ピンチです
「みんな大丈夫か?」
「私は大丈夫です。」
「俺はちょっと手傷を負ったかな。」
「ボクはちょっときつい。」
俺の問いに皆が答える。アリエットは魔力の使いすぎだろう。カストールは・・・薬草で十分か。進軍ペースはおそくない。少し休憩する時間もありそうだ。
「少し休憩する。アリエットは必要ならマジックポーションを飲んでおけよ。カストールはキュアポーションは使うなよ。勿体ないから。」
「うん。わかった。」
「わかってるよ。」
俺は指示を出すとルナールが倒した怪物を調べに行く。見た目はやっぱり突撃ウサギだ。突撃ウサギはこの辺には生息していないはずだが、どういうことだろうか。
「ルナール。この怪物、突撃ウサギだと思うか?」
「私も今回初めて遭遇したので何とも言えませんが、一角ウサギよりは強かったで、たぶんそうだと思います。」
ルナールも少し引っかかるところがあるようだ。だが、その強かった怪物を問題なく倒したルナールの実力はどれだけなんだ?
10分程休憩して、俺たちは進軍を再開する。そろそろ作戦開始から3時間経つ。平原南側を担当の他の2パーティーと一度合流することになっている。集合地点はもうすぐだ。他のパーティーに突撃ウサギのことを報告しなければならない。
「ブレット、前方からウサギが来たぞ。やばいな、かなりの数だ。」
集合地点の目前でカストールが声を上げる。確かに前方から土埃りが上がっている。正確な数は分からないが、おそらく20匹はいそうな気がする。すでに相手には発見されていそうだ。こちらにまっすぐ向かってきている。よく見ると、突撃ウサギと思われる個体もいくつか見て取れる。この数だと危険だ。おそらく逃げるのも難しいだろう。
「アリエット、すぐに救援要請ののろしを上げてくれ。ルナールは魔法の用意をしてくれ。」
俺は指示を出すと矢を射る。アリエットがすぐにのろしを上げる。ここは集合地点に近い。応援が来るまでそんなに時間はかからないだろう。他のパーティーが戦闘をしていなければだが。
ルナールの魔法の準備にかかる。とりあえず、眠らせて数を減らさせてもらう。相手が近づくまでに魔法と矢でどれだけ数を減らせるかがポイントだ。できれば、半数以上を行動不能にしたい。
ルナールの魔法が発動する。3匹ほどが眠りにつく。アリエットも氷の矢で攻撃を始めている。さらに3匹ほどを行動不能にする。これで限界だった。
一角ウサギの大群が騎馬隊のように突撃してきた。俺たちはその突撃をかろうじてかわす。いや、一人だけ別格がいた。かわし際に1匹切り捨てていた。ルナール、強いな。
しかし、この突撃によって俺とアリエット、カストールとルナールの二人ずつに分断されてしまう。ピンチだ。俺は弓を捨てて短剣に切り替える。弓では近接戦は不利だ。しかもアリエットを守らないといけない。
「アリエット。危険だが、氷の嵐頼めるか?」
この状態での魔法の使用は危険だ。魔法の使用中は無防備になるからだ。
「馬鹿。危険だ。」
「危険です。アリエット、ダメです。」
カストールとルナールの反対する声が聞こえる。危険なのは俺も十分承知している。だが、このままでは全滅の可能性すらある。俺はアリエットのほうを見る。
「5秒、ボクを守ってくれるなら大丈夫だよ。」
この状態で5秒はかなりきつい。何かいい手はあるか。
・・・
・・・
そうだ。
「みんな。いいか。今から爆裂玉を使う。合流したら、アリエットは直ぐに詠唱を。俺たち3人はアリエットの護衛だ。」
俺の言葉に全員が了承の合図を出す。作戦は決まった。
「いくぞ」
俺は爆裂玉を使用する。




