緊急強化補講って何?
「騎士団、最悪よ。危険が確認できない。金が掛かる。とかいろいろ理由をつけて動く気ないわ。一応、自分たちで調査して危険があるようなら騎士団を派遣するって言ってたけど、いつになるかわからないわね。」
入った来るなりカーネさんにまくし立てている。よっぽど腹に据えかねていたんだろう。おそらく俺の事にも気づいてないだろう。
「ペコラ、後ろ」
カーネさんに言われ、後ろを振り向いて俺の存在に気づく。
「あれ・・・。ブレット君、いつからここにいるの?」
「初めから居ました。」
「そうなの・・・。今何か聞こえた?」
「・・・ばっちり全部聞こえました。」
「忘れてくれない?」
「しゃべらない、というなら可能ですが、本当に忘れるのは無理だと思います。」
ペコラさんがかなり悩んでいる。どうやらかなり聞いてはいけないことを聞いたようだ。おそらくモンスター異常増殖と変異に関することだろう。
「ところでブレット君。なんでここにいるの?」
俺はカーネさんに相談に来たことを伝える。
「ごめんなさいね。ずっと忙しかったから。ついでだから私からもアドバイスしてあげるわ。カード見せて。」
俺はカードを手渡す。それを見たペコラさんの驚きの声を上げる。
「へえ、思った以上に頑張っているわね。そうね。身体強化は取ったほうがいいわよ。後は弓を主体でするなら敵探知のスキルが便利ね。」
「ちょっと、ペコラ。そのスキルは二つともかなりレベルの高いスキルよ。まだ早いわ。」
「そうなの?」
「身体強化と魔力付与の両方修得すると、実力的には冒険者ランクF相当よ。」
「私は学生の時に両方覚えたわよ。」
「あなたが特別なの。」
どうやらペコラさんは昔から規格外だったようだ。ペコラさんに相談してもどうやら的外れな回答が返ってくるだけのようだ。帰るか。何か嫌な予感もするし。
「それじゃ、俺はそろそろ帰りますね。相談に乗ってもらってありがとうございました。」
俺はそういうとそそくさと帰っていった。
次の日の朝、談話室は騒然としていた。掲示板の前には人だかりができていた。
「おいブレット、凄いことになったな。」
カストールが話しかけてきた。何があったんだろう。
「どうしたんだ。みんな掲示板の前に集まって。」
「なんだ、お前見てないのか。お前は当事者だからちゃんと見ておけ。」
何が張ってあるんだろう?俺は人だかりをかけ分け掲示板の前に行くと一枚の紙が貼ってあった。
緊急強化補講について
・ 内容は通常授業を超えた授業内容で、マンツーマン指導になる予定
・ 期間は本日から2週間。
・ 参加資格者は魔力付与修得者および、期末試験受験資格のスキルの修得者
・ 補講参加者には特別依頼の要請の可能性あり
希望者は本日9時にギルドに集合するように。
とても危険なにおいのする補講だ。マンツーマン。しかも授業時間中に。しかも特別依頼の要請の可能性あり、というのがものすごく気になる。書かれていないがおそらく発案者はペコラさんな気がする。おそらく参加すれば劇的に強くなるのだろうが、命の危険もある気がする。
「ブレットさん。もちろん参加しますよね。」
突然後ろから声を掛けられた。この声はルナールだ。後ろを振り向くとルナールとアリエットが立っていた。
「ボクたちは参加することにしたんだ。君もするでしょ。」
アリエットが笑顔で聞いてくる。この笑顔は反則だ。俺はつい「はい」と言ってしまった。
「それでは行きましょうか。ブレットさん、がんばりましょう。」
ルナールそう言うと出口に向かって歩いていく。アリエットもそれに続く。そして俺も。しかしその足取りは重かった。




