からかわれました。
朝起きてギルドに行く準備をしていると声を掛けられる。
「あれ、いつ帰ってきたんだ?」
どうやら、カストールを起こしたようだ。ベットから起き上がり、眠たそうな目をこすっている。
「悪い。起こしたか?昨日の夜に帰ってきたんだ。」
「いや、そろそろ起きる時間だ。夜遅くにご帰還か?大変だったみたいだな。」
「ああ。また、怪物討伐。今度はオオトカゲと大暴れ馬」
もちろん教団のことは言わなかった。
「大変だったんだな。って、大暴れ馬?かなりのランクの怪物を倒したんだな。」
「アリエットの魔法があったから結構楽勝だったよ。」
「・・・へえ。アリエットと一緒だったんだ。他に誰が参加したんだ?」
「アリエットだけだけど。」
「へえ、二人だけだったんだ。・・・二人で補講か。しかも、一泊二日。楽しかったか?」
カストールは笑いながら聞いてくる。
(こいつ。絶対面白がっているな。)
「先生も一緒だったんだぞ。」
「いやいや、夜寝るときは生徒同士隣り合って、寝るんじゃないのか?その時に何かあったとか。」
「あるわけないだろ。」
「そうだな。ヘタレなお前が手を出せるわけないか。せいぜい、寝顔を眺めて満足するぐらいか。」
(ヘタレって・・・。確かにそんな度胸はないが。そういえば、寝顔は確かに可愛かったなあ。)
アリエットの寝顔を思い出しちょっと顔がゆるむ。確かに天使のような笑顔だった。
「えっ。マジで寝顔をのぞき込んでたのか?」
「そんなわけないだろ。」
少し引き気味のカストールに俺は慌てて否定する。のぞき込んではいない。彼女が大丈夫か確認するために顔を見ただけだ。他意はない。ホントにない・・・と思う。
(完全に否定できない)
これ以上の会話は墓穴を掘る、と思い、俺は無言で出かける準備をする。カストールは笑っている。
「で、今からどこ行くんだ。また、補講か?」
「昨日学校に到着したのが夜遅かったから、ギルドに報告してないんだ。だから今から依頼完了の報告に行ってくる。その後、授業にそのまま出るよ。」
「ご苦労さん。俺も授業は出席するから。何しろ今日からやっと基本科目だもんな。」
カストールは相当期待しているようだ。確かにあの基礎科目は退屈だった。期待するのもうなずける。
「俺はもう出るから、また授業でな。」
「おう。アリエットと報告か。頑張ってこいよ。」
(・・・こいつ)
俺は談話室に行きアリエットを待つ。すぐにアリエットが慌ててやってくる。少し顔も赤いような気がするがどうしたんだろう?
「ごめん。待った?」
「いや。今来たとこだよ。」
「良かった。それじゃすぐ行こう。」
アリエットはそういうと、俺の手を引っ張り寮の出口へ向かう。何か後ろを気にしているようだ。後ろには女子の部屋に続く扉しかないが・・・。俺はそのまま外に引っ張り出される。
「どうしたんだ。一体。」
俺はアリエットに尋ねた。いつもマイペースなアリエットが今日はやけに急いで外に出ようとした。アリエットは困ったような顔をしている。
「あのね。・・・実は同室の娘がね、ボクとブレットの仲を疑って、それで・・・ね。」
(こっちもか)
「そっちもか。俺も同室の奴にからかわれたんだ。困るよな。」
「そっ、そーなんだよ。困っちゃうよ・・・。」
俺としてはこの疑いが真実となってほしいのだが、アリエットはどう思っているのだろうか?彼女の仕草を見てみると満更でもないかな。いつか勇気を出して告白してみよう。それにしても、このことがあのような騒動になるとは、この時の俺は思いもしたかった。




