第7話 ガチャ樹は祠に変身した
「今日はちょっと待ってね」
すぐにでもガチャをやりたいと思っているふたりを「待て」のサインを出してひとりでガチャ樹に向かう。
まずは、ガチャ樹の上の方に、綱をぐるっと一回り廻して後ろで結ぶ。
背中に担いできた箱を下ろし、ガチャ樹の前に置く。
箱の上に卵をひとつづつ、並べていく。
全部で30個の卵が並ぶ。
「はい、できました」
「お嬢様、なんですか、これは?」
「これは、祠なの。ガチャ樹の祠」
「あー。村とかの道端にある祠ですね」
「そうそう。中に小さな像が入っていたりするでしょう」
この国は多神教で多くの神様がいる。
昔は色々な神様を村ごとに祀っていて、道端に神様の小さい像を置いた祠があった。
今は、教会の太陽女神の信仰が中心になっているので、他の神様の祠は減ってしまった。
だけど、今でも村にいくと、様々な神様の祠を見ることができる。
「ねぇ。なんでガチャ樹を祠にしてしまうの?」
「それはね。ガチャを廻す回数を増やすためなのよ」
私の仮説を説明してみた。
昨日、ガチャ回数が一昨日より一回多かったのは、ノーラが真剣にお祈りしたから。
まだ、確証はないけど、今日、ガチャする前に真剣にお祈りすれば、ガチャの回数が増えるかも。
「それはしっかり仮説ですね。お嬢様」
「ありがとう。実際やってみないと分からないけどね」
「やってみるぅ~。はやくやりたいっ」
そうね。今日は最初はノーラからにしましょう。
「どうか。かわいい物があたりますように」
ガチャ樹の祠にノーラが真剣にお祈りをする。
卵を3つ並べて。枝を引く。
ピカッ。ころころころ。
カプセルが出てきた。
何が入っているかな。
《緑輝石:-》
「うーん。石かぁ」
「でも、綺麗な石ね」
「うん、綺麗っ」
ノーラは外れだったけど、まぁ喜んではいる。
次は、エックハルトさん。
「どうか、いい物が当たりますように」
お祈りしている。と、後ろを振り返り、私を見る。
「こんな感じですか?」
「いいから、真剣に祈ってから、ガチャしなさい」
「はい。分かりました」
卵を並べて。枝を引く。
ピカッ。ころころころっと。
《秘密箱:☆☆》
「あ、あたりです。やりました」
「それ、何かな」
「箱ですね。不思議な箱」
「どうやって開けるの?」
「えっ、どうでしょう」
「貸してみて。うーん、開かないなぁ」
たぶん、細工があって、順番に動かすと開く箱だと思うれど、どんな細工なのか、分からない。
「ノーラもやるぅ」
箱を手渡すとノーラもあちこちいじりまくっているけど、全然開かない。
「困ったわね。これじゃ使えないね」
箱をエックハルトさんに戻すと、カチャカチャと箱を動かしだす。
「ここをこうやって。次はここで。そして、こうやって。開いた」
「すごーーい。どうやったの?」
「えっ、何でそんな複雑なのをすぐに分かってしまうの?」
「不思議なんですが。見ていたら、開け方がなんとなく分かって」
持ち主はちゃんと開けることができる箱らしい。秘密箱って名前の。
「もしかして、エックハルトさん。クララに秘密って言ってたから、これ当てたの?」
「はっ。そうかもしれません」
無意識が反映するから、分かりづらいわね。何がでるか。




