2回目の補講
朝6時30分、準備をして談話室に行くと、アリエットが待っていた。
「おっはよー」
アリエットはいつもと変わらず挨拶をしてくる。俺は昨日のキスが忘れられず、あまり眠れなかったのに。アリエットは全然気にしてないようだ。
(やっぱり昨日のキスは好意じゃないな)
淡い期待が無くなった俺はこれからの補講に集中する。
「おはよう。頑張ろうね。」
挨拶を返すと、2人で冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドに着くと、ギルドは既に開いていた。中に入ると、クヴォレ先生とカーネさんが話していた。
「おはようございます。」
「おはようございまーす。」
俺たちは挨拶をする。
「おはよう、ってブレット君!もしかして、君が補講を受けるの?」
カーネさんが驚いている。
「はい、僕と彼女の2人です。」
アリエットを見たカーネさんがクブォレ先生に詰めかかる。
「クブォレ先生。何考えてるんですか。1年生には無理でしょう。」
「心配ない。基本的なことは教えている。それに見てみろ。2人とも準備万端だ。テントまで用意している。覚悟はあるようだ。」
(覚悟って何の覚悟だ?そんなに大変なのか?)
「いいか2人とも。今回の補習は北の森を抜けて隣町まで荷物を運ぶ依頼だ。また、お前たちでも3日もあれば往復できるはずだ。」
店員の言った通りだった。片道1日半、つまり往復で3日。
「すみません。覚悟ってなんのことですか?」
俺が恐る恐る質問する。クヴォレ先生は呆れた顔をする。
「お前は前回、ペコラと北の森に行って怪物を狩ったんだろ?今回ももちろん遭遇するだろうし、今回は野営もある。とっても充実した補講になるってことだ。」
(野営か。なるほど。)
俺は父親の狩りの手伝いで野営の経験がある。確かにあれはきつかった。アリエットはきょとんとしている。おそらく野営の経験がないのだろう。
「まー、よくわかんないけど、頑張りまーす。」
流石アリエットだ。参加を表明する。これで俺も逃げられない。
「俺も頑張ります・・・。」
テンションはアリエットよりかなり低い。
「ということで、カーネ、受付を頼む。そうだ、ついでにいつくか討伐依頼も受けておくか。」
というと、クヴォレ先生は依頼ボードから2枚の依頼を持ってくる。
「知りませんよ。どうなっても。」
カーネさんは諦めたようだ。俺たちからギルドカードを受け取ると受付処理を行う。
運搬依頼
ランクI
フィリップ冒険者ギルドからババリア冒険者ギルドに荷物の輸送
報酬 1000ゴールド
討伐依頼
ランクH
街の北の森のオオトカゲの討伐
報酬 8000ゴールド
討伐依頼
ランクF
街の北の森の大暴れ馬の討伐
報酬 15000ゴールド
(オオトカゲに大暴れ馬か。・・・ランクHとF!)
俺が倒した巨大豚はランクIだったはず。通常より大きかったがランクHには行ってないだろう。ランクFってどのくらい強いんだ?
「先生。これ、大丈夫なんですか?」
「大丈夫だろ。アリエットは攻撃魔法が使えるみたいだし、いざという時は、俺も戦う。」
俺はともかく、アリエットは初めての怪物との戦闘だ。不安に違いない。アリエットを見ると目を輝かせている。やる気満々だ。カーネさんは・・・諦めてるな。助け船は期待できそうにない。これは覚悟を決めるしかないか。
ギルドを出るとき、カーネさんが声をかけてくる。
「二人とも無事に帰ってきてね。あと、ペコラには行っておいてあげるわ。外泊届だしてないでしょ。」
「ありがとうございます。」
俺は力なく答えた。こうして俺の2回目の補講は2泊3日予定のハードなものとなった。




