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016.式神

     ティキーン! キロリロリーン、キュルルリィン



 フレクサトーンと言う打楽器が鳴り響いたような気がした。


 この感じ…………お師匠さまか?


 実際、お師匠さましかありえないんですけどね。

 考えるまでもないです。

 1分の1の確率ですからね。

 どうも、お師匠さまを監視させている式神(しきがみ)が反応したようです。


 あーー、ボクの名前を呼んでいます。

 ボクに用事があるようですね。

 って、もうちょっとで、冒険者ギルドだったんですけど…………仕方がないです。


上杉(うえすぎ)流:木の葉隠れの術・改】


 足を激しく動かすことで地面に摩擦熱を発生させ、その摩擦熱が上昇気流を引き起こし、ボクを中心とした小型台風が発生したような風が吹き荒れ、その風に葉っぱをばらまくことで、周囲の人が目に葉っぱが入らないように瞑る。

 まぁ、冗談です。

 摩擦熱じゃなくて、風魔法のウィンドウォールを努力と努力と努力で改良した魔法リトルタイフーンを使って、ボクの周囲に小型台風を発生させたんです。

 葉っぱ云々以降は冗談じゃなくて本当ですけどね。


 さすがに摩擦熱で上昇気流を発生させられませんよ。

 この世界では、靴事情が異なりますからね。

 足の裏を火傷しちゃいます。


 おっと、周囲の視線が消えましたね。

 そのスキに、スッと建物と建物の間に隠れます。


 そして、アイテム収納から、人の形にした紙を取りだした。


上杉(うえすぎ)流:式神(しきがみ)の術】


 人の形にした紙がくノ一の某ねんどでロイドな人形のような形に変わる。

 もちろん、人形の形になっただけではありません。

 動くんですよ。

 それも、ボクの思考をトレースしてくれるので、指示を与えるだけで、ある程度、自己判断で動いてくれるんですよ。

 部下がいれば部下を使うんですけど、いないモノは仕方ありませんよね。


 さて、今作った式神(しきがみ)は、後で…………どれくらい掛かるかは、お師匠さまの用事次第ですが、ここに戻ってくる予定ですので、監視カメラの代わりに置いておきます。


 式神(しきがみ)はスタッ、スタッ、スタッと見晴らしが良く、人目に付きにくい場所をキープしました。

 さすがです。


 ここを離れてもいい準備が出来たので、お師匠さまを監視させている式神(しきがみ)の位置を確認…………あっちか…………貴族街と平民街との境の塀を挟んで、平民街側の塀沿いの建物の中にいるようですね。

 上空から確認しているので、街の形は把握しています。

 さすがに、何の建物かどうかまでは把握出来ていません。

 と言うか、屋根を見て把握なんか出来ませんよ。

 だから、散策してたんですよ。


 意識を切り替えて、お師匠さまを監視させている式神(しきがみ)に視線接続する。

 比較的新しい建物…………バー? 酒場? そんなことにいるようです。


 座標確認、障害物無し…………着地地点には、人がいないので、いつもより出現位置は、少し低くても大丈夫なようです。


【瞬間移動】


 転生特典マジチートです。

 努力と努力と努力があれば、瞬間移動魔法ですら覚えることが出来るんですよ。

 お師匠さまに、走って移動しろって言われなければ、使っています。



     スタッ



 瞬間移動魔法の移動先の地上1メートルの高さから飛び降りて、着地しながら、片膝を付いた。

 うん、決まった。

 格好いい。


「お師…………お養母(かあ)さま、なんの用ですか?」


 顔を上げて、顔をお養母(かあ)さまに向けて、そう聞いた。

 視覚に入ったのは、お養母(かあ)さまと、驚いた顔をしている年配のマスター。

 で、見えないけど、カウンターの裏と天井と裏口に合わせて3人隠れているようですね。

 素人じゃなさそうですけど、3人を甘々な採点すると『もっと頑張りましょう』です。


 お養母(かあ)さまは、ボクが瞬間移動魔法を使えることを知らないと思いますけど、いつも呼べば来るから、そのつもりで呼んだんでしょう。

 引っ越す前までの呼び出し時には【御鏡(みかがみ)流:縮地(しゅくち)】を使っていますからね。


「お、来た来た~。我が子よ~。ミードとおつまみをちょうだ~い」


 そんな用事で呼んだんですかっ、こ、この酔っ払いが~~~!!

