014.目的地
ですので、もう脇目も振らずに、登録をしに向かいます。
って、これだけじゃ意味不明ですよね。
向かうのは、冒険者ギルドです。
全神経を前方に集中して、真っ直ぐ冒険者ギルドに向かうんです。
さすがにもう寄り道は出来ません。
出来るんですけど、出来ません。
小銭がないんですよ。
無駄遣いじゃないですけど、使いすぎました。
きれいさっぱり、使い切ってしまいました。
欲しいモノがあって、購入意欲がかきたてられたときに、衝動買い出来ないんですよ。
いえ、白龍貨(約1億円)は持っているんで買い物は出来ます。
この辺のお店で、白龍貨を出したら『つりなんかねぇ。店を買う気か?』って言われるでしょうけど………………。
王都の中央付近とかの、貴族向けの大きな商会とかならおつりが出てくるでしょうけど、スラムに近いところでは、そこまで、おつりを準備しているところはないでしょう。
それでも、『おつりはいらないよ』って言えれば買えるんですけど、白龍貨を出して『おつりはいらないよ』って言えますか?
ボクはそんな気前の良いこと言えないです。
収入源が、気まぐれで作っているミードだけの状況で、『おつりはいらないよ』って、そんな無駄遣い出来ません。
元いた世界の知識で、お金儲けをすることは出来ます。
例えば、異世界転生の定番中の定番『リバーシ』とかです。
でも、アイデアだけじゃ、ダメなんです。
アイデアを形にする製造と出来た製品を取り扱ってお金にする販売、その人脈がないんですよ。
取り扱ってくれる人を増やすだけなら簡単です。
アイテム収納魔法で収納してある在庫商品を店に持ち込めばいいんですよ。
でも、それはしていません。
ただ、取り扱ってくれる人だけではいけないからです。
信用出来る人…………そして、秘密を守ってくれる人が必要なんです。
今はミードを買ってくれるザーン村の居酒屋のおっちゃんくらいです。
そうです。
ザーン村の居酒屋のおっちゃんみたいに、機密保持がしっかりしている人じゃないと困るんです。
ボクが目立たないように矢面に立ってくれる人じゃないとダメなんですよ。
そして、お師匠さまには、絶対内緒にして貰わないといけません。
そう言う人脈が出来るまで待つのも何ですし、冒険者になって、ちまちま稼いでおこうということです。
そう、5歳になると、冒険者登録が出来るようになります。
ボクでも登録出来るんです。
Gランクスタートですけどね。
SSS、SS、S、A、B、C、D、E、F、Gとなっているので、下っ端もいいとこです。
もちろん、依頼も依頼料もそれなりです。
でも、真面目に依頼を受けてさえいれば、日々の食事には困らない生活が出来るようです。
5歳児から登録出来るのは、スラム対策らしくて、国から補助金が出ています。
通常の依頼料に国から出た補助金が上乗せされるようになっているんですよ。
現国王が就任直後にした政策で当時は反対されたらしいですが、今はかなり評価されているようです。
そう言うことですけど、冒険者の収入は当てにしていません。
誤差程度の収入アップにしかなりませんからね。
話を少し戻して、冒険者ランクですが、普通は依頼をこなすことで上がっていきます。
そう言う言い方をするってことは、別の上げ方があるってことですよ。
そうです。
学校に通って、冒険者科を卒業すれば、成績次第でDからFランクになれるそうです。
いや、今までの卒業生がDからFランクにしかなれなかっただけで、SSSランクにもなれるようですね。
ボクも、そうありたいですね。
もちろんSSSランクとかじゃないですよ。
何事も普通です。
普通で良いんです。
出る杭は打たれるんです。
目立たないように、程々で良いんですよ。
ゆっくり、ゆ~っくりと、冒険者ランクを上げていきたいだけです。
そのために、少しでも早く冒険者登録をしたいんですよ。
あと、魔法の才能があっても、高度な教育を受けても、覚えることが出来るかどうか分からない希少性の高い上級以上の回復魔法持ちや、中級以上のアイテム収納魔法持ちは、有無を言わさず、冒険者ギルドと専属契約や指名依頼出来るBランクスタートらしいです。
その代わり、冒険者ギルドから指名依頼はほぼ断ることが出来ないらしいです。
もちろん、ボクがいきなりBランクスタートとかのフラグとかじゃ無いですよ。
確かに、確かに、確かに、元いた世界では、ごく一部を除いて脳筋一族でしたけど。
ボクだってそんなにバカじゃ無いんです。
そんな目立つことなんてしませんよ。
いや、ほんとに目立つのイヤですからね。
努力のおかげで、上級以上の回復魔法持ちや、中級以上のアイテム収納魔法持ちと言う条件を楽々クリアしていますけど、そもそも、普通の5歳児が覚えられるような魔法じゃ無いですから、隠すに決まっているじゃ無いですか~。
それに、いきなりそんな立場になると面倒ですよね?
わざわざ、公爵さまやお師匠さまがボクの秘密を隠してくれているんです。
なので、と~~~~~っても、大人しくしていますよ。




