第四十四話:エルスティン国
翌早朝、私たちはエインリヴ帝国を抜け出し.....もとい、正式に国を出る手続きをして、隣のエルスティン国へとのんびり徒歩で行くことにした。
エルスティン国は私が転移したときには魔族に潰されてた国のひとつ。今再建中だから冒険者大歓迎中。
それに、ちょっと魔族領に近いから故郷を懐かしめるかも?
とかとか。
で、疑問に思った人もいるかもしれない。
「魔族領との境界になってる国が、弱いわけない」
って。
はい、その通り弱くないです。
エルスティン国は技術大国です。魔法は強いし機械も心得てるしでめちゃくちゃ手強いです。
まあ、機械の方はグレムリンさんに頼めばちょちょいっといたずらはしてくれます。ですがそれもカバーできる修復技術があります。
ではなぜ潰されていたのか。
そこに四天王を突っ込ませるごり押し戦法です。
さすがにそれには勝てないですしね。
あとはいつも通り侵略して、勇者が召喚されて......。そして勇者は敗れ、魔王に支配されてしまう......が、いままで普通だったらしいのになぁ。
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昼飯を歩き食べして、ちょうどエインリヴ帝国とエルスティン国の中間くらいの道を歩いてるときだった。
「シノノメ、前方で僕らを待ってる誰かさんがいる。」
「ん?盗賊?」
「そうみたい。って、言ってもチンピラみたいな感じ。」
「そうか。」
んー、どうしようかなぁ、アルニカちゃんに任せると物足りない場合飢えてしまう。
ユグルくんは一対多よりも一対一だし......よし、私が行こう。
「じゃあここで待ってて。私が倒す。」
ちょっと試したいことあったしね。
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「よぉ、ねぇちゃん金目のもの置いていったらなんもしねーぜ!」
開口一番がそれかぁ......。なんともベタなチンピラだこと。んー見たところ五人か......。
では、スキル?恩恵?この場合どういうの?
......まあいいや、【威圧】スイッチオン。
「っ!?」
「ひぃっ......!」
......え?最初に話しかけてきたやつと、そのとなりにいたやつ以外は気絶したんだけど。
え、えー......っと......
「跪け、命乞いはするな。」
「「っ!!」」
顔にはふざけるなとかいてあるが、【威圧】のおかげで跪く。
「我々が通りきるまでそこを動くな。そのままでな。」
よし、これでこいつらの身動きは封じれた。
......【威圧】、こわっ......
ダヴィルさん使ったことあるのかな、ないのかな......。
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チンピラを【威圧】で動けなくしたあと、特に何事も起きずにエルスティン国の門前へと到着した。入国手続きもほどほどに、再建中のエルスティン国に入ることができた。
エルスティン国は魔族領と人間領のちょうど人間領ギリギリに立派な要塞レベルの壁をたてていた。
まあ、いまは破壊されてボロボロになってるけど。
ちなみに隣国ベイツも同じくらい立派な壁がある。
普段は魔王誕生まで魔族はちょっかいをかけたりしない。たまに襲うふりはするけど。
到着早々頼まれた依頼は壁の補修をしている間、蛮族が来ないようにすることだった。
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「ゲギャッ!」
ゴブリンの頭が私の魔法で吹っ飛ぶ。
「ギャゥッ!」
コボルトの体がアルニカちゃんの斬撃で真っ二つになる。
「ピギィッ!」
グレムリンの体がユグルくんによって切り刻まれる。
「......ふぅ、これくらいかな?」
「おおー、ありがとうございます。おかげで滞っていた壁の修理が進みます~」
棟梁......ではなく、ギルドの会計係さんが私にお礼を言う。
「楽な蛮族ばかりでしたが、なぜ手間取っていたいんです?」
「いやぁ、楽な蛮族ばかりなのは重々なんですが、来るスパンが短くて短くて......。みんな疲れて休んじゃってしまうんですよね。」
確かに、現れる感覚が短い気がする。
でもまあ、これくらいなら楽勝でしょ!
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し ん ど い
いや、どんだけ来るんだよ。そりゃみんな疲れるわ。
私も魔力切れを久々におこしかけてる。
アルニカちゃんも味気ないけどたくさん来るのに嫌けがさしてる。
ユグルくんはバテてる。
と、会計係さんが駆けつけてきてくれた
「お疲れ様です!ここまでたくさん討伐していただいて......。今日はもう大丈夫です!ありがとうございます!」
た、助かったー!
「では、明日もよろしく頼みますね!」
ん?
「この仕事は壁の修理が終わるまでずっと続きます。えっと......2年くらいですかね?」
は?
「それじゃ、私は仕事があるので!」
そう言って会計係さんは手を振って立ち去った。
......どうしよう、やるしかないのか、いや、やらなきゃダメなのか......。
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