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上級生の真実

「なあ、エーゼル。これからどうする。」

「そうだね。まだ時間もあるし、もう少し狩りを続けたいんだけどいいかな。」


 エーゼルは熊を狩れたことで少しは自信もついてきているようだ。俺たち二人なら狼以外なら問題ないだろう。狼も前後衛のフォーメーションで戦わなければ、問題ないはずである。


「ああ、それじゃもう一匹熊を狩にいこうか。」

「・・・やっぱり熊?イノシシで良くない?」

「あたりまえだろ。熊のほうがポイントが高いだろ。」


 俺はエーゼルの意見を無視して、熊を探し始める。熊は個体数が少ないから探すのは難しい。途中に発見したイノシシは勿論始末した。しばらく探索したが、熊は見つからなかった。かわりに見つかったのは狼の足跡だった。


「エーゼル。狼の足跡が見つかったけどどうする?たぶん7~8匹ぐらいの群れだ。」

「僕は狼と戦ったことがないんだけど、強いの?」

「狼は集団で攻撃してくから、熊より危険かな。エーゼルが狼を4匹以上引きつけれるなら比較的楽に倒せると思う。それでなかったら、今の俺たちだとぎりぎりぐらいかな。」

「4匹はどうだろう?やったことがないからわからないよ。2匹は大丈夫だけど。」

「今回はこれで帰ろうか。」

「そうだね。無理はよくないね。」


 こうして俺たちは集合場所に戻ることにした。今のところ狩りの成果はイノシシ3頭に熊1頭だ。おそらく一番にはなれないだろう。負けたくはなかったんだが、仕方ないか。もう少しで森の出口、というところで、熊と遭遇した。完全に予想外だった。本来ならば、獣に合わずに森を出る予定だった。そういう順路で行動していたはずだ。完全にイレギュラーな遭遇だった。


「ブレット。援護をよろしく。」


 エーゼルはそういうと熊に突っ込んでいく。こうしてみると、エーゼルの盾の使い方、間合い、攻撃のタイミングなどかなりのものだ。最初のイノシシ戦は緊張して動けなかっただけだな。熊はエーゼルに気を取られていて、俺には無防備だ。弓を射ると面白いように当たる。10分も経たない内に熊を仕留めることができた。

 さて、この熊を収納したら森を出て終わりだ。俺は熊に近づき、熊の死骸を確認した時にあることに気づいた。後ろ足に傷がある。噛まれた傷だ。しかもここ数時間で。俺は周りを警戒する。どうかいませんように。俺の願いも空しく、狼の姿を確認する。


「エーゼル、気を付けろ。狼に囲まれている。」

「えっ、そうなの。」


 エーゼルも警戒を始める。どうやら囲まれているようだ。ここから森の出口までは100メートルほどある。走ればなんとかなりそうな距離だ。


「エーゼル、ここで戦うより、森から出た方が安全だ。走れるか?」


 エーゼルは俺の意図を理解したようだ。俺たちは目配せをすると、一気に走り出した。熊の死骸は置いていく。狼がそちらに食いついてくれたら、追ってはこない。数匹は熊の死骸を食い漁ったが、3匹ほど俺たちを追ってきた。森の出口手前で追いつかれてしまった。森を出ることはできなかった。


「うおおおおお」


 エーゼルが雄たけびをあげる。狼が3匹ともエーゼルに向かっていく。そうか。あれが大楯使いのスキル、挑発に違いない。エーゼルが狼を3匹とも引き留めてくれている。俺は遠くから弓で狼を射殺す簡単なお仕事になった。その後、狼の死体を回収すると、俺たちは森の外の集合地点に戻った。まだ、時間もあったせいか他の4組は帰ってきていなかった。俺たちの成果はイノシシ3頭、熊2頭(内1頭は死骸を持ち帰れず)、狼3頭となった。


「楽勝だったな。」

「僕は結構大変だったんだよ。」


 確かにそうか。熊の攻撃を盾で受けたり、狼の連続攻撃を凌ぐのは大変な作業だよな。それでもエーゼルはかすり傷はあるが、大きな傷は1つもない。大楯使いとしてはかなりのものではないだろうか。


「エーゼル、どうだった。前衛の感想は」

「思った以上に楽しかったよ。最初は怖かったけど。今日は付き合ってくれてありがとう」

「いや、俺もパーティー戦の勉強ができて為になったよ。」


 ほどなくして他の4組も帰ってきた。傷だらけの人もいる。先輩たちの成果は。・・・あれ?一番多い組みで熊1、イノシシ2。俺たちの圧勝だった。上級生のレベルはどうなっているのだろうか?実習後、教師に聞いてみると意外な言葉が返ってきた。


「2年、3年のレベルが高いわけないだろう。レベルが高かったら、学校を辞めて冒険者になってるよ。お前たちも頑張って2年になんかならないようにしろよ。」


 言われてみると確かにそうだった。



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