第四十七話:奴隷と奴隷商
ネット版みて知ったんですが、ネット版だと一話一話がめっっっちゃ短いんですね。
いつもスマホ版でしか見ない&執筆しているから気づきませんでした・・・。
しかし、今からどうすることもできないのでこれからも短いけどよろしくお願いします。
私は毎朝早めに起きて周辺を散歩する。転移する前からの癖だ。私の周りは片田舎だったから、朝の静かな田んぼ地帯を歩くとなんとも言えない気持ちいいものに満たされる。運がいいと雉とかがいた。今日も散歩しようと起き出して支度をしていたときだった。
「んゅ、シキミ......?」
「あ、ごめんギュス君、起こしちゃった?」
一緒に寝ていたギュス君が起きてしまった。
いつもは起きないようにそっと出れるのに、失敗したようだ。
「まだ、朝早いよ......?」
眠そうな目を擦りながらもギュス君は訪ねる。
「いや、これから散歩に行くの。」
「散歩?」
おっと、興味をもったのかギュス君の目がパッチリと覚めてしまった。
こうなっては仕方がない、つれていくとしよう。
「一緒に散歩する?」
「うん、シキミとお散歩する!」
かわいいなぁ......。
と言うわけで、早朝の町を私とギュス君で散歩することにした。
まだまだ店は閉まっていて、深夜まで開いていた酒場が閉店の準備をしているだけだった。
「おっ、シノノメちゃん相変わらず早いねぇ。あれ、今日は一緒かい?」
同じルートしかとおらないから、顔を覚えたおじさんが話しかけてくる。最初は早朝にうろつく不審者と疑われたが、そこはなんとか説明した。
「ええ、起こしたみたいで。」
「小さい子はすぐ目を覚ますからねぇ。」
おじさんはにこにこと笑ってギュス君を見ている。
「今日も繁盛したみたいですね。」
「ははは、まあな。だが、アレはいけすかなかったなぁ......」
思い出したのか、おじさんは少し渋い顔をする。
「アレ?」
「ほら、昨日から魔族奴隷が合法化したのは知ってるだろ?」
「ええ、知っています。」
そう、昨日から魔族奴隷が合法化したという御触れが、あちこちで伝えられた。
さっそく今までこそこそとつれ回していた貴族たちが大手を振って歩き回っていた。
「冒険者の【巨人の斧】達を知ってるか?」
「ええ、確か素行の悪さで有名ですね。」
「あいつら、魔族奴隷を購入したとかいって見せてきてなぁ。それがもうかわいそうで仕方ないんだ。あいつらが連れてきた魔族ってのが、確か......そう、バルバロスだったか。女だったんだが角を折られた上にかなり殴ったあとがあってよぉ......」
ひゅっ、と思わず息を飲んだ自分がいた。
バルバロスの角には神経が通っている。そのためわりと敏感で、それをへし折るということは拷問に等しい行為を受けたことになる。
反抗できないのをいいことに、やったようだが......後で暗殺確定だな、これは。
「あっ、すまん、子供がいる前でする話じゃなかったな。」
「いえ、大丈夫です。」
「そうか?まあなんにせよ引き留めちまったな。」
「平気ですよ。では、歩いてきますね。」
「おう。じゃあな」
おじさんに別れを告げ、散歩を再開する。
ギュス君はさっきの話が許せなかったのか、それとも怖かったのか、私の手を強く握っていた。
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「と、言うわけで奴隷売り場を見に行こうと思う。」
「どういうわけだよ」
ユグル君がスクランブルエッグもどきを口に運びながらつっこむ。
「いや、気にならない?」
「まあ、なるっちゃなるが。」
私もスクランブルエッグもどきをパンにのせて口に運ぶ。
我ながらいいできだ。
失敗してよく煎り卵にしていた頃よりかはましって言う意味だけど......。
「お姉さまが行くというなら私はどこへでも行きます♥」
アルニカちゃんがベーコンを刺しながら熱い視線を私に向ける。
お、おう......。
「とりあえず魔族の扱いを見てから【巨人の斧】どもを潰しに行こう。」
「かしこまりましたわ。」
「りょー」
ユグル君の気の抜けた返事に、アルニカちゃんはあきれながらトマトにフォークを突き刺した。
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奴隷売り場は、清掃などがきちんと行き届いている。劣悪な環境にしてたら奴隷商のほうが国に捕まるからだ。一応奴隷にも人権はあるっぽいな。
「へぇ、奴隷をみたいって言うのはあんたがたですかい?」
奴隷商のゴーランがこちらへやって来る。
ブクブクと太って......ということはなく、普通の青年で、どこにでもいそうな雰囲気だった。
「ああ。少し魔族奴隷が気になって。」
「魔族奴隷な。そんならこっちだわ。」
「人奴隷と違う場所なのか?」
「そうしないと人奴隷のほうが魔族奴隷を殴ったりするから。」
弱いものにヘイトは貯まるもんな。
人奴隷の部屋とは反対にある魔族奴隷の部屋へと案内されていく。
薄暗く、獣舎のような作りに少し顔をしかめた。
「悪く思わないでくれよ。こっちのほうが効率いいからそうしているだけで、ベットとかはきっちりしているから。ほら、証明になかも見せてやるよ。」
空き部屋をゴーランが開ける。
確かにベットなどはきっちりと揃えられているようだ。
「そうしなきゃ、俺が捕まっちまう。んで、こっからはなかに魔族奴隷がいるよ。名前と値札で判断してくれよな。見たかったら開けるから。」
と言うわけで一番手前から見よう。
【種族:バルバロス・女】
【金貨50000枚】
......高っ!?は?え?高すぎません???
