冒険者になりました
学内の冒険者ギルドは寮から少し離れたところにあった。ギルドに入ると、職員が一人いそがしそうに準備をしていた。
「あれ。ペコラ、どうしたの。オープンまであと10分はあるわよ。」
時計を見ると、6時50分を指している。どうやら7時に開くようだ。
「10分くらいいいでしょう。細かいことは気にしないで。」
といい、中に入っていく。思っていたより小さな建物だった。冒険者ギルド学園支部と書かれた看板が正面にあり、その下に受付と素材引き渡し所がある。右側に大きな掲示板があり、生徒用と書かれている。左側にも小さな掲示板があり、教師用と書かれている。
「どうしたの?キョロキョロして。」
「いえ。冒険者ギルドに初めてきたんで、珍しくて。結構小さいんですね。」
「ここは特別よ。町のギルドはもっと大きいわよ。酒場が併設されていたりするから。ここは学校用なんで必要最低限の作りにしてあるの。」
と、話していると、職員が近寄ってくる。
「もしかして新入生。はじめまして、ギルドマスターのカーネよ。といっても、このギルドには職員が私一人だけどね。」
「初めまして。ブレットといいます。よろしくお願いします。」
「ギルドは初めみたいね。ということは登録はしたことないわね。ちょっと待っててね。すぐ登録するから。」
と彼女は受付の中に入ってなにかを始める。ペコラさんは掲示板の依頼を物色している。どうやら講習の内容は依頼のようだ。気になるのはペリコさんが教師用の掲示板を見ていることだ。
「お待たせ。できたわよ。これが冒険者カードね。なくさないでね。」
カーネさんが俺にカードを渡す。
(えらく早いな。)
「できるのが早いな、とか思ってたでしょ。学生はね。学校から情報が入ってきているので、作るのが簡単なの。それでは、ちょっと説明するね。まずは注意事項ね。一番は、なくさないこと。身分証の代わりになるから失くすと大変なことになるからね。次に、この冒険者カードは学生用なのでここ以外での使用はできません。依頼も右の学生用掲示板から取ってね。それじゃ、この冒険者カードを見て。」
と俺のギルドカードを指さす。
学生冒険者カード
ブレッド
職業 なし
ランク 学生
スキル
剣術Lv1
「職業は2年生の途中で決まるからね。詳しくは授業で説明があると思うから。ランクは学校にいる間は学生のままね。最後に重要なのがスキルね。ここに書かれているのが君が修得した単位にもなるから、どんどん増やして、Lvを上げていってね。」
説明が終わるとペコラさんがやってきた。
「カーネ。これを二人で受注する。受付を頼む。」
と一枚の依頼を差し出す。
討伐依頼
ランクI
街の北の森の巨大豚の討伐
報酬 5000ゴールド
「これ、この子と行くんですよね。ちょっと無茶じゃないですか。」
カーネさんが慌てている。巨大豚って初めて聞く動物だけど、狂暴なのだろうか。
「心配ないわよ。さっき見た感じだと、たぶん大丈夫よ。いざとなれば、私も手伝うから。ブレット君、イノシシくらいなら狩ったことあるでしょ。」
「はい、ありますが。」
「じゃ、大丈夫ね。受付よろしく。ブレット君もカードを出して」
俺はペコラさんに言われて、カードをカーネさんの差し出す。
「本当にいいの?怪我をしない様に気を付けてね。」
といい、受付を済ませる。カードには依頼受注中と表示されている。
(怪我をしない様に?)
不吉な言葉を聞きつつ、俺たちはギルドを出る。




