薬剤師
医務室は、学生課の近くにあった。どうやら、学生課の近くに施設が集中しているようだ。医務室に入ると、初老の男性が本を読んでいた。おそらく彼が校医だろう。
「何の用だい。」
ブレットに気づくと話しかけてきた。少し高い神秘的な声である。
「ブレットといいます。ペコラさんに言われてきました。」
「ああ、君がブレット君か。ペコラから聞いているよ。昨日、補講で無理をしたんだって。僕はムートン、この学校の校医で薬剤師だよ。」
(正確にいうと、無理をさせられんだが・・・)
もちろんそんなことは言えない。
「今朝は痛みでほとんど動けませんでした。ペコラさんが持ってきたポーションを飲んで楽になりましたが。」
「一応、診察をしておこうか。」
と言って体中をまた触られる。
「飲んだポーションは青い色だったろ。それは、クーラーポーションといって、体の炎症を抑える効果がある。効果は約一日。見たところ明日の夜までは炎症が引かないだろうから、もう一本渡しておこうか。」
と言ってムートンさんはポーションを差し出す。
(またあの不味い薬か)
と思っていると、釘を刺された。
「不味いけど、ちゃんと飲むんだよ。」
俺は今朝の薬代と合わせて200ゴールドを差し出す。ムートンさんはそれを受け取る。
「学生から代金を取って申し訳ないんだが、学校の方針でね。ただで治療をするとそれに甘えて、無理すをする学生が増えるんだよ。そうすると、自分の実力を正確に測れなくて、冒険者になってからも無茶をするんでね。」
「気を付けます。」
「まあ、だからといって、怪我をしても医務室に来ないというのはダメだからね。死んでしまったら、さすがの僕でもお手上げだからね。腕一本ぐらいなら生やすことができるけど。」
(・・・ん?腕を生やすことができる?回復魔法か?)
「ムートンさんは回復魔法も使えるんですか?」
「僕はできないよ。回復魔法は特殊だからね。僕は薬剤師だから治療は薬だけだよ。薬剤師のスキルは結構便利だから君も覚えるといいよ。」
「薬で腕が生えるんですか?」
「うん。再生力上昇ポーション(極)ってポーションと栄養ドリンク(極)、あとは症状に合わせた薬だね。調剤スキルLv8ぐらいで作れるようになるよ。」
(Lv8!まじか)
「薬剤師がパーティーにいると体力回復、状態異常回復、ドーピング、耐性強化などいろいろできるからね。敵のステータスを下げる薬とかもあるよ。よかったら、君も薬剤師を目指さない?」
(薬剤師、おそるべき。)
「考えておきます。」
俺はそういうと、医務室を後にした。
部屋に帰るとカストールも戻ってきていた。カストールも冒険者登録をしたみたいで、ギルドカードと睨めっこをしていた。
「おっ。おかえり。どうだった。」
「明日の夜には治るって。」
「よかったな。ところで、お前、冒険者登録してたよな。スキルはどんなだ?」
俺とカストールはギルドカードを見せ合った。俺のカードを見たカストールはびっくりして声を上げる。
「なんでお前、こんなにスキルあるんだよ?」
俺は補習でペコラさんからスキルを認定されたことを伝える。
「ちぇっ。それなら、俺も出ればよかった。」
カストールは残念がっていたが、俺は怪物とたたかわされたんだが・・・。
「で、お前はアーチャーでも目指すの?」
カストールが尋ねてくるが、実感がわかなかった。狩りの手段として弓は鍛錬していたが、弓が好き、というわけではなかった。もちろん、嫌いではないが。
「いや、わかんないな。とりあえずは、いろいろスキルを取ってみるよ。」
実際、ムートンさんと話をして、薬剤師も面白そうだと感じたからだ。
「なるほど、お前はペコラさんみたくパーフェクトマンを目指すのか。」
なぜか、カストールは勘違いをしていた。




