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プロローグ 公爵様、婚約破棄ってそれはないでしょ

「クリスさん。呼び出してすまない」

「なんですの?公爵様」

「君はこれからの人だ」

「はい?」

「私みたいな年寄りに君はもったいなさすぎる」

「はい?」

「婚約はなかったことに!」


なんで、こんなおっさんに婚約破棄されなきゃいけないのよ。

確かに、このおっさんは公爵で、うちの父は男爵よ。

格下だからと言って、勝手に婚約を決めて、勝手に破棄しているのよ。

信じられない!


「何言っているの、クリスお嬢様」

「えっ、だってなんで、こんなおじさんに気を使わないといけないの?」

「公爵様はクリスお嬢様の婚約者ですよね。三年前に決まったんです。忘れるはずないですよね」


あの時、私の顔を覗き込んだメイドのクララの顔は今でも思い出す。

思わず、笑いだしてしまった。


だって、まだ15歳の令嬢の私が 公爵とは言え40過ぎのおっさんの婚約者だって?

ありえないでしょ、本当に。


21世紀から転生して3か月。

中世みたいこの世界にやっと慣れてきたというのに。


「婚約者は公爵様」

それは、いいのよ、それは。

だけど。


「婚約者は40過ぎのおっさん」

それはないでしょ、それは。

ロマンスグレーな素敵なおじ様、なんてものじゃないのよ。

ただの、おっさんよ。


しかし、私は耐えたわ。

この世界では、ありなんだと。

21世紀の頭で考えて答えを出そうとするのが問題。

この世界にちゃんと馴染むことができたら、婚約者にも馴染めるのではないか。


本気で考えて、本気で努力したのよ。


それなのに。

三か月で婚約破棄って、どんな罰ゲームよ。


いいわよ。

もう分かったわ。


転生とか、この世界とか。

そういうのは、もうどうでもいい。


好きにやらしてもらいます。

転生の時にもらった、『ガチャ師』と『箱庭』のスキルで。


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