体強化とは魔力で肉体を活性化させるスキルだ。とりあえず、魔力を意図的に全身に行き渡らせてみろ。」
この技術は魔力操作の応用でできそうだ。意識して全身に魔力を送る。
・・・
・・・・・・
思った以上に難しいな。体の末端まで魔力を行き渡らせるのはかなり集中力がいる。しかも、魔力の消費量も馬鹿にならない。
「おい、魔力を出し過ぎだ。もっと少なくしろ。魔力を薄く引き延ばす感じだ。」
俺は魔力を減らしていく。今度は減らしすぎた。加減がよく分からない。
「師匠。コツとかないんですか。」
「さっきも言ったように薄く引き延ばす感じだ。あとは、なるべく均一な厚みにしろ。」
1時間後、俺の魔力が尽きたが1回も成功しなかった。俺はもうへとへとだった。
「よし。そろそろ昼飯にするぞ。」
やっと休憩できると思ったりもしたのだが、それほど甘くなかった。食べなから薬草学の講義があった。食事くらいゆっくりさせてほしい。
昼からは格闘術の練習のようだ。それにしても体の調子が良い。これはもしかして、能力付与料理だろうか。
「師匠。さっきの昼飯能力付与料理ですか。」
「よく分かったな。効果は体力増加と自然回復量増加だ。急いで訓練を開始するぞ。」
格闘術の基本的な型を教わった後、ひたすら組み手をすることになった。ここで師匠の超人ぶりを身にしみて知ることができた。師匠は、俺の特訓をしながら自分の仕事もこなしていた。
「街道の補修は最優先でしろ。次」
「孤児院が予算の増額を求めています」
「ブレット、大振り過ぎる。もっとコンパクトに。・・・孤児院の子供の数が増えたとは聞いてないが、増額申請の理由は?」
「嘆願書には書いておりません。」
「却下だ。次」
2時間後、俺はボロボロになって倒されていた。師匠は涼しい顔をして書類を確認している。
「そういえば、能力付与料理に興味があるのか?」
俺は学校の食堂の板前長に弟子入り中であることを伝える。
「それで料理スキルLv1があったんだな。よし、着替えたらすぐに厨房に行け。家のコックは板前長の師匠だ。ついでに習ってこい。俺は今から仕事がある。分からないことはそいつから聞け。」
師匠はそういうと去って行った。訓練所には俺と先ほど書類を読み上げていた執事が残された。
「やれやれ、若様には困ったものです。ブレット様、大丈夫ですか。あの方の指導は行き過ぎるところもあるので出来そうになかったらちゃんと口にだしていってくださいね。」
どうやら心配してくれているようだ。俺は体中を確認するがおもったほど傷も痛みもなかった。2時間も殴られ続けたのに。
「大丈夫です。ありがとうございます。」
「そうですか。それではお部屋にご案内します。」
「部屋ですか?」
「2週間程お泊まりすると聞いたのですが。違ったのですか?」
「そうなんですか。」
「まあ、お部屋の準備は出来ております。お着換え等もすべてご用意しております。どうぞこちらに。」
執事は案内をはじめる。どうやらお泊まり確定のようだ。




