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第三十九話:Aランクになっていた。

「おめでとうございます。Aランクに到達していますよ。」


今日、ギルドに戻って依頼達成を報告したら、受付嬢はそう言ってきた。


「え?そうなんですか?」


「はい。あの後、ひたすら蛮族討伐しか受けておりませんので......」


蛮族討伐は意外と受けたがらない人が多い。

まあ、死ぬかもしれないんだし受けないよね、普通は。だけど私たちにとっては雑魚に等しいやつらしかいないから、それはもう貼られたそばから受け続けていた。金もかなり弾むからなぁ。


「そうですか。では、ギルドカードをAランクのものに?」


「はい。そうなります。Bランクのカードをこちらに返却してください」


「わかりました。」


私はカバンからBランクのカードを取り出し、返却した。Bランクのカードはブロンズだったが、Aランクのカードはシルバー製のものだった。


「それでは、昇格報酬の金貨700枚をお渡ししますね。」


え、Aランク昇格で金貨700枚か......これだけあればふざけた使い方をしない限り一生喰っていける金額だぞ......。

私は金貨の袋を受け取り、マジックボックスに突っ込んだ。これ、狙ってくるやつ少なからずいるのでは?いや、いないか。戻ろう......。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


外に出ると町が賑わっている。どうやらサーカス団のようなものが来ているらしい。私たちは蛮族討伐のために少し遠征していたから、たった今気づいた。でも、興味はないから横目で見て家へとついた。


「ただいまー、ギュスくん、先生」


「おかえり!シキミ!」


ギュスくんが元気一杯に私の胸の中へ飛び込んでくる。次期魔王といえど、まだまだ遊びたい盛りの子供なので、とても素直でかわいい。


「今日からAランクなんだって、私達。それで、金貨700枚もらったよ。」


「そうなんだ。あっ、ねえねえ、昨日からサーカスがここに来てるんだ。僕もお祭り見に行きたい!」


「ん、そっかー、いいね、行こうか。」


「やったー!」


ギュスくんは楽しそうにぴょんぴょんと跳ねた。


「仕事はよいのですか?」


「休憩も必要だよ、先生」


「ふふ、そうですね。では留守は任せてください。アルニカ、ユグル、ギュスさん、シキミさんに迷惑にならない程度に楽しむのですよ。」


「「「はーい!」」」


三人の揃った返事を聞いて私はふと気づいた。アルニカちゃんもユグルくんも、物心ついたときに魔族領に流されてしまったから、こういう娯楽を味わったことがないんだった、と。

それなら大盤振る舞いで楽しませてあげるのがリーダーのつとめってものか。今日はお金に糸目をつけずに楽しませよう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


サーカス会場はそれはそれは賑やかで、あちこちに出店やおもちゃがあった。私はフライドポテトをかじりつつ、アルニカちゃんはわたあめを幸せそうに頬張り、ユグルくんは宝石のようなリンゴ飴をもったいなくて食べれないらしく、目を輝かせて眺めている。ギュスくんはフランクフルトを美味しそうにほおばっていた。


「おいしい?」


「うん!シノノメ、これもって帰りたい!」


「食べさせたいもんね。いいよ。ほら、ジョエ、食べないと溶けて美味しくなくなるよ。」


「いけねえっ。」


ユグルくんは美味しくなくなるのは嫌だったらしく、即座に食べ始めた。


「シノノメ、イカ焼き食べたい」


「はいはい。二人とも、そこで待ってて。」


ユグルくんとアルニカちゃんをおいて、イカ焼きの出店へと向かった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「おやまあ、かわいいこだねぇ。」


イカ焼きを買っている最中、隣のスープを作っているおばあさんがギュスくんに気づいた。


「どうして、帽子を被っているの?」


「お気に入りで、外に出ると気は外せないんです。それに、触られるのも嫌がるので......。」


もちろん嘘だ。ギュスくんは次期魔王で魔力を持っていて即座に魔法が使えるといっても、まだまだ未熟。だから、どうしても象徴である大きな二本の角が変化でも消えないのだ。


「あらぁ、そうなの。じゃあおばちゃん触らないわねぇ。握手しましょ?」


「うん。」


ギュスくんは素直に手を差し出し、おばあさんと握手した。


「それじゃあ、これはおまけねぇ。」


おばあさんは出店の奥から持ち帰りできる缶のスープ入れを用意して、たっぷりとスープを用意してくれた。


「い、いいんですかこんな......。」


「いいのいいの。食べ盛りちゃんには物足りないかもしれないけど、売れ残るよりはいいのよ。」


「あ、ありがとう......ございます。......でも、やっぱり支払わせてください。」


私はスープ代としてそっと金貨10枚を渡した。普通なら多すぎるくらいだが、個人的に妥当だと判断した。おばあさんも驚いていたが、私の気持ちを汲み取ったのか黙って受け取ってくれた。


「よーし、二人を呼んで帰ろうか。」


「うん。」


こうして、私たちはその日祭りを堪能して帰ることにした。明日からは予定してたことをするかなぁと、考えながら。

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