目指す方向性
先日の授業で俺は一躍有名になった。原因はあの教師のデカい声だ。同級生の一部には魔力付与の達人のように見られている。困った話だ。実際は特待生組のほうが上手い。特にイブーは別格だ。彼はゴーレムなどの魔法生物や魔法道具を作るスキルを求めてがんばっている。どう見ても、学生のレベルではない気がするが・・・。
俺が部屋で悩んでいると、カストールがからってきた。
「達人様が何を悩んでいらっしゃるのですか?」
「やめてくれって。達人じゃないって。」
「お前マジメだな。別にいいじゃないか。」
「俺としてはいやなんだよ。」
「心配するなって。しばらくしたらほとぼりが冷めるって。ただ、お前の実力ってかなり高いと思うぞ。」
「そうか?」
「お前なあ。魔力付与を何人が修得できたと思ってるんだ。たった7人だぞ。」
「でも、剣術のスキルはLv2だぞ。」
「弓術はLv4だろ。それにまだ授業で習ってない調剤や指揮のスキルももっているだろ。たぶん1年でお前ほどスキルを持っている奴はほとんどいないぞ。」
「そうかな。」
「それこそ、オリエンテーションでペコラさんが言ってたオールマイティを目指せるんじゃないか?」
「高いレベルでオールマイティならいいけど、低いレベルでオールマイティは器用貧乏って言うんじゃないか」
「・・・そうかもな。一度、ペコラさんに相談してみたらどうだ?」
「そうだな。一度相談してみるか。」
次の日の放課後、ペコラさんを探したが見つからなかった。そういえば、最近見かけていない気がする。最後に会ったのは掃討作戦の時か。今、学校を離れているのかもしれない。他に相談できる人はいるだろうか?
・・・
・・・・・・
そうだ。ギルドのカーネさんがいた。俺はギルドに向かった。
現在、校外活動が禁止されているため、ギルドに来る学生はほとんどいない状態だった。
「こんにちは」
「あら、いらっしゃい。確かブレット君だったよね。」
「覚えていてくださったんですね。ありがとございます。」
「今日はどうしたの?まだ依頼受注はできないわよ。」
「今日は相談したいことがありまして。お時間よろしいですか?」
「いいけど、相談って私に?」
「本当はペコラさんに相談するつもりだったんですが、最近、見かけていないので。」
「ペコラは用事があって校外に出ているわ。で、相談って何?」
「はい、これからどの授業を受けていこうか迷ってまして、アドバイスがあればと思いまして。」
「難しい問題よね。ちょっとギルドカードを見せて。」
俺はギルドカードをカーネさんに手渡す。カーネさんはカードを更新するとスキル欄をまじまじと見ている。
「結構がんばってるわね。もう期末試験の受験に必要なだけのスキルを取得しているわね。それにしても、いろいろな種類のスキルを取ったわね。確かにこれは難しいわね。」
そういうと、ギルドカードを俺に返す。最後に見たときよりもスキルが増えていた。
学生冒険者カード
ブレッド
職業 なし
ランク 学生
スキル
剣術Lv2 魔術Lv3 弓術Lv4 格闘術Lv1 new後衛術Lv1
探索Lv3 隠密Lv2 野営Lv3 指揮Lv3 調剤Lv2 魔力操作Lv2 new魔力付与Lv1 new料理Lv1
薬草の知識Lv2 探索の知識Lv2 魔術の知識Lv2 魔力操作の知識Lv2
「やっぱり君がどういう冒険者を目指すかよね。魔法は苦手って言ってたわね。それなら、近接戦闘のスキルを取って前中衛を目指す方法があるわね。他には後衛で攻めは弓という選択ね。その時は調剤スキルを伸ばしたり、他の補助スキルを修得するのもいいかもね。」
「他の補助スキルですか。」
「ええ。例えば、罠発見や罠解除といった盗賊系スキル、隠密と併せて哨戒を取って偵察をするとか、警戒系のスキルは探索時、休憩時両方で重宝するわね。」
「どちらかと言うと近接は苦手なんで、後者ですかね。参考になりました。ありがとうございます。」
「カーネいる。散々だったわ。騎士団は動きそうにないわ。」
俺がギルドを出ようとした時、ペコラさんがやってきた。どうやら帰って来たようだ。




