能力付与料理
学生寮に戻ると、ルナールが謝ってきた。
「すみませんでした。私はあなたのことを誤解していたようです。」
どうやら、ルナールの誤解が解けたようだ。何しろルナールのなかでは俺はケダモノのような存在になっていたはずだ。
「二人の仲がそこまで進んでいるとは思ってもみませんでした。命がけでアリエットを守る貴方と、貴方の無茶な命令を必死にこなそうとするアリエットを見て、二人の愛の絆を感じることができました。」
ルナールは頬をあからめながらそう言った。
(・・・ん?)
「私はアリエットの親友として、二人の仲を暖かく見守っていこうと思います。」
これは違う意味で誤解している気がする。ルナールの中では俺とアリエットは恋人関係になっているな。アリエットも同じ結論に辿り着いたのだろう。「そんな関係じゃないって」と否定しているが、あの言い方では照れ隠しにしか見えないだろう。ルナールの誤解を解くことはできそうにない。カストールは横でやっぱり爆笑している。
最後には、彼女の誤解を解くことは俺には無理だ、という結論に達した。まあ、アリエットの恋人という誤解なら、俺としてはうれしい。欲を言えば、ぜひそうなりたい。アリエットも強くは否定していないので、まんざらでもないようだ。
(うん。誤解を解く必要はないな。)
疲れていたため俺は部屋に戻った。ベットに横になると今日の事を思い返した。今回の補講で自分の大きな欠点が見えてきた。弓にしろ、剣にしろ、怪物に対して決定打がない。以前、父親と狩りをしていた時は全く思わなかったが、自分の攻撃力はかなり低いのだ。3~4発当てて、やっと倒すことができた。一方、調剤という新たなスキルを得ることもできた。これに関してはムートンさんに感謝するほかない。やっていて楽しかったので、調剤関係の授業はどんどん受けていこうと思った。そういえば、アリエットが用意したスープのように能力付与する料理を自分で作れないだろうか?今度調べてみようかな。横になって、いろいろなことを考えていた俺は、疲れのためかそのまま眠りに落ちたのだった。
次の日、目が覚めて外を見ると太陽は真上近くまで上がっていた、寝過ごした、と慌てて起き上がると、隣のベットではカストールはまだ眠っていた。今日は・・・授業は休みだな。良かった。
下の談話室に行くと騒ぎが起こっていた。何があったのだろうか。掲示板に何か張り出されていた。
通達
最近、郊外で怪物の巨大化、亜種などの目撃例が多く、危険になっているため、郊外での活動を禁止する
これは、ギルドの依頼のほとんどがなくなったということだ。校内でできる依頼もいくつかあるが、その数は少なく熾烈な競争になるだろう。簡単な依頼を受けて小遣いを稼いでいた学生にとってはかなりのダメージだろう。まあ、俺には関係ないが。なにしろ、2回の補講で俺の財布の中身はおかしなことになっている。しばらくは問題ない。周りを見るとかなりの学生がおろおろしている。こいつらそこまでお金に困っているのだろうか?何につかっているのだろうか。・・・まあいいか。とりあえず、腹が減ったので食堂に行くことにした。
食堂はかなり空いていた。ちょうど昼飯時を過ぎたからだろう。俺は席につくといつも通り学生定食を注文する。これが一番安くて上手い。栄養のバランスも優れている。
食べ終わり、支払いをしようとした時、スペシャル定食のことを思い出した。授業には調理という授業はなかったはずだ。ここで能力付与の料理の仕方を教わることはできないだろうか。聞いてみるか。俺は済ませると店員にそれとなく聞いてみた。




