戦いが終わって
アリエットは俺の横で心配そうに座っている。今にも泣きだしそうな顔だ。クヴォレ先生はアリエットの方を見ると、
「お前は魔力切れだけだな。休んでおけ。」
といい、俺の容態を診始める。
「出血はないな。・・・打撲跡はあるな。顔色はいい。めまい、吐き気はあるか?」
「ないです。」
「痛みとかは?」
「背中を打って少し痛いですが、今は減ってきています。まだ、体を動かすのはきついです。」
「うん。激しく地面に叩きつけられただけだな。アリエット、これを飲ませて休ませてやれ。」
そういうと、アリエットに赤い色のポーションを渡す。アリエットは、俺の上体を起こすと、ポーションを飲ませてくれる。ポーションを飲み干すと、体が少し熱くなり、痛みが減っていく感じがする。それにしても、この状況はちょっと幸せだ。彼女に看病されてるみたいだ。
「ちょっと勿体ないが、キュアポーションだ。少々のダメージはなくなる。」
クヴォレ先生はそう言うと、オオトカゲの方に行き、死骸を調べ始める。調べ終わると収納魔法を使う。どうやらクヴォレ先生も収納魔法を使えるようだ。そういえば、巨大亀の姿も見えない。おそらく倒して収納したのだろう。
すぐに俺の体調は回復した。アリエットは俺の体調を理由に補講を中止するように進言した。確かに、このまま森を進むのは危険が高い。
「冒険者にとって一番重要なのは、危機察知能力だ。危険だと感じたら引くのは重要だ。ここで質問だ。ここで補講を中止し、学校に戻るのと、このまま補講を続けてババリアに行くのとどちらが安全だ?」
「そんなの中止にした方が・・・」
アリエットが言いかけてやめる。何かに気づいたようだ。
「このまま補講を続けた方が安全です。」
「理由は?」
「現在の位置は学校からババリア間の行程の3分の2くらいまで進んでます。戻るより進んだ方が街に早く着きます。」
「正解だ。それでは予定通り、ここから100メートルほど先にある平地で野営を行う。」
俺たちは野営予定地まで行くと、準備を始める。ここ周辺は樹が生えていない。数年前、火事があって燃えたらしい。俺がテントを張り、アリエットが結界を張る。クヴォレ先生はそれを満足そうに見ている。
「アリエット。結界が張れるのか。すごいな。ブレットもテントの張り方は問題ないな。飯を食ったら、今日の戦闘の反省会をするからな。」
(反省会。ここで・・・)
クヴォレ先生は先に飯を食ってろ、と言うと、周りの警戒に行ってしまう。アリエットと二人きりになる。
「さっきはありがとう。体、大丈夫?」
「ああ、ほとんど痛みもないかな。アリエットも魔力切れ大丈夫?」
「うん。少し回復してきた。」
アリエットは暗い顔をしている。責任を感じているようだ。自分がしっかりしていれば、俺が怪我をしなかったと思っているのだろうか。「気にするな」と言っても、彼女は気にしたままだろう。俺は何と言っていいのか分からなかった。俺はただ黙々と保存食を食べるしかできなかった。
「暗い顔してるな。飯は食い終わったか?反省会をはじめるぞ。」
ちょうど、食べ終わったころ、クヴォレ先生が帰ってきた。アリエットも食事は終わっていたが、俯いている。クヴォレ先生は収納魔法から薪を取り出し、火を付けると反省会を始める。
「まず、ブレット。弓の腕は合格だ。だが、遠距離で戦え、と言ったのに最後接近戦をしたのは減点だ。次にアリエット。氷の矢の威力は申し分ないが、連射速度は遅いみたいだな。後、魔力量をこれからは増やしていかないときびしいな。」
クヴォレ先生は容赦なく欠点を指摘してくる。もちろん、その中にはまだ習ってないことも多く含まれている。というか、習ってないことの方が多い。当然だ。まだ、基礎科目を5日しか習ってない。
「次に相手が多数の時の戦闘についてだ。・・・ ・・・ ・・・。」
2時間後、やっと反省会が終わった。俺たちは疲れ果てていた。




