第34話 人を集めるために必要なこと
「おい、あそこを見ろ」
「なんだ、あれ」
道の横に何かいる。
それもすごく大きい。
「オーガか。そのぐらいのサイズだよな」
「ああ。だけど、形が違うな」
「耳が長いな。ウサギみたいな」
「警戒して近づこう。いつでも逃げられる準備をしておけ」
「もちろんさ」
冒険者ふたりは警戒しながら前へ進んだ。
「うーん。魔物じゃなさそうだな」
「ああ」
「全く動かない。死体だとか」
「だけど立っているぞ」
何があるのか、全く予想ができない。
とにかく近づいてみる。
「でっかい人形か」
「そうみたいだな」
「魔除けとか?」
「かかしにしては、畑が見当たらないしな」
不気味な物体がある地点に近づいてきた。
それが何か全く分からないまま。
「それよりもさ。あそこを見てみろ」
「なんだ、あっちにもあるじゃないか」
よく見てみると、道に沿って何かが置かれている。
それは1体だったり2体だったりする。
「ん?何か書いてあるぞ」
「人が置いた物なのか」
ウサギの獣人と思える2mほどの人形は、頭の上に楕円形のボードがついている。
その楕円形のボードから口に向かって細い三角形が出ている。
「えっと・・・『疲れたなぁ』だな」
「そうだな、『疲れたなぁ』だ」
まぁ、ここに来るまで休み無しだったし。
疲れているけど。
「次も何か書いてあるぞ」
「今度は・・・『この辺でひと休みしたいな』だ」
そもそも、ウサギ獣人と思われる人形がおかしい。
みょうに目立つピンクだし、頭や目が大きすぎる。
「その次は、2体だな。ウサギの横にいるのはカメか」
「ああ、カメだ。人の形をしたカメだな」
ウサギの横にカメ。
意味が分からない。
「で『クリスのティーサロンが近くにあるよ』だろ」
「うん、と、なると。これを置いたのが『クリス』って人か」
「そうなんだろう」
そんな感じで10の人形とセリフを読みつつ前に進む。
「これで10だな。で、あれが『クリスのティーサロン』だろう」
「ああ。なんで、こんな所にあるんだって感じだけどな」
「それを言うなら、こいつらの方がインパクトあるだろう」
「それもそうだ。ところでどうする?」
「なんか疲れたし。寄っていくか」
「そうだな」
妙に女子チックな建物の扉を開くふたり。
その瞬間に声がかかる。
「いらっしゃいませ。クリスのティーサロンにようこそ」




