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第四十九話:二人を救出するためには

大分遅くなりました。焼き土下座不可避。

リィンに近からず遠からずの森に、私たちは逃げ出すことができた。


「はぁっ、はぁっ、げほっ、ごほっ、っはぁっ、はぁっ、あっ、ごほっ、げほっ。ど、どうしっ、うっ、ひゅっ、あっ、はぁっ」


昔の悪い癖が出た。私は怒られたり、罪悪感を覚えたりしてだんだん感情が高ぶると過呼吸になってしまう。ひどいときは目の前が真っ白になってチカチカとし始める。押さえようと何度もしたが結局ひどくなってしまった。短い呼吸の連続により吐き気も覚える。


「っあ、はぁ、おちつかな、あっ、げほっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」


口を閉じる。息をしたいと騒ぐ脳みそを無視して息を止める。この方法が一番過呼吸によく効いた。


「っ、はぁ......っげほっ、ぁ......はぁっ、はぁっ......」


ゆっくりゆっくり、もとの呼吸に戻していく。こうなったらこちらの勝ちだ。しゃくりあげはするが、もう過呼吸にはならない。


「......ふぅ、はぁ......。」


「シキミ......大丈夫?」


「うん。ごめんね、悪い癖が出たみたい。」


マジックボックスに突っ込んだ水袋を取り出して、がぶがぶと飲む。

冷たい水が頭を冷やしてくれた。


「......アルニカおねーちゃんとユグルおにーちゃんが捕まっちゃった。」


ギュス君が自分のせいだと言わんばかりに涙を目にためる。思わず頭をなでなでして慰めた。


「大丈夫、私が何とかするから。」


「何とかするとは、どういう意味ででしょうか?」


そういった私に向かって先生が険しい顔で詰め寄ってくる。


「そのまんまの意味です。二人を助けます。」


「ほう、名案ですね。作戦もなにもないところに目をつむればね。」


うるさい


「でもやるの。先生は二人を見てて。」


「作戦もなしにですか。」


うるさい


「ある。」


「では教えてください。」


うるさい


「......。」


「ないのでしょう?恐らくそのまま突っ込んで無理救助するつもりでしょう。そんなことすれば、二人が余計に危機に陥りますよ。」


うるさい


「うるさい、先生は黙ってて。じゃあ行くから。」


「......いい加減にしなさい!」


パァン、と私の頬に先生の平手打ちがクリーンヒットする。

こうやってぶたれるのグラズさんがされるのを見てただけだったけど、めちゃくちゃ痛んだな、と冷静な部分で感じた。


「いいですか、作戦もないのにそんな無茶はしてはダメです。それに今行けば地下牢に入れられた二人を救出することになります。リィンの地下牢はどんな構造か教えたでしょう。さあ、答えてみてください。」


「......忌避魔石と金剛鉱石の混合檻。魔術阻害結界。属性弱体結界。」


社会の勉強として覚えている。もちろん、その効果だって覚えている。


「そうです。忌避魔石は名前の通り魔術発動を阻害し、金剛鉱石はすさまじい硬度を誇る鉱石です。容易に砕くことはできない代わりに熱にとても弱いです。しかし、魔術阻害結界は魔術そのものを弱体化させ、属性弱体結界は属性魔法を弱めます。ほぼ難攻不落の地下牢ですよ。だからこそ今行くのは危険です。」


なぜ忌避魔石と魔術阻害結界、属性弱体結界が同居しているのかというと、この結果は結果発動装置という魔法道具によって発動しているらしい。使うのにもちょっと魔力を流し込めば、一年は持つという代物だそう。しかも魔術と判定されない。クソチートじゃねぇか!


「じゃあ、どうすれば。」


「明日の公開処刑を狙いなさい。助けに来ると想定されているため兵たちに守りは固められますが、地下牢よりは確実に助けられるでしょう。」


「......わかった。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


翌日、リィンの王城広場では処刑台が用意されていっていた。

民衆は処刑される人間たちを人目見ようとひしめき、まわりには兵士が厳重に見張っている。

では質問です。私は今、どこにいるでしょーか!?

シキミを探せ!3 2 1......

こっこでーす!ここ、ここ!

なんと私、あっさり潜入に成功しております!

鑑定しないからねぇ。楽々だねぇ。

さて、後は二人が処刑されるタイミングで奪い返すだけだ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ラッパの音が野次馬のざわめきをピタリと止め、今日の処刑者を処刑台の兵士が大音量で読み上げる。


「本日、ギロチン刑を受けるのは国に魔王を連れ込んだ者達を逃がす手伝いをしたアルニカ、およびユグルである!」


再び民衆がざわめく。

他にも何人かいるようで読み上げそうな雰囲気だが、それを無視して進もうとたその時だった。


「待ってよ、東雲さん。」


ぎゅっ、と腕を勇者くんに捕まれていた。

ジュワァアアアア

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