初デート?1
「ねえ。ブレット。明日何を用意すればいいのかな。」
アリエットが俺に聞いてくる。
「なんで俺に聞くんだ?」
「なんでって、補講経験者でしょ。」
「確かに補講を受けたが1度だけだぞ。何度も受けているみたいに言うな。」
「でも、ボクの知る限り、ボクたちの学年で行われた補講は今回を含めても2回だよ。君は二つとも受けている。まさに補講常連者だ。」
「おい。その称号はやめてくれ。どう見てもイメージが悪い。」
「ごめん。ごめん。で、何かいいアドバイスはないの?」
アリエットは笑いながら聞いてくる。
(かっ、かわいい。)
「ぜっ、前回は購買所の店員に聞いたんだ。今回も聞きに行くけど、もしよかったら・・・一緒に行かないか?」
と俺は顔を赤くしながら言った。アリエットはきょとんとしていたが、意地悪そうに笑うと、
「もしかして、デートのお誘い?」
とからかってくる。
「いや、あの、その」
俺は何か言おうとするが、言葉にならない。
「あはは、冗談だって。それじゃ行こうか。」
と言い、腕を組んでくる。アリエットの小さな胸が腕に当たっている。心臓がバクバクしだす。
(この状況はなんだ。)
混乱した状態でしばらく歩いていたが、あることに気づく。
「アリエット。ちょっと待って。」
「何、僕と腕を組むのは嫌なの?」
アリエットが意地悪そうに聞いてきた。 嫌なわけあるはずがない。むしろ嬉しい。幸せの時間です。
「いや、そうじゃなくて、方向が逆・・・。」
「あれ?」
アリエットはやっぱり方向音痴だった。
購買所に着くと、この前の店員がいた。俺を見つけると話しかけてきた。
「カストール君だったよね。いらっしゃい。えっと、君は初めてだね。」
「はじめまして。ボクはアリエット。よろしくね。」
アリエットが自己紹介をする。
「かわいい子だね。カストール君の彼女?」
俺は腕を組んでいたことを思い出し、慌てて腕を離す。顔がみるみる真っ赤になっていく。アリエットはそんな俺を見て笑っている。
「いえ、彼女といっしょに明日また補講を受けるので、買い物にきました。」
「また補講かい。頑張るね。今度はどんな補講だい。」
俺は補講の内容を伝える。店員はびっくりした顔をした後、考え込んでいる。
「今度はクヴォレさんか。しかも、北の森を抜けて隣町に行くか。」
店員はアリエットの方を向くと、
「お嬢さんはメイン武器は何かな?」
「ボクは魔術師志望なんでメインは魔法でーす。サブは短剣かな。」
「攻撃魔法が使えるの。すごいね。それなら、まだ武器とかはいいかな。ブレット君は、矢の補充は大丈夫?」
「残りは、木の矢が10本ぐらいです。」
「足りないな。矢筒にフルに入れといたほうがいい。」
「そんなにですか?・・・それなら、20本ください。」
「あとはいつも通り、保存食、薬草と毒消しはいるな。これは基本だ。」
とりあえず、保存食と薬草と毒消しは二人とも購入した。
「後は応急処置キットもあったほうがいいな。」
と言って、奥から持ってくる。
「ところで、テントは持ってるか?」
「何に使うんですか?」
「何って、夜に寝るためだよ。北の森を抜けて街までいくには、1日半は掛かるよ。知らなかったのか。」
(1日半!どんだけ遠いんだ。)
「基本最小パーティーは3人だから、テントは3人用を勧めるよ。これでしばらくは使えるから。あと簡易結界は張れるかな。」
「俺は無理です。」
「ボクは一応張れるかな。弱いけど。」
アリエットが自信なさげに答える。
「いやいや、1年生で張れるのは十分すごいよ。それじゃあ、結界補助用杭もいるな。」
店員はテントと結界補助杭を持ってきた。二人で話し合った結果、俺が テントと応急処置キット、アリエットが結界補助杭を買うことにした。値段は・・・やはり高かった。俺は現金で支払うことができたが、アリエットはローンを組んでいた。
「まさか13歳でローンを組むとは思わなかったよ。」
と呟いていた。
(アリエットは13歳なんだ!)
彼女の個人情報をゲットできた俺はちょっと満足だった。