そんな反応をみたゴーランがくっくと笑って答えてくれる。
「誰でも一度はする反応だな。そいつは目玉商品だからな。とびきり高くしてあるんだよ。見てみるか?」
「......お、おう。」
思わず返答につまった私をおいてゴーランが鍵を明け、中の魔族を見せてくれる。
......そりゃ、高いわ。
中から出てきたのはあの魔王城にいたメイドバルバロスちゃんだからだ。
「な、上玉だろ?首輪着用の義務さえなけりゃ、もっとかわいいのになぁ......。」
「首輪?」
「魔族に反撃されぬようにつける首輪だよ。もし、購入者に反抗したら首輪の魔力が反応して締め付けるって具合だ。」
「へぇ、外せないの?」
「外せるぜ。首輪に魔力を注げばいいのさ。でもおすすめはしねぇなぁ。外したとたん確実にお前らは殺されるぜ?」
ふむ、魔力を注げば外れんのか。楽チンだな。
「ありがとう。それじゃ他も見てもいいかい?」
「もちろん。どうぞ?」
こうして私達は奴隷にされた魔族を次々と見ていった。本当に多種多様で逆に驚いたくらいだ。
そして、とうとう最後の扉へとたどり着いた。
【種族:バルバロス・女】
【金貨10枚】
【注意:噛みつく癖がひどい上、まだ幼体である】
「幼体?」
「あーそれな。どうも親とはぐれたのを捕まえてきやがってなぁ......。幼すぎて買われないんだわ。見んのか?」
「もちろん。」
「へいよ......。」
なぜか渋々と扉へ入ったゴーラン。
そして......
「いてっ!頼むから噛まないでくれよ!あいたっ、引っ掻くのもなしだって!いでででで!!!」
数分の格闘の後、ぼろぼろになったゴーランと猿轡と手枷をされたバルバロスの女の子が出てきた。ゴーランは鼻を噛まれ、あちこちひっかかれていた。
「いてて......こんな風にやんちゃ盛りだし、子供だから首輪をつけたらダメなんだよ。大人なら苦しくなる程度ですむのが、子供だと殺しかねないから......。」
ゴーラン、御愁傷様です。
だけど.....ふむ。
「金貨10枚だよね?」
「ああ......買うのか?」
「うん。そのやんちゃなところが気に入った。」
「なら、ほい。」
そう言ってゴーランが私の方に女の子をずいっと押し出した。
「ただでいいわ。言い方が悪いが、邪魔だったし。」
「そうか?なら、ありがたく貰おう。」
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帰ってるとちゅうはそりゃひどいものだった。
殴る蹴るを容赦なく女の子がしてくるからだ。
やめてーと頼んでも唸ってばかりでやめてくれない。
家についたときはゴーランに負けないくらいぼろぼろにされた。
女の子はそれこそ最初は仲間だと言っても信じなかったが、ギュス君と先生の姿を見たらすぐに信じてくれた。
「わたしのなまえは、サプリル。お母さんとはぐれたときに、冒険者にさらわれたの。」
「サプリル、彼が次期魔王のオーギュスト様だけど......。」
「わかってる。ギュスくん、って呼べばいいんでしょ?それで、私は子供奴隷のふりをしてギュスくんと遊ぶのね?」
「正解。ありがとうね、サプリルちゃん。」
「えへへ、サプリル、がんばるね!」
サプリルちゃんは屈託のない笑みで答えてくれた。
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翌朝、【巨人の斧】が無惨な死体になって発見された。そばには解除された首輪が残っており、おおかた面白半分に首輪を解いたら反撃にあって殺されたのだろうと推測され、素行の悪いこともあり特に惜しまれることもなく死体は埋葬された。
その頃には、私達は国から出ていた。
次の国へ目指すために。
その国の名前は
リィン王国
遅くなったけど、エタる気はないです。




