ババリア冒険者ギルド
「そろそろ出発しようか。ギルドで教団の報告をしたら、馬車にのって学校まで引きかえすぞ。悪いが補講は中止だ。大暴れ馬はまた今度だ。」
そういと、クヴォレ先生は歩き出す。俺とアリエットは後に続く。すべての依頼をこなせなかったのは悔しいが。今回はいろいろな経験ができて良かった。それにアリエットの事を考えるとこれで良かったのかもしれない。彼女にはまだ時間が必要なはずだ。
ババリアの街には昼過ぎに到着した。俺たちは冒険者ギルドに向かう。ギルドは大通りに面した大きな建物だった。木造の2階建てだ。
(そういえば、街のギルドに入るのは初めてだな)
ちょっとどきどきしながら、中に入る。そういえば、カーネさんが言ってたな。酒場が併設してる場合が多いって。たしかに酒臭い。
「おい、お前たち。受付に行ってくる。少し時間がかかりそうだから、適当に見学してろ。」
立ち尽くす俺たちに中年の冒険者が声を掛けてくる。
「クヴォレと一緒に来たってことは、君たち学生?」
「はい、そうです。」
先生の知り合いだろうか。背中に大きな大剣を背負っている。首につけているネックレスには魔力が宿っている。おろらくマジックアイテムだ。おそらくベテラン冒険者なのだろう。
「君たち若そうだけど、何年生?」
「1年ですけど」
「1年!そりゃすごい。1年でクヴォレとここまで来たのか。大変だったろ。あいつ無茶をするからな。怪物とは戦ったか?」
怪物という言葉を聞いて、アリエットの体がビクッと振るえる。
「はい。昨日オオトカゲを何匹か。」
中年の冒険者は俺たちを眺めると笑いだした。
「はっ、はっ、はっ。そりゃすごい。1年でいきなりオオトカゲか。あいつらは普通2年ぐらいで倒す怪物だぞ。二人で何匹仕留めた?」
「10匹です。」
アリエットは俺の後ろで震えている。そろそろこの話をやめにしたい。中年の冒険者は驚いたような表情をするとアリエットの方を向いてやさしくいった。
「お嬢ちゃん。初めての実践だったんだろ。怖かったのか?いや、違うな。その感じだとミスをして仲間の足を引っ張ったか。いい言葉を教えてやろう。偉大な冒険者の言葉だ。」
そういうとギルドの壁にを指さす。そこには何か書かれている。
冒険者にとって、一番重要なことは生きて帰ることである。 パレッソ・フィリップス
「お嬢ちゃんも坊主も生きて帰ってこれた。それで十分だ。これは俺の奢りだ。」
中年の冒険者は俺たちにジュースの入ったコップを渡すと、振り返って大声で叫ぶ。
「おいみんな、若き冒険者見習いの生還を祝って乾杯だ。」
周りの冒険者たちが俺らの方を見る。物凄く注目されている。
「「「「「乾杯」」」」」
そういうと俺たちに話しかけてきた。特に若い冒険者は俺たちに話しかけてきて、自分の成功談やら失敗談を語っては帰っていく。最初はビクビクしていたアリエットも最後には笑っていた。
「なんだ。この騒ぎは。」
30分後、クヴォレ先生が帰ってきて驚いてる。
「よう、クヴォレ。相変わらず学生に無茶してるな。」
さきほどの中年の冒険者が話しかける。
「トローか。久しぶりだな。こんなところで何してるんだ。」
やはり二人は知り合いだったようだ。
「気ままな一人旅の途中だよ」
「ちょうどいい。暇なら一緒に来てくれ。特別依頼を指名したい。」
トローさんの表情がわずかに曇る。
「まあ、構わんが、そんなに緊急事態なのか?」
「ああ、教団がらみだ。」
トローさんは納得したようだ。「わかった」というと身支度をする。
「お前たち、帰るぞ。馬車の用意はできてる。」
先生は外を指さすを馬車が一台止まっていた。かなり立派な馬車だ。




