表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/86

入学式

 今日は晴れの入学式だが、俺は筋肉痛で動くのも辛い状況だった。これほどの筋肉痛は久しぶりである。昨日は気づかなかったが、相当無理をしていたようだ。


「ブレット、大丈夫か?」


 カストールが声を掛けてくる。こいつの場合、心配しているのではない。面白がっているだけだ。


「なんとか。」


 俺は必死に階段を降りて、談話室にたどり着く。今日は入学式だ。遅刻するわけにはいかない。入学式は第一遊技場で行われるらしい。


(まずいな。このままては間違いなく遅刻だな。)


 カストールは先に行ってしまったようだ。あの薄情者め。


(これは遅刻どころかたどり着かないかな)


 俺が諦めかけた時、後から声を掛けられた。


「カストール君の言った通りね。全身筋肉痛だって。」


 カストールはどうやらペコラさんに知らせてくれていたようだ。一応、心配もしてくれていたようだ。ペコラさんは俺に近づくと体中の筋肉を触っていく。


「大分熱を持っているわね。これは、筋肉痛と言うよりは筋筋膜炎ね。」


「何ですか。それは?」


「まあ、筋肉痛のひどいもの、って感じね。とりあえず、このポーションを飲んでね。」


 ペコラさんは俺に一本のポーションを差し出す。青色の不気味な液体が入っている。


「炎症を一時的に抑えるポーションよ。不味いけど、噴き出さないでね。」


 俺は一気に飲み干す。口の中にいままで味わったことのない味が広がる。


(確かに不味い。)


「どう?体が少しは楽になったでしょ。」


 確かに痛みが少し減ってきた。先ほどのだるさが嘘のようだ。


「薬で無理矢理抑えているだけだから、しばらく運動はだめよ。入学式が終わったら医務室に行って、ちゃんと診察を受けてね。」


「わかりました。ありがとうございます。」


「いいのよ。・・・あっ、そうだ。薬代は100ゴールドね。医務室で払ってね。」


(・・・お金を取るんだ。)


 痛みが少し残っているが、動けるようになった俺は、無事に会場にたどり着く。




「おっ!大丈夫そうだな。」


 カストールが声を掛けてくる。俺はカストールにペコラさんに知らせてくれたことを感謝する。カストールは照れくさいそうに笑っている。


 しばらくすると、入学式が始まった。きっと退屈な式が始まるのだろう。式の進行表によると、まずは学校の経営者であるフィリップス伯爵から始まり、その後来賓客の挨拶が3人ほどある。そして、新入生挨拶と続き、校長の挨拶で終わる。


(長くなりそうだ)


 フィリップス伯爵はまだ若く、28歳だそうだ。24歳まで冒険者をしていたが、父親の急死により跡を継いだらしい。冒険者としては超一流でAランクまでいったそうだ。冒険者のランクはIから始まりA、さらにはSと10段階に分かれている。Aランクの冒険者など一握りだ。しかも、24歳でAランクになっているのは相当の実力である。フィリップス伯爵はゆっくりと壇上に上がっていく。


「我がフィリップス家は代々冒険者の育成に力を注いできた。そして、冒険者の力により我が領内は発展してきた。君たちにも期待する。以上。」


(・・・・・・えらく短いな)


 続く来賓客の挨拶も短い。その次の来賓客も・・・。どうやらフィリップス伯爵の挨拶が毎年短いので、来賓客の挨拶も短くなっているようだ。

 新入生代表はやはり主席のルナール・エルダーだった。彼女の挨拶も短かった。おそらく、事前に注意があったのだろう。そして最後に校長先生が壇上に立つ。やっぱり挨拶は短かった。

 なんとも味気ない入学式であった。式の時間はおよそ40分程度であった。6人もしゃべっているのに・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