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医務室にて

「おい。お前たち、もうすぐ授業が始まるぞ。受けるなら急げよ。」


 時計は8時40分を指している。今日の午前中は探索術基本だったはずだ。ここから10分でいけるな。もちろん、俺は受講する予定だ。


「あっ、そうだ。念のために二人とも医務室で診察を受けておけよ。ブレット、分かってると思うがお前はポーション代を払えよ。」


(そうだった。忘れてた。ポーションは有料だった。)


 俺とアリエットはいそいで教室に向かう。授業開始ぎりぎりで教室に滑り込む。初めての基本授業ということもあり、すべての学生がすでに教室に来ていた。そこに男子の間で人気のアリエットと一緒に教室に飛び込んだのだ。男子から嫉妬の目で見られる。女子からも好奇の目で見られている。


(うん。目立ってるな。)


「間に合ったね。授業が終わったら、一緒に医務室に行こうね。」


 アリエットは気にせず笑って話しかける。その笑顔はかわいいが、さらに男子からの視線が険しくなる。さすがに席は離れた場所に座る。アリエットはルナールの横に座る。ルナールとしゃべっている。仲がいいのだろうか。俺はもちろんカストールの横に座る。


「ぎりぎりだったな。もう始まるぜ。」


「楽しみだな。」


 しばらくすると、先生が入ってきて、授業が始まる。先生は元冒険者のようだ。授業の内容は基本的な探索の知識だ。探索時に注意すべきこと、やってはいけないことを体験談を併せて、分かりやすく教えてくれた。山での探索は猟師の父親に教わっていたが、洞窟、海、川、砂漠などでの探索時の注意点などは知らないことが多く、とてもためになった。

 授業が終わるとほとんどの学生が興奮していた。みな、このような授業を求めていたのだ。やっぱり基礎科目はいらない気がする。カストールもすごく興奮していた。午後の実習も期待が持てる、と張り切っていた。


「ブレット、午後の基本剣術実習も出席するだろ。飯を食いに行こうぜ。」


「すまん。医務室に行かなければならない。」


「また医務室か。・・・そっか。楽しんで来いよ。」


(察しのいい奴だ。アリエットと行くことを感づいたな。)


「それじゃ、午後の実習でな」


 俺はカストールと別れると、アリエットと一緒に医務室に行く。医務室には前回同様ムートンさんが本を読んでいた。俺はムートンさんに挨拶をすると診察を受ける。


「ブレット君はがんばってるね。今度はオオトカゲと大暴れ馬を倒したんだって。」


「いえ、今回は彼女と一緒だったので楽でした。」


「そうだね。一人より二人のほうが楽になるよね。・・・よし、君は大丈夫。」


 ムートンさんは次にアリエットの診察を始める。しばらくして、ムートンさんが首をかしげながら尋ねる。


「君は攻撃魔法を使うのかな?」


「はい、氷魔法を使います。」


「結構無理して魔法を使ったんじゃない?ちょっと魔力の流れが乱れているね。」


「最後の魔法はちょっと無理したかな。」


 アリエットが苦笑いしながら答える。


(最後の魔法・・・氷の嵐(アイスストーム)か。すごい魔法だったけど、無理してたのか。)


「このポーションを飲むといいよ。あと3日は魔法禁止ね。」


 といい、黄色のポーションを差し出す。アリエットは受け取ると、恐る恐るそれを飲む。


「おいしーい。」


 アリエットは喜んでいる。どうやら俺が飲んだポーションと違い美味しかったようだ。


「魔力の総量が上がれば大丈夫だから、頑張って修行しなさい。」


 ムートンさんはそういうと手を出す。


「二人とも1000ゴールドずつね。」


 俺たちは代金を支払うと、医務室を後にする。


「体大丈夫なの?」


 俺が尋ねると、アリエットは笑いながら答える。


「大丈夫。あの時はちょっと必死だったからね。使うとこうなるのはわかってたんだ。でも、ポーションってすごいね。体がだいぶ楽になったよ。」


俺は改めてポーションの偉大さを認識した。



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