討伐作戦中止
爆裂玉から凄まじい閃光と音が発生させる。事前に知っていたにもかかわらず、気を失いそうだ。必死に意識を保つと俺たちは集合する。一角ウサギのほとんどは混乱している。おそらくすぐに立ち直るだろうが、十分時間は稼げるはずだ。アリエットは詠唱を始めている。アリエットの正面にルナールが立ち、2匹の一角ウサギを切り伏せている。後ろから3匹の一角ウサギが迫ってくる。いや、1匹は突撃ウサギだ。カストールが突撃ウサギに向かっていく。
「おい、離れるな。」
慌てて注意したが、遅かった。残り2匹を俺が止めないといけない。ここで2匹が離れて突っ込んできたらどうしようもなかったが、並んで突っ込んできた。俺は体で、2匹の攻撃を受け止めつつ、片方の一角ウサギに剣を突き立てる。まず、1匹。もう1匹も止めを、と思ったが、上手く力が入らなかった。腹部が熱い。見ると、一角ウサギのツノが腹部に刺さっている。急所ではないが深手のようだ。俺はそのまま押し倒される。一角ウサギは俺を無視してアリエットの方に向かう。俺は最後の力を振り絞って短剣を投げつける。短剣はみごとにウサギの首に刺さる。
カストールが俺の側に駆け寄ってくる。
「すまん、ブレット。飛び出して。」
辺りを警戒しながら、カストールが謝る。カストールは急いで俺にキュアポーションを飲ませる。うん。以前飲んだものより不味いが、効果は十分あるようだ。痛みの方は引いていく。
「氷の嵐」
アリエットの魔法が完成したようだ。周囲を氷の矢が飛び交う。先ほどよりも威力が高い気がする。しばらくすると、周囲の一角ウサギは全滅していた。
「ブレット、大丈夫?」
アリエットが駆け寄ってくる。俺はゆっくり立ち上がると「大丈夫だ」と答える。ルナールは周囲を警戒してくれているようだ。
それにしても何かがおかしい。一角ウサギと突撃ウサギが20匹近くも団体で行動するのは稀のはずである。あまりに統制がとれ過ぎている気がする。そう言えば、救援要請ののろしを上げたはずだが、助けが来てない。
「アリエット、救援要請ののろしは上げたよな?」
「うん。上げたよ。そういえば、助けが来ないね。」
ここは集合地点近くなのだ。他のパーティーも近くにいるはずだ。それなのに救援がいまだに来ない。俺たちは不安を抱えながら集合地点に向かう。
10分後、集合地点に到着したが、他の2パーティーは到着していなかった。どうやら、他のパーティーも何かあったようだ。
「君たち大丈夫?」
しばらくして、ニコラさんがやってきた。かなりの一角ウサギを切ったのだろう。かなり返り血を浴びている。ただ、怪我をしているような感じは一切ない。
「のろしの上がった場所にいないから心配したわよ。」
「すみません。なんとか怪物を倒した後、集合地点が近かったので移動しました。」
「まあいいわ。作戦は中止よ。すぐに学校まで帰るわよ。詳しいことは学校で話すわ。ブレット君の治療も必要そうだしね。」
こうして俺たちは学校に戻ることになった。帰りに見た光景はすごいものだった。一角ウサギの死体の山だった。ざっと数えただけでも100匹以上だった。しかも、通常より大きなサイズの一角ウサギも混ざっていた。俺たちは討伐数と突撃ウサギと思われる個体がいたことを報告する。
「そうなの。あなたたちのとこにも一角ウサギ変異種がいたのね。無事でよかったわ。」
「犠牲者が出たんですか?」
俺は恐る恐る聞いてみた。ペコラさんの表情がずっと悲しげだったからだ。
「大丈夫よ。死人はでてないわ。ただ、一人重傷者はでたの。ブレット君、君も帰ったら医務室にちゃんと行ってね。」
こうして一角ウサギ討伐作戦は中止となった。




