第三十四話:幸と不幸はつきもの
大量の金貨が入っていた。よくみると装飾品もある。罠はなさそうなので一つ掴んで取り出してみる。それは、大粒のサファイヤがあしらわれた金の指輪だった。サファイヤも濁りが少ないし、かなりの値段がつきそうな物だなぁと思いながら眺めていた。
私はあまり興味ないよ。だっておしゃれに疎いし、似合わないと思ってるからね。
金貨も調べたけど、本物だったから、マジの宝箱ということになる。
でも、それだとおかしい。
「シノノメ、どう考えてもこれ......」
「ジョエくんも気づいた?」
「あぁ、おそらく盗賊の物だろうな。でもなんでこんなところに?」
ゴブリンは宝に興味がない。エサの人間以外は無価値と判断する。ならばなぜこの宝箱はあるのか?考えられるのは三つ
1.盗賊がわざと置いた。
理由:初心者殺しをしたいから。
2.宝石の価値のわかるゴブリンがいた。
理由:群だけど個性はあるから。
3.食料と勘違いした
理由:ゴブリンだもの。
うーん、可能性としては1か2だよね。まあ、これを持って帰り道を進めばいいだけか。
「よし、持って帰ろう。ジョエが持ってて」
「うげー、仕方なねぇなぁ。」
渋々とユグルくんが宝箱を担いで運ぶ。
こうして私達はゴブリンの巣を後にした。
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「お頭、あいつらもって行きやしたぜ。」
「くく、いい女が二人もいるじゃねぇか。男は奴隷か的当てにでもするか」
「了解しやしたぜ。」
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野宿ポイントまで戻る直前のことだった。アルニカちゃんがサイレンスボイスで話しかけてきた。
サイレンスボイスは、自身が伝えたい相手以外には口を動かしていることも見られずに会話することができる魔法だ。
「主、後方に盗賊がつけてきております。宝箱の持ち主のようですが、どうされますか?」
それにたいして私もサイレンスボイスで答える。
「もちろん、無視。はしゃいで持って帰ってる感を出そう。ユグルくんもお願い。」
「わかりました」
「了解」
サイレンスボイスを終わらせ、みんなで宝石や金貨の使い道を話す。あれが買いたい、これを買いたい、あんなこと、こんなことをしたい......。初心者にありがちな感じの夢物語だ。
大抵はその油断のまま見張りもつけずに眠り、拐われて殺されるのだろう。
なので、我々はこの盗賊のアジトでストレスを発散するため、わざと拐われようと思います!
だってこれなら誰にも見られないしね!
野宿ポイントについたあと、再度サイレンスボイスを発動する。
「わざと無警戒な初心者のふりをして拐ってもらおう」
「なんでわざわざ?」
「そーだよ、ここで殺っちまったほうが早いだろ」
「まあまあ、アジトでみんなでストレス発散したくない?」
「「!」」
「じゃ、普通にご飯食べて寝ようか」
「了解」
「承知」
サイレンスボイスを切ると晩御飯を食べ、存分に楽しそうにしてから......いや、実際楽しみだけどさ。わくわくしながら三人とも寝袋にくるまった。
あぁ、はやく拐いに来てほしいな!




