第三十話:ヴァルク帝国兵と冒険者
この世界の夜は、明かりがほとんどない。新月の日は星が目の前にあるのかと思うくらい明るく輝くから、ため息が出る。逆に満月だと昼間と変わらないくらい明るく照らされる。
幸い、新月に向かっているから私たちは闇夜に紛れて進んでいた。順調に帝国を抜けられると思った矢先、トラブルに巻き込まれてしまった。
運悪く見回りのヴァルク帝国兵と鉢合せてしまったのだ。
相手のトーチファイヤ(たいした威力のない火の玉だ)に照らされてしまい、運ばれている、ならともかく運んでもらっている状態だから言い訳なんてできない。
「お前たち、魔族だな!ならば容赦はしない!」
あーあ隊長らしいのが声をあげると、剣やら槍やら弓やら構えだしたよ。帝国兵ってだけあって隊列がとれている。だが、こいつらさえどうにかすれば私たちは抜け出せそうだ。ふふん、それなら楽勝だ。すでに勝利はこの手の中同然。
「先程までいた女と男がいないぞ!」
「な、どこへ行った!」
お、気がついた?でももう遅いよ。アルニカちゃんとユグルくんはすでに君達の真上だ。
二人は、そのまま魔法を浴びせかけた。アルニカちゃんはアシッドレイン。ユグルくんはウィンドカッター。この二人の技だけですべて終わった。
アルニカちゃんのアシッドレインを浴びた奴はみんな溶けて、ユグルくんのウィンドカッターに斬られた人はきれいにまっぷたつだ。
残ったのは隊長のみ。あ、漏らした。
めんどくさいので私のウィンドカッターで首を撥ね飛ばしておいた。魂はもちろんいただきましたよ。うまうま。
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どうしてトラブルは続くのだろうか。今度は雇われ冒険者の一味に遭遇した。あと少しでダンダリオン共和国なのに、うんざりする。
私はダークカッターでヒーラーを狙うが、盾役に防がれてしまう。ちっ、わかってるのが余計嫌だ。アルニカちゃんとユグルくんは一応先生とギュスくんの護衛。杖に魔力を込め小声で唱える。
ゾンビは呼べない。なら、簡単に全員巻き込める魔法で行こう。
「ウィンドトルネード!」
「なっ!?」
冒険者一味はたちまち風の嵐に閉じ込められ、刻まれて行く。
細切れになるまで5分とかからなかった。
翌朝、ゾンビやクモちゃんを引っ込め、一眠りすることにした。運が良ければ冒険者が助けてくれるからねぇ。
さてと、ちょうどいい森もあったし、おやすみなさい。




