指導教官はペコラさんでした
朝、5時に俺は目を覚ます。父親の狩りを手伝わされていた俺は、朝は強かった。昨日買ったパンを食べると部屋を出る。時計は5時30分を指している。まだ外は暗い。
「感心、感心。ちゃんと起きてきたね。」
後を振り向くとペコラさんが立っていた。動きやすそうな服装で手にはロングソードを持っている。
「ペコラさん、おはようございます。そんな格好でどうしたんですか?」
「補講に決まってるでしょ。」
「受けるんですか?」
「馬鹿ね。指導教官に決まってるでしょ。」
どうやら、補講の教師はペコラさんらしい。
「それよりあなたのその格好どうしたの?」
俺は弓矢を持っていることを指摘される。
「購買所の店員に勧められまして・・・」
「・・・たぶんあの子か。おしゃべりね。」
ペコラさんはちょっと悔しそうな顔をする。『あとで説教ね』という声が聞こえた気がする。・・・きっと気のせいだ。
「一応聞いておくわね。現在の装備一式は?」
「武器は弓矢とショートソードです。解体用ナイフも所持してます。後は薬草と毒消し草と食糧と水です。」
と言って収納魔法から薬草など取り出す。
「あら、収納魔法が使えるのね。・・・それでなんで魔術の試験が13点なの?」
「攻撃魔法しかダメだと思って、ファイアーボールを唱えて失敗しました。」
「採点が攻撃魔法だけだと、ほとんどの人が点数を取れないわよ。生活魔法を2つぐらい披露するだけでも50点はとれるわよ。60点以上は無理だけど。収納魔法なら55点くらいいけるかもね。」
(・・・そうだったんだ。)
6時まで待ったが、俺の他に誰も現れなかった。どうやら、補講の受講者は俺一人にようだ。俺はペコラさんに連れられて外にでる。
「それでは、補講を始めますね。ホントはね、ここで『そんな装備で講習ができるかー』って怒鳴って、装備の準備をさせ直す予定だったんだけど、どこかのおしゃべりのせいで必要なくなったわね。いい。講習は基本的に野外での実践が多いので、フル装備が基本ね。」
なるほど、あの店員はこうなることを知っていたんだ。
「ブレット君の剣術の点は40点だったと思うけど・・・、ちょっと準備運動がてら剣を振ってみて。確認したいことがあるから。」
俺は父親にならった、剣の型を披露する。獣を仕留めるのに最適な動きが多く含まれているらしく、小さい時から練習している。ペコラさんが険しい表情で俺の型を見ている。
(この型に何か問題があるのか?)
などと考えながら、剣を振るっていると、
「もしかして、実技の時もこの型で試験官と戦った?」
ペコラさんが呆れた顔で質問してくる。
「はい、これしか知らないので。」
「この型はね。対動物用に作られた型なの。対人戦ではあまり有効ではないの。それでも、この型を見ただけでも君には50点くらいはあげれそうね。合格ね。」
(えっ。てことはこれで補講はお終いか)
など甘い考えをしていると、ペコラさんがとんでもないことを言い出した。
「よし。折角、朝早くに起きたのにこれで終わりだと勿体ないから、ちょっと上のステップに進みましょうか。ちょっと、きついけどいいわよね。冒険者ギルドに行くわよ。」
といい、俺の返事も聞かず歩き出す。
(終わってもらって構わないですが・・・)
と心の中で呟きつつ後に続く。ペコラさんは俺の不満の表情に気づくと、
「心配しなくても、君に40点をつけた試験官には後できつい説教をしておくから。」
(え、説教!いや、そんなこと望んでないんですが・・・。)
それにしても、最初は寮母と紹介されたのだが、ペコラさんって何者なんだろう。




