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009.厨二病で無くても格好いい

『異世界転生 海の見える領地でやりたい放題(仮)』と同時更新


「完成しましたぁ~~~」


 あっという間に…………1時間ほどで苦無10本と忍刀2本の製作は終わりました。


 完成したのは忍具です。

 忍具と言っても苦無と忍刀の2種類しか作っていませんけどね。

 2種類でも、元いた世界でよく使っていた忍具と予備用にと持っていた忍具です。


 そう、元いた世界でのボクのメインウエポンは苦無…………それも二刀流でした。

 そして、サブウエポンが、少し間合いの広い忍刀です。

 もちろん、忍刀も二刀流です。


 長い得物じゃ無くて、短い得物を使うという、ちょっと変則的ですけど、斬り付けるための間合いなんて合ってないようなモノですよね?

 だって、時間にすれば、格闘ゲームの1フレーム以下の差でしかないんですよ。



 べ、別に、ボク、厨二病とかじゃないし、短い間合いの苦無…………それも二刀流が格好いいとかじゃないですよ。



 そうです。

 ちゃんとした理由があるんですよ。

 そう……………………えっと、そうそう、短い得物の方が、対峙した相手に舐めて見られて、油断を誘えるんです。

 そして、サブウエポンの忍刀は、対峙する相手に対して威圧感を与えたいときに使用するんです。

 まぁ、対峙すること自体が希なんですけどね。

 元いた世界では、気配を感じさせず、スッと苦無で首筋をなぞって総頚動脈をカットするだけの簡単なお仕事でしたので、苦無や忍刀を持って対峙することなんて、練習くらいしかなかったんですよ。

 と言うか、練習だけなら、苦無や忍刀以外の他の武器も使用していましたね。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 完成した武器は、苦無を飛び道具として使っても、相手にもよるでしょうけど、これだけの数があれば、しばらくは大丈夫でしょう。


 後部の輪状部分に紐を付けて投げれば回収し易いですしね。

 リサイクルですよ。

 リサイクル。

 せっかく作った苦無ですから、無駄にはしませんよ。


 元いた世界のときのように、仕事現場にいても、真技(まぎ)家に発注すればすぐ届くってことは無いですから、手持ち在庫を少し余裕を持っています。


 ボクは5歳児でもアイテム収納魔法持ちなので、これだけ持てますけど、ほとんどの人はメイン武器だけで手一杯でしょう。

 良くて隠し短剣くらいですかね?

 普通の人は、高い金を出してアイテム収納が出来る魔道具を買わない限り、予備の武器なんか持ち歩けないですよね。

 と言うか、それだけのお金があれば、武器を持つ仕事なんかしなくても良いでしょうね。


 それはともかく、そう、アイテム収納魔法です。

 これが無いと不便です。

 元いた世界では、真技(まぎ)家の(あおい)ちゃんが作ってくれたこの世界のアイテム収納魔法にそっくりな『アイテム収納リュックサック』を生活必需品ように使っていたので、アイテム収納魔法を努力と努力と努力で覚えました。

 ほんとに、アイテム収納は、魔法であれ、道具であれ、無いとマジで不便です。

 温水洗浄便座なみに必要です。

 ちなみに努力と努力と努力で覚えた『指から温水魔法』と『指から温風魔法』で、温水洗浄便座の代用しています。

 便利だけど、かなり虚しいです。

 早く魔道具作りを覚えて、魔道具化したいです。



「やっぱり、苦無は手に馴染みますね」



 それにしても、やっとです。

 5年ぶりの自分用の武器です。

 魔法があったと言え、心許なかったです


 この世界では、今まで武器を手に入れることが出来なかったので、魔法をメインで使っていました。

 ああ、一時期…………いや、ほんの少しの間だけ、包丁を使っていましたね。

 敵…………はぐれミノタウロスを倒した後です。

 そう、解体に使っていたんです。

 いや、解体しようとして、はぐれミノタウロスに包丁を2回刺して、3回目で解体魔法を覚えました。


 魔法で敵を倒してから、解体魔法からのアイテム収納魔法は最強コンボです。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 一番腕の良いヒゲもじゃの背の低い鍛冶師ことトニーさん。


『鍛冶ギルドに加盟して、弟子入りするか?』


 1時間前…………ボクが軽々とハンマーを扱ったことでトニーさんは、そう提案してきました。


『弟子入りさせてくれ』


 今はそう言って正座して頭を下げています。

 あ、うん、土下座です。


 苦無を作ろうと、2~3回…………いや2回。

 熱した鉄を2回叩いて、3回目で『鍛冶スキル』を習得したんだ。

 それからは、熱した鉄を1回叩くと、思い描いた忍具…………鍛冶製品が製作出来るようになったんです。


 本来なら必要であろう鍛冶士の適性検査を受けて、鍛冶ギルドに加盟することで貸し出される『鍛冶士カード』無しにです。


 鍛冶士の適性があり『鍛冶士カード』に自分の血を垂らすことで、『片手槌装備スキル』と『鍛冶スキル』などを覚えることができ、後は、生涯を掛けて、覚えたスキルの熟練度を上げていく。

 そう、今回覚えた『片手槌装備スキル』や『鍛冶スキル』の熟練度を上げれば上げるほど、製品が完成するまでの叩く回数…………製作工程が減っていくんです。


 原因を『製品を作り始めること』とすると、結果は『完成品』。


 『鍛冶スキル』の熟練度が、原因と結果の関係…………完成品にするまでの製作工程…………過程を効率化させるんです。

 まるで、魔法みたいなモノです。

 いや、スキルですけどね。


 『鍛冶スキル』の熟練度を上げて、鍛冶士の道を極めて、到達出来ると言う鍛冶士の究極型、製作工程を極限まで効率化し…………そう、原因と結果の間にある過程をゼロにすることで、ほぼ『鍛冶スキル』のみによって武器や防具を作る『幻の鍛冶マイスター』。


 ボクは、それらをすっ飛ばして、『幻の鍛冶マイスター』になっちゃったんですよ。

 分かっていましたけど、転生特典…………マジでチート過ぎます。



「弟子にするのは、無理ですけど。また、叩きに来て良いですか?」



 そう…………たぶん、転生特典のせいで覚えただけですので、弟子を取って教えるのは無理…………あ、いや…………なんでもないです。

 それに、鍛冶仕事をしたのは、自分の武器が欲しかっただけで、鍛冶士になりたかったわけじゃないですからね。



「ああ、もちろん、大歓迎するぜ」



 ちなみにって、返事を貰っています。


 今日は、一応武器を揃えただけです。

 素材を変えたちゃんとした苦無や忍刀を作りたいし、出来れば追加効果のある魔道具なんかがベストです。



 そこまでやろうとすると…………機密保持のため自分の工房が必要になってきますね。

 そう考えながら、鍛冶屋を後にしました。



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