 く、来るんじゃ無かった。

 わざわざ、瞬間移動魔法まで使ったというのに…………。


「いきなりなんですか? さっき渡したミード、もう呑んじゃったんですか? それに、おつまみならともかくミードは魔法じゃないんですから、ポンポンと出てきませんよ。今から買いに行けってことですか?」


 そうです。

 2時間ほど前、宿を出る時に、ザーン村付近で作ったミードを4リットルも渡したんですよ。

 いくら美味しいお酒だと言っても、呑むペースが速いです。


 それはともかく、出せと言われても、素直に出すわけにはいけません。

 ですので、返答としては、色々と思うとこがありますが、様子見のためノーと答えておきます。


「魔法じゃ出ないことは分かってるわよ。だから、魔道具から出してよ。予備で少しはミードを持っているんでしょ?」


 と言うか、努力と努力と努力をすれば、ミードも魔法で出せそうです。

 あ、うん、気付かなかったことにしておこう。


 それはそれで問題なんですけど、ボクがミードとおつまみを持っているとお師匠さまが確信していることが問題です。


 ヘマでもしたんでしょうか?


 おつまみは作り置きして、アイテム収納魔法を使って保存してあります。

 もちろん、これはお師匠さまも知っています。

 ただし、正確にはアイテム収納袋に保存してあると言うニセ情報をですけどね。

 それでも、ボクがおつまみを持っていること自体はおかしくないんです。



 問題はミードの方です。



 ミード購入に必要と思われる代金しか貰っていないですし、買った分は全て渡していることになっているんですから、持っていると思われるのは、おかしいですよね。

 くすねてると思ってるんでしょうかね?


「も、もっていませんよ。でも、なんで、持っていると思ったんですか?」


 噛みました。

 噛んじゃいけないところで噛んじゃいました。

 動揺してると思われちゃいますよ。


「え~、いつも気持ち良く呑んでるときは、ミード補充してくれてるでしょ? 酔っていても、それくらいは、気付くわよ~。で、出してくれるんだよね? ダメなら自分で出すから、アイテム収納袋貸して」


 気持ち良く呑ませてあげようとしたことが、裏目に出たようです。

 ぐでんぐでんに酔っ払っていたから、気付いていないと思いました。


 と言うか、『アイテム収納袋』は貸せません。

 超ヤバいです。

 マジヤバです。


 見られたら、何も入っていないことに気付かれちゃいます。

 在庫を一元管理するために、アイテム収納魔法を使って、色々と収納してありまので、アイテム収納袋は使っていませんでした。


 く、ダミーでも入れておけば良かったです。

 今さら遅いですね。


「わ、分かりましたよ。どれくらい必要なんですか?」


 動揺して、白紙の手形を渡しちゃいました。

 上限設定忘れました。



 あ、でも、忘れて正解だったのかもしれないです。

 満足して貰って、ボクのことを否定されずに、アイテム収納袋を確認されるようなヘマをしないことが重要です。


 アイテム収納袋を使っていないと分かれば、ボクがアイテム収納魔法持ちだとバレるんです。


 口にした上限がウソだと疑われてもNGだったんですよ。


「うちの子がこう聞いてるけど、ナプディスさん、どれくらいいるの?」


 ボクの平穏を守るためのボールは、驚いた顔をしていたが通常モードに再起動が完了したナプディスさんと言うマスターに渡ってしまった。


 お養母(かあ)さまの次のセリフに身構えていたら、肩すかしを喰らった感じですね。


 回復魔法はすでにお養母(かあ)さまには知られています。

 今さら、アイテム収納魔法をお養母(かあ)さまに知られちゃマズいってこともないんですけど…………悩みどこです。

 木を隠すのなら森の中って言いますから、色々とバラして森を作った方がいいような気もしますしね。


 う~ん、ほんと難しいです。



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