一角ウサギ
「それじゃ、出発するか。」
ついに相当作戦が始まった。みんな緊張している。特にカストールはガチガチだ。当然だろう、初めての怪物との戦闘だ。どうにかしないといけない。とりあえず、1匹倒せれば、何とかなるはずだ。問題はどうやってその機会を作るかだ。
「前方に一角ウサギを発見しました。2匹いますね。」
ルナールが一角ウサギを発見する。2匹か。
「ルナール。左の1匹を任せたいが大丈夫か?」
「問題ないです。なんなら2匹でも大丈夫です。」
「いや、1匹を頼む。右の奴は俺とカストールで倒す。アリエットは周囲を警戒していてくれ。魔法はなるべく温存したい。」
俺は指示をだす。カストールはまだ緊張しているな。一角ウサギは1対1なら弱い怪物だ。おそらく俺の弓でも倒せるが、今回はカストールに倒してもらいたい。俺は一角ウサギの前足に狙いをさだめ、弓を射る。
(よし。命中だ)
矢は右前足に見事に刺さる。これで機動力は落ちた。カストールが突っ込んでいく。さすがに大丈夫だろう。ルナールの方を見るとすでに倒している。何事もなかったかのように周囲を警戒している。実習の時も思ったが、ルナールの戦い方は無駄がなく美しい。見とれるほどだ。一方、カストールは、・・・無傷で倒していたが、ちょっと息が上がっている。力が入りすぎていたようだ。
「思ったよりも強くないな。」
カストールは俺のほうを見ると、笑いながら言ってきた。緊張は解けているな。これで大丈夫だろう。
掃討作戦開始から2時間が経過した。現在、一角ウサギ討伐数は15匹だ。思ったよりも少ない。始めの1時間はコンスタントに出現していたが、この1時間は1匹も発見していない。一つ上を担当の3年生が俺たちの分も倒してくれているのだろうか?それとも偶然だろうか?進軍スピードは予定通りなのでこのまま進むことにするが、何か嫌な気がする。
しばらく行くと、悪い予感は的中した。一角ウサギの大群が現れたのだ。7匹の団体様だ。7匹の一角ウサギのランクはGランクだったはずだ。倒せない相手ではない。
「ルナールとカストールは協力して1匹ずつ仕留めてくれ。俺は後ろから矢で援護する。アリエットは周囲の警戒を頼む。こちらが危なそうなときは氷の矢で援護を頼む。」
俺が指示を出すと、全員が頷く。やっとパーティーらしくなった気がする。最初にあった、ルナールとのわだかまりは少しなくなってきている気がする。俺は一角ウサギに向かって矢を射る。狙いは最初と同じ前足だ。俺の矢では、3本は体に当てないと倒せない。前足に当てるとダメージは少ないが足止めにはなる。ルナールとカストールが1度に当たる数を減らすのが目的だ。
「ブレット。北から3匹の一角ウサギをきてるよ。」
ルナールとブレットがそれぞれ1匹ずつ倒したとき、アリエットが叫んだ。北を見ると3匹の一角ウサギがこちらに向かってきている。明らかにこちらを目指して突撃してきている。しかもそのうちの1匹は色が少し違う気がする。もしかして、上位種の突撃ウサギだろうか。このままだと乱戦になる。そうなれば、こちらは危ない。
「アリエット、氷の嵐を頼む。残りの5匹を先に仕留める。」
「わかった」
アリエットはすぐに氷の嵐を唱える。前回よりも詠唱時間が短い気がする。アリエットもがんばっているようだ。あっという間に残りの5匹の一角ウサギを倒す。アリエットはかなりきつそうだが、前回ほどの疲労は見られない。
「悪いけど後はよろしく。ちょっと休ませて。」
俺は「わかった」、と伝えると矢を射る。ルナールとカストールも来たから来る3匹の迎撃態勢に入る。ルナールは迷うことなく突撃ウサギと思われる個体と相対する。俺はアリエットの側て矢を射続ける。今、アリエットの側を離れるわけにはいかない。カストールは上手く2匹の一角ウサギと戦っている。俺はゆっくり狙いを定め、一角ウサギの急所めがけて矢を射る。
(よし、命中だ。)
もう一匹をカストールの槍が貫く。ルナールの方を見ると、うん、すでに倒していた。強いな。こうして俺たちは勝利した。これで討伐数は25匹になった。




