魔力付与
ついに魔力付与の授業を受ける日が来た。魔力付与は現在一番気になる魔法である。先日、能力付与料理も魔力付与であることがわかった。弓矢や剣に付与すれば懸念していた攻撃力アップにもつながる。俺と同じことを考えている生徒が多く、魔力操作Lv2をクリアした生徒のほとんどが授業を受けている。
教師が入ってくるなり、大きな声でしゃべりはじめた。
「いいか。魔力付与は非常に便利な魔法だ。武器に付与すれば攻撃力が上がる。防具に付与すれば防御力が上がる。上手くすれば属性を付けることも可能だ。」
ここにいる学生はこのスキルの有用性を理解してきているものがほとんどである。言われるまでもないことだが、実際に教師からそう宣言されると身が引き締まる。それにしても、この教師の声はデカい。ちょっとうるさいくらいだ。
「冒険者ギルドは知っての通り、SからIの十段階にランクが分かれている。通常はIランクスタートだ。魔力付与Lv1を修得していると、最低でもGランクになる。」
思った以上に有用なスキルのようだ。教師も力がこもっているせいか声がでかい。
「やり方は簡単だ。魔力を付与したい物を体の一部と思い、魔力操作の要領で魔力を流せばいいだけだ。今日は鉄の剣に魔力を流す練習をする。鉄は比較的魔力を流しやすいがミスリルやオリハルコンほどではない。後、お前たちレベルなら大丈夫だと思うが、魔力を流し過ぎると壊れることがあるからあまり大量の魔力を一気に流すな。」
俺は練習用の鉄の剣を受け取ると魔力を流そうとしてみる。指先までは魔力が流れているが、剣には魔力が流れていない。思ったより難しい。
30分後、全然成果が出ていなかった。周りを見てみると、ほとんぼの学生が苦戦している。ルナールやイブーの特待生たちは成功している。負けてられない。
「剣を体の一部と思ってっか」
あらためて鉄の剣を手にとって見てみる。いつも使っている剣より少し重く、重心の位置が違う。いつもと違うので手に持つと違和感を感じる。
「先生。いつも使っている剣でやってもいいですか?」
「持ってきているのか?」
俺が収納魔法から剣を取り出すのを見ると、先生はニヤリと笑って許可してくれた。
「見た感じ材質的には魔力を流しにくそうだが、まあがんばれ。」
俺は深呼吸をすると目を閉じ、再び剣に魔力を流していく。先ほどと違い持っている手に違和感はない。魔力が指先から剣に流れていくのを感じる。目を開けて剣を見てみると、剣に魔力が流れていた。成功だ。
「ほう、成功か。それにしても綺麗な魔力の流れだな。もう一度鉄の剣でやってみろ。」
見ていた教師が大声で指示する。大声のため周りの生徒がこちらに注目している。緊張する。俺は鉄の剣を手に取ると目を閉じる。やはり少し違和感がある。魔力を流していくと指先までしか魔力が流れていないのがわかる。周りの学生が「失敗だ。」とささやいているのが聞こえる。だまれ、気が散る。先ほど成功したときと魔力の流れが違う。剣の持ち方や魔力の出力などを少しずつ変えて調整してみる。
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・・・・・・
ここだ。魔力が通った感じがする。目を開けて剣を見てみる。成功だ。周りの学生から感嘆の声が上がる。
「よし。それだけ上手にできれば合格だ。慣れれば装備している防具にも魔力を流すことができるようになるぞ。」
「先生。矢に魔力を流して射ることは可能ですか?」
俺のメイン武器は弓だ。
「可能だが難しいぞ。試しにその剣を投げてみろ。」
俺は剣を投げてみる。剣は手を離れた瞬間、魔力が四散してしまう。
「見ての通りだ。流した魔力をその場に留めるにはそれなりの技術がいる。できるようになると、弓や投擲武器の威力が跳ね上がる。」
そう言うと、先生はナイフを取り出し魔力を流し投げる。ナイフは岩に突き刺さる。すごい威力だ。
「まず君が覚えることは魔力を瞬間で流す技術。次に防具に魔力を流せす技術。矢に魔力を流し、留める技術はその次だ。まあがんばれ。」




