教師は来ない
ギルド前には12名の学生が集まっていた。ルナールたち特待生組4名とアリエットの他にエーゼルもいた。カストールは来ていないようだ。他の5名は顔を見たことはあるが・・・、うん、名前は覚えてないな。ただ、ここにいる以上実力はあるのだろう。
「思った以上に集まったわね。」
やってきたペコラさんが開口一番に言ったセリフだ。後ろにはクヴォレ先生、トローさんなど6人の教師が立っている。おそらく今回マンツーマンで指導をしてくれる教師陣だろう。ペコラさんを入れて7人。おそらく魔力付与を修得した人数だろう。
「しかたないわね。あと5人どっかから引っ張ってくるとして、とりあえず、誰が誰を教えるかを決めるから、面接をします。まずはルナールからね。」
面接は、現在取っているスキルを聞かれ、どうのような冒険者になりたいかを伝えるだけだったので、一人5分もかからずに終わった。全員の面接が終わると、生徒と教師のマッチング作業になったが、かなり紛糾した。適性のあったマッチングがなかなか決まらなかったからだろう。1時間後、やっとマッチングが決まったようだ。教師の数も11人にまで増えている。あれはカーネさんか。間違いない。どうやらカーネさんも教師として呼ばれたようだ。彼女はギルド職員のはずだがいいのだろうか。そういえば、トローさんも冒険者か。
「それでは指導教師が決まりました。まずルナール。あなたは私が指導します。」
ペコラさんがマッチングを発表していく。特待生のリオンはトローさんだ。ともに大剣がメイン武器なのでなるほどだ。エーゼルはクヴォレ先生か。エーゼル、がんばってくれ。どんどん発表されていくが俺の名前は出てこない。
・・・
・・・・・・
「最後にブレット。君はブラディポが指導するから。」
ブラディポ?知らない名前だ。辺りを見渡すが、それらしい人物はいない。そういえば、教師はまだ11人しか集まっていない。来ていない最後の一人だろうか。
「ブラディポはいそがしいからちょっと遅れるから待っていてね。」
「わかりました。」
どうやらここに居ない最後の一人が俺の指導教師のようだ。どんな人だろうか。「みんな、2週間死なないようにがんばってね。」というペコラさんの不吉な言葉が聞こえると、他の生徒と教師はいなくなった。俺は一人ポツリと残された。
この暇な時間を無駄にしない様に魔力操作の訓練をすることにした。LV3の訓練法はほとんどマスターしたので、最近はLv4の訓練法をしている。これはまだまだ上手くできない。30分後、ブラディポさんはいまだにこない。仕方ないので、今度は剣術の練習をする。以前習った型の復習だ。30分後、いい汗をかいたが、いまだに教師は来ない。
(忘れられてないか?)
もうすでに1時間が経過している。ちょっと遅れる時間ではない気がする。どうなっているのだろうか?
「あれ?ブレット君。何やっているの?」
ギルドから出てきたカーネさんが俺を見つけて話しかけてきた。
「いえ、緊急強化補講の指導の教師が来ないので待ってるんです。」
「まだ来ないの?誰が教師になったの?」
「ブラディポさんって方ですが、ご存知ですか?」
「ブラディボ・・・。ペコラがそういったの。」
カーネさんの表情が明らかに変化した。明らかに驚きの表情だ。何かまずいことでもあるのか?驚き方が尋常ではない。
「ブレッド君、ちょっと待っていてね。確認してきてあげるから。」
カーネさんはそういうと全力で走り去っていった。そのスピードは完全に一般人のそれではなかった。彼女は元一流の冒険者だったんだろうか?とりあえず、俺はもうしばらく待つことになった。




