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第四十一話:エリンリヴ帝国

「この危険な旅を選んでくださり非常に助かります。私が依頼主であるヘーゼイル・アルクトゥです。」


そう言って依頼主であるヘーゼイルさんが握手を求める。まだ若旦那って感じの好青年だ。


「いえ、こちらも新天地と実力を試すがてらになので。私が【クンツァイト】のリーダーであるシノノメです。こちらはジョエとエリン。それと......この二人です。」


私は先生とギュスくんをヘーゼイルさんと引き合わせた。


「あぁ、家族ぐるみでお世話になっていたというかた達ですね。大丈夫です。もっと大家族ならちょっと悩みましたが、二人ぐらい増えても平気です。」


「ありがとうございます。」


ふぅ、無事に二人も連れていけるか。よかった。


「では早速出発しても?」


「はい。問題ありません。」


「では、お二人は馬車に。みなさんは徒歩でしたよね。」


「はい。この家族だけは安全にいてほしいので。」


「ええ、わかりました。」


こうして私たちはダンダリオン共和国を抜け出し、次の目的地であるエリンリヴ帝国へと向かうことになる。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


旅の日程は三日。

一日目までに最短ルート手前まで着いておく。

二日目に最短ルートである森を突っ切る。

三日目にエリンリヴ帝国の城門までたどり着いて今回の依頼は達成。


この依頼がこんなに簡単なのに難易度が跳ね上がる理由は森にある。

この森がくせ者で出てくる蛮族の強さが森に侵入する度に変わるので皮肉も込めて【初見殺しの森】と呼ばれている。

初めて踏み入った時に重装備にしてたら雑魚しかでなかったり、逆に軽装でヤバイのが出たりでいろんな意味で初見殺しをしてくるからついた名前だそう。

幻影だとかそういう姿形を真似る蛮族だとか、いろいろと説はあるが本当のことは誰もわかっていない。

なのでこの森を突っ切る依頼は博打依頼と言う名前がついていたりもする。賭け事のように成功できるかできないかが森にかかっているからだ。

だが、我々には関係ない。

というか、腕試しにちょうどいいくらいだし。それに、そろそろアルニカちゃんに......。

とか考えていたら馬車が出発の合図を出してくれた。

先頭はアルニカちゃんに、馬車の横に私。しんがりはユグルくんが担当して出発した。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


一日目は特に何事もなく森の近くまで来た。食事中にヘーゼイルさんがこの森の特徴を教えてくれた。


・【初見殺しの森】には三つの特徴がある。

1.周知だが侵入する度に蛮族の強弱がかわる。

2.殲滅すると一週間は何も出てこない。

3.放置するとそのまま蛮族が残っているが、なぜか三日後にはいない。


へぇ、聞けば聞くほど不思議な森だなぁ。

外見は普通の森よりもちょっとショボくて、林に見えなくもないけど。

......いいこと思い付いた。殲滅すると一週間は何も出てこないなら、殲滅すればいいじゃないか。

よし、アルニカちゃんに提案しよう。


「エリン。」


「なんですか?シノノメさん」


「......そろそろ溜まってきたんじゃない?」


アルニカちゃんはほほを赤らめ、恥ずかしそうにうつむいた。


「......はい、実はもう我慢の限界で......」


「あの森の蛮族は殲滅すれば一週間出現しないらしい。だから、行っておいで。ここの護りは二人でも平気だから。」


「よろしいのですか?では、遠慮なくいかせてもらいますわ。」


アルニカちゃんはぺこりとお辞儀をすると森の中へ単身で向かっていった。


「ちょ、ちょっと、無茶じゃないのかい?」


森へ向かうアルニカちゃんをみてヘーゼイルさんは慌てて止めようとする。


「大丈夫です。彼女はとても強いですし、何か出なかったら出ないでいいじゃないですか。」


「そ、それはそうですが......いえ、疑ってるわけではありません。心配してるだけです。」


「お気遣いありがとうございます。ですが、明日は何事もなくあの森を抜けることができるのを、保証しましょう。ささ、ヘーゼイルさんも眠ってください。番は我々の仕事ですから。」


「あ、あぁ......。」


ヘーゼイルさんはいぶかしげながらも、馬車の中へと戻っていた。

ふぅ、アルニカちゃんが帰ってくるまでのんびり焚き火でもつついておくかぁ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ごきげんよう、アルニカでございます。

私、アルニカの適正職業である【殺戮者】は衝動的に生物を殺したくなるというデメリットのようなものがありますの。シキミお姉さまに出会ったときはまだ【殺人鬼】でしたので抑えはききますが、【殺戮者】となるとそれが難しいのでございます。

では、なぜここまで抑え込めたのか。

まあ、簡単にいってしまえば訓練でその衝動のボルテージをかなり上げにくくしているのですわ。

といっても、上がらない、ではなく上げにくく、なのでその沸点をこえれば我を忘れてしまいます。

ある程度殺せばそれは収まります。ですが、ボルテージは感情にも左右されがちで......。

はい、勇者様の絡みが私も意識しないくらいうっとおしかったみたいで......。

なので、シキミお姉さまのお陰で発散のチャンスが与えられてとてもうれしいです。

私は武器である短刀を取り出しつつ、森に踏みこみ、蛮族が襲ってくるのを今か今かとわくわくしながら待ちました。

しかし、いくら歩いても見つからないのです。

はて?どういうことでしょう。

もしかして一週間出現しない、にぶち当たってしまったのでしょうか?

むぅ、そうなるとかなり残念ですけど......。

そう思っていると、背後からガサリと音がして、ハイオーガが5体出てきました。

......これだけ?

なんて、なんて味気のない敵なのでしょう......。

こんなの、あくびをしても倒せますわ。

と、残念がっているとそのハイオーガの後ろからうじゃうじゃとゴブリンやコボルトがわいてきたのです。

......まあ、雑魚を大量に殺すのも蹂躙している気分を味わえてとてもいいので、よしとしましょう。

あぁ、本当に、こんなに向かってこられると......我 慢 が で き な い わ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


その後でございますか?

......レディの秘密をきかないでくださいまし。あんなはしたない行為を誰がしっかりとお話しすることができましょう。

向かってくる敵という敵を斬り伏せ、魔法で殺し、時に格闘技で殺し、返り血をシャワーのように浴びて笑っていただけですし......。

あ、ちゃんと戻るときには血の匂いや汚れがないように帰りましたわよ。

しばらくは溜まることはないですわねぇ......。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


こうして【初見殺しの森】は殲滅され、私たちは無事にエリンリヴ帝国の城門までたどり着くことができた。

ヘーゼイルさんも感謝しっぱなしだった。

いやぁ、今回のMVPはアルニカちゃんだけどね。

ま、無事に依頼もこなせたし家買ったりなんだりするかぁ......。

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